第103話 美少女

文字数 537文字

 ある高校の放課後。
 下校しようとした男子が校舎を振り返ると、窓に腕を組んでこちらを見ている美しい少女がいた。
 見たことのない顔だったので、「転校生かな」と思った。
 少女は目が合ったことに気づくと、にっこりと微笑みかけてきた。
 彼もつられて微笑みかえした。

 だが、彼はその時に恐ろしいことに気づいた。
 その少女には下半身がなかったのだ。

 彼がそのことに気づいた瞬間、少女は窓枠から飛び出した。
 彼は驚きのあまり、腰を抜かして動けなくなってしまった。
 下半身のない少女は、肘だけ動かしてすごいスピードで彼の方に向かってきた。
 テケテケテケテケ……っと。

 
 やっとのことで逃げても、時速100キロのスピードで追いかけられてしまうのだ。
 追い払う呪文を言えないと恐ろしい目にあうという。
 またその異様なスピードと動きとは裏腹に、顔は童顔でかわいらしい笑顔を浮かべながら追いかけてくるため、その恐ろしさをさらに助長するという。
「地獄に落ちろ」「地獄に帰れ」と唱えると退散する。
 また、急に曲がることができないため、予測のつかない急な方向転換をして逃げればよい。

 そして、この話を聞いてしまった人のもとにも、3日以内にテケテケが現れてしまう。

(妖怪ニュースより)



【お題】 今だ!走れ!
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