第139話 寿命

文字数 1,040文字

 豪快な美容師さんと以前話したことがある。ドラマの安楽死。
 痛みに耐えられない病気や、認知症になり、迷惑をかけるなら……
 頭がしっかりしたうちに選ばせてほしい。
 

「長生きしないから大丈夫よ」
 彼女は店でラジオをかけているのでそういう話を聞いたのだろう。
 今の長寿は大正と、昭和の戦前に生まれた人たち。粗食に耐え、精神力も強い。
 私たちの世代は添加物をたくさん摂ってきた。長生きするわけがないのだ、と。

 調べてみたが、寿命は伸びるようだ。寿命は医学で伸びる。 (107歳くらいまで)

 この100年の間に寿命が2倍になった。
 第2次世界大戦直後の平均寿命は50年。死因の第1位の結核は「亡国病」と呼ばれていた。
 医学が発展し、寿命は伸び続けた。癌を克服すれば、さらに5年延びるという。

 100歳を超える時代はもう目の前だ……めっそうもない……
 人生最後の10年間 (もっと長いかも)は、人工呼吸器をつながれたり、胃瘻になったり、薬を多く飲んだり。 (施設の94歳の方は12錠をヨーグルトで飲む)
 寿命を伸ばすことには成功したけれど……施設には入りきれない認知症のお年寄りが。

 今の社会システムは「人生70年時代」がモデルになっている。日本人の平均寿命が70歳をこえたのが1970年頃で、その頃から高齢化社会が始まった。
 日本は1960〜1970年代の高度経済成長期の頃の感覚をずっと引きずり、今の社会システムや社会保障制度は、あの時代のピラミッド型の人口構成や右肩上がりの経済を、前提につくられているので、今の時代に全然合っていない。
 今後は社会システム自体が持たないだろう。

 若い人たちが将来への希望を持てない。夢も希望もない。
 1番大きいのは老後の不安。年金制度が崩壊するのではないかという不安だ。

 施設で働く若い人は言う。70歳くらいで死にたいと。
 しかし、それが間近になると70歳なんてまだまだ若いと思うようになってきた。
 体の寿命は伸びても脳の老化は防げないと言われてきた。しかし、それも違うようだ。
 脳の健康も維持できるらしい。
 頑張らねば!

 でも、もう無理! とわかってしまったら、『好きにしろ』という名のお薬をください。
 好きなようにできたのは創作の中だけだった。
 

https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/taidan/zadankai/nagaiki-yorokoberushakai.htmlを参考にしました。



【お題】 好きにしろ

 
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