第46話 歌詞ではありません

文字数 844文字

 ゴルフに行く日は車の中でゴルフの曲を流す。
 マスターズのテーマソングはカッコいい。
 全英オープンテーマ曲は、ヴァンゲリスなんですよ。なんて素敵な曲。
 ヴァンゲリスといえば、アルファとか、コロンブス。ずうっと聴いていたい。

 ゴルフを始めて3年と4ヶ月。ところが、ドライバーがワタクシ、まだ、100ヤードも飛ばないの。
 レッスンだと壁打ちで、コーチは飛んでると言ってくれるけど、練習場に行くと、ピッチングが1番飛ぶ……という……みっともなさ。

 ラウンドはいつも平日、夫とふたりだけ。
 平日でも、そこそこ混む。年寄りばかり。私たちもそうだが。
 ドライバーを後ろの組に見られるのがドキドキ。

 1ホール目、朝イチショットは右のカート道へ。歌が聞こえてくる。
 セカンドショットも大シャンク。
 どうにもこうにもなりゃしない。
 12打叩いた。ハッハッハッ。  
 走ったし、心臓壊れそう。

 あーあ、もうやめよう、ゴルフなんて金輪際やらない、と気を抜いて打ったらカ〜ン。
 正面にきれいな弧を描いていった。

 見た? 見た? 
 あれが実力。練習の成果。
 2打目は怖いからウッドは使わない。私のゴルフはドライバーと7番とピッチングとパター。4本で足りちゃう。
 いつもは、7番だと、打ってもそこ。打ってもそこ。そこそこそこで走る走る走る。

 いつもは、グリーンが遠かったのに、石の上にも3年。来る週も来る週も、レッスンサボらないで頑張ってきた成果、これまたカ〜ンと飛んで行った。
 嬉し嬉し。

 そして6番目のパー4は、バンカーに入って出やしない。
 打っても打っても出やしねえ。
 もう、手で放り投げた。
 そこから旗を狙ったら……まさかのまぐれのチップイン。

 そして、7番目のショートホールは見事にワンオン。ナイスショット。ドライバーだけどね。
 後ろの上手なおっさんが、乗ったぁ、と喜んでくれた。良い人だ。
 バーディチャンスの5メートル。はずした返しも5メートル。
 どうにもこうにもなりゃしない。やっとのチャンスも水の泡。
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