10章―1

文字数 3,706文字

10章 Seek for lost memories


 時刻はもうすぐ夕方。特別公演は無事終了し、関係者による撤収作業が行われていた。
 アースは小道具が入った箱を抱え、銀色のキャンピングカーに乗る。屋根裏へと続く梯子の下でナタルが待ち構えていた。

「これで小道具類は全部だよ」
「ありがと、アース。後は私達に任せて!」

 ナタルは箱を肩に乗せ、梯子を登って屋根裏へ消えた。
 アースやミック、双子は体が小さく、重く大きい物の運搬は難しい。彼らが運べる物は既に収納済みであり、テントが解体されるまで休憩、といったところか。

 アースは外に出る。バックランド夫妻とラウロ、人型フラット、高所担当のモレノに加えてゼクスとニティアがテント解体を行っていた。他の卒業生達はその周りで談笑しており、後は解体待ちのようだ。
 アースはミックの姿を見つけ、彼女の傍に駆け寄る。

「……アース、おつかれさま」
「やっぱり人が多いと終わるのが早いね」

 ミックは頷き、少しだけ微笑む。その時、彼女の肩越しに、何やら難しい顔をしている双子の姿が見えた。アースの目線に気づき、ミックも振り返る。

「二人とも、さっきからずっと、あんな感じなの」

 彼らは前方をじっと見つめている。その視線を辿ってみると、レントと和やかに会話するトルマに行き着いた。
 すると、双子は彼に近寄った。アースとミックも後を追う。トルマとレントは双子に気づき、彼らの目線まで腰を下げた。

「どうしたの?」

 目尻に皺のある、優しげな垂れ目。全てを見透かすような目を直に見て、双子は喉を鳴らす。その瞬間、琥珀色の瞳が大きく揺れた。

「僕、トルマさんの『過去』が見えるようになったみたい」

 デラの発言に、レントも「本当かい⁉」と仰天した。トルマは立ち上がり、胸で拳を握り締めたままテントに顔を向ける。彼の顔からは血の気が引き、今にも倒れてしまいそうだ。
 訳が分からないアースに、ミックは早口で耳打ちした。

「トルマさんとゼクスさん、昔の記憶がないの。デラの[潜在能力]でも見えなかったはずなのに……」

『目が合った者の過去を読み取る』デラでも、幼少期の記憶など、その者が覚えていない過去は見ることが出来ない。その彼が『失われた記憶を見た』ということは。
 アースはトルマの目線の先を見る。そこには、テントの骨組みに悪戦苦闘するゼクスの姿があった。


――
 撤収作業が終了した後、緊急会議が開かれた。
 本来なら打ち上げが行われる予定だったが、宴は持ち越しとなった。それでも卒業生は全員残り、深刻な表情で席に着いている。

「デラ、もう一度聞くけど……本当に、トルマとゼクスの『過去』が見えたんだね?」

 レントの問いに、双子は同時に頷く。だがゼクスは悪態をつくばかりである。

「だがなぁ、俺はこれっぽっちも思い出してねえんだよなぁ」

 トルマも黙って頷く。すると、リベラが手を挙げた。

「時間が経つにつれて思い出す症例もあるよ。二人の場合は記憶を失ってうん十年経ってるから、その可能性もあると思う。トルマさん、ゼクスさん、最近何か変わったことはない?」

 トルマとゼクスは揃って腕を組み、考え始める。

「そういえばトルマさん、霊が見えるようになった、って昨日言ってましたよね。それって[潜在能力]ですか?」

 ナタルが質問を投げると、トルマは「あぁ、あれね」と苦笑した。

「僕の[潜在能力]は『人の考えていることを読む』[読心術]だよ。それとは別件なんだけど確かに、昨日から急に見えるようにはなったね」
「そういや、夢でお前が『霊が見える』って言ってるのを聞いたような気がするな」

 二人の証言に、リベラは前のめりになる。

「他にも何か、気になる夢は見た?」
「うーん……あっ。最近、何度か同じ夢を見たんだ。崖の上から海を眺めてる夢。月の光で海が照らされてとっても綺麗だったから、そこだけは覚えてるかな」

 その瞬間、ゼクスは彼の肩を激しく揺さぶった。

「お、お前も、その夢を見たのか⁉」
「僕たちが見た『過去』にも、その景色があったよ」

 双子は青白い表情で呟く。周りが騒めく中、リベラは眉間に皺を寄せて熟考し、慎重に意見を述べた。

「たぶん、二人の記憶は戻りかけてると思う。夢の内容について詳しく思い返したり、その場所に行ったりすることで完全に思い出すかもしれない。でも、そうなると……」

 彼女は一呼吸置くと、声を震わせる。

「記憶喪失の原因は、恐らく心因性。辛い出来事がきっかけになってる可能性が高いから……記憶が戻ると、心が壊れるかもしれない。だから無理して思い出すのは、おすすめ出来ないかな」

 リベラは町医者だが、心療内科・精神科医でもあった。その彼女が警鐘を鳴らしたことで、誰も反論することは出来ない。だが、トルマとゼクスの目には、強い意志が宿っていた。

「それでも、僕は記憶を取り戻したい」
「俺も同じだ。忘れたままなんて、納得いかねぇよ」

 リベラは哀しげに息をつき、微笑んだ。

「分かった、でも無理しないでね。デラとドリも、二人の調子を見ながらサポートよろしくね。ルイン、メイラ、お願い出来るかな?」
「えぇ、もちろんよ!」
「よーし、そうと決まれば明日、早速出発するぞッ!」

 ノレインは威勢良く立ち上がり、重々しい空気が振り払われた。
 周りも明るく盛り上げ、トルマとゼクスはようやく笑顔を見せる。だが、二人の表情には、不安が残り続けていた。


――
 翌日、[家族]はトルマとゼクスを連れて出発した。『なるべくいつもの雰囲気でいたいから』というトルマの要望に合わせ、[家族]全員が同行することになったのだ(スウィートだけ最後まで抵抗したが、結局メイラには逆らえず、連れて来られた)。
 穏やかな秋の風景を、銀色のキャンピングカーが通り抜ける。昨日の重い空気から一変、車内は和気あいあいとしていた。話題は[家族]の旅の話に移り、双子は興奮したように、隣に座るトルマに熱弁する。

「それでね、ナタルがあっという間に打ち倒して、ラウロさんを取り戻したの!」
「でもね、フィードさんはミルド島までしつこく追いかけてきたんだよ!」
「すごい執着心だね。大丈夫だったのかい?」

 トルマは目を輝かせて続きを促すと、双子は更に大きな声で語った。

「ラウロさんはね、逃げ続けていつかあんたを救ってやるって言い返したんだよ!」
「フィードさんはね、絶対お前を取り戻すって言い残して、そのまま見逃してくれたんだよ!」
「へえ、ロマンチックな展開だねえ。何だか羨ましいな。ねえ、ゼクス?」
「お、俺に振られても困るんだが……」

 トルマはゼクスに寄り添うが、彼は顔を赤らめながら目を逸らした。アースは思わず、真後ろにいるラウロを見る。彼はやはり、真っ赤になってうろたえていた。

「お前ら、勝手に話を盛るんじゃねぇよ! あ、あいつはそんなこと言わなかったぞ!」
「別にいいじゃない。大体合ってるんだし」

 ナタルは涼しい顔で言い放つ。ラウロは憤慨し、車内はどっと沸いた。

「へえぇっくしょい!」

 その時、アースの左隣でモレノがくしゃみを放った。モレノはずずっと鼻をすするが、鼻水が垂れている。右隣のミックの冷ややかな視線を感じながら、アースは声をかける。

「モレノ、大丈夫?」
「うへぇー、風邪でも引いたかなー」

 すると、前方からメイラの声が飛んできた。

「そっちにティッシュないでしょ? 今投げるから待ってて……」
「いい、俺がやる。メイラ、手に乗せてこっちに向けてくれ」

 ゼクスの声に、メイラは何故かとても不安そうな表情だったが、言われた通りに箱ティッシュを後ろに差し出した。
 三秒後、箱はじわじわと宙に浮く。そのまま千鳥足で車内中央を横切り、モレノの頭に直撃した。

「いてっ!」

 箱ティッシュは、通路を挟んで隣にいる双子の手元に不時着した。双子は手を伸ばし、モレノに手渡す。アースはモレノが鼻をかむ様子を見ながら、この不思議な現象に絶句していた。

「い、今のはいったい……」

 彼の真後ろから、ラウロとナタルの声が聞こえる。どうやら二人も、この状況に驚いているらしい。すると、トルマがにこやかに説明した。

「ゼクスの[潜在能力]、[物質操作]だよ。『物を触れずに動かせる』んだけど、ゼクスはどうしようもなく不器用だから、いっつも失敗しちゃうんだ」
「おいトルマ、『どうしようもなく』は余計だろ!」

 ゼクスは赤面しながら噛みつき、[家族]は再び笑い出す。

「(そういえば、二人とも[潜在能力]を使えるんだね。もしかして、記憶喪失になったことと関係があるのかな?)」

 アースは疑問を持ちつつ二人を見ると、トルマと目が合い、にっこりと微笑まれた。

「残念だけど関係はないかな。うん十年前、ルインを可愛がろうとしたら無意識に[能力開花]を使われたんだよ」
「ちょっ、トルマさん!」

 車体が一瞬揺れる。皆の笑いはますます止まらなくなるが、アースは恐怖で凍りついていた。トルマの[読心術]で文字通り、心が読まれたのだ。
 視線を慌てて前方に戻す。彼の振る舞いは貴婦人だったが、その和やかな笑顔は一瞬だけ、加虐的なものに変わったのだ。


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登場人物紹介

【ノレイン・バックランド】

 男、35歳。[オリヂナル]団長。SB第1期生。

 焦げ茶色の癖っ毛に丸まった口髭が印象的。

 喜怒哀楽が激しくおっちょこちょい。

 髪が薄いことを気にしている。趣味は手品と文章を書くこと。愛称は『ルイン』。

 [潜在能力]は『他の生物の[潜在能力]を目覚めさせる』こと。

【メイラ・バックランド】

 女、32歳。ノレインの妻。SB第3期生。

 カールがかかったオレンジ色の髪をポニーテールにしている。

 お転婆で気が強い。怒ると多彩な格闘技を繰り出す。

 趣味は写真撮影。口癖は「まぁ何とかなるでしょ」。

 [オリヂナル]では火の輪潜り担当。[潜在能力]は『一時的に運動能力を高める』こと。

【デラ&ドリ・バックランド】

 男、12歳。バックランド家の双子の兄弟。

 明るい茶色の癖っ毛。無邪気で神出鬼没。

 見た目も性格も瓜二つだが、「似ている」と言われることを嫌がる。

 [オリヂナル]では助手担当。[潜在能力]は『相手の過去を読み取ること』(デラ)、『相手の脳にアクセス出来ること』(ドリ)。

【モレノ・ラガー】

 男、15歳。ミックの兄。

 真っ直ぐな栗色の短髪。

 陽気な盛り上げ役。帽子をいつも被っており、服装は派手派手しい。

 割と世間知らずな面がある。妹離れが出来ない。

 [オリヂナル]では高所担当。[潜在能力]は『一時的にバランス能力を高める』こと。

【ミック・ラガー】

 女、10歳。モレノの妹。

 ふわふわした栗色の長髪。

 引っ込み思案で無口。古びた青いペンダントを着けている。

 世話を焼きたがるモレノを疎ましく思っている。アースのことが気になっている。

 [オリヂナル]ではジャグリング担当。[潜在能力]は『相手の[潜在能力]が分かる』こと。

【アース・オレスト】

 男、10歳。

 さらさらした黒い短髪。

 実の父親から虐待を受け、『笑う』ことが出来ない。

 控えめで物静かだが、優れた行動力がある。特技は水泳。年齢の割にしっかり者。

 [オリヂナル]では水中ショー担当。[潜在能力]は『酸素がない状態でも呼吸出来る』こと。

【ラウロ・リース】

 男、25歳。

 腰までの長さの薄茶色の髪を一纏めにしている。

 容姿・体型のせいで必ず女性に間違われる。明るく振舞うが素直になれない一面がある。

 元『娼夫』で、フィードに捕らわれていた。優秀なツッコミ役。趣味はジョギング。

 [オリヂナル]では道化師担当。[潜在能力]は『治癒能力が高い』こと。

【ナタル・シーラ・リバー】

 女、19歳。RC社長の娘。

 肩までのストレートの金髪。瞳は緑色。右耳に赤いイヤリングを着けている。

 母親を殺害した父親に復讐を誓う。勇敢で頼もしい性格。RCを欺くため男装している。特技は武術。

 [オリヂナル]では動物のトレーナー担当。[潜在能力]は『一時的に筋力を上げられる』こと。

【スウィート】

 オスのライオン、6歳。捨て猫と一緒にメイラに拾われた。

 とても臆病で腰が低く、何故か二足歩行する。火が苦手なベジタリアン。

 [オリヂナル]では主に玉乗り担当。[潜在能力]は『全ての動物の言語を使える』こと。


【ピンキー】

 メスのオウム、8歳。体の色はショッキングピンク。

 神経質で短気。趣味はスウィートをからかうこと。

 [オリヂナル]では効果音担当。[潜在能力]は『声質を自由に変えられる』こと。

【シャープ】

 オスのブルドッグ。ナタルの従者。

 沈着冷静な性格。執事のように振舞う。

 [オリヂナル]ではナタルのパートナー担当。[潜在能力]は『分身を作る』こと。

【フラット】

 オスの猿。体の色は黄色で、種名は不明。ナタルの従者。

 怖がりでよくドジを踏む。人型の時は黄色の短髪の青年(ただし尻尾は出ている)。

 [オリヂナル]ではナタルのパートナー担当。[潜在能力]は『人の姿を取れる』こと。

【フィード・アックス】

 男、30歳。RC社長代理。

 青い髪をオールバックにしている。蛇のような細い目が印象的。

 冷酷な性格で無表情だが、独占欲が強く負けず嫌い。

 ラウロとナタルを連れ戻すため、[オリヂナル]を追跡している。鼻を鳴らすのが癖。

 [潜在能力]は『舌に麻痺させる成分を持つ』こと。

【ヒビロ・ファインディ】

 男、35歳。SB第1期生。[世界政府]の国際犯罪捜査員。

 赤茶色の肩までの短髪。前髪は中央で分けている。飄々とした掴み所のない性格。

 長身で、同性も見惚れる端正な顔立ち。同性が好きな『変態』。

 ノレインを巡り、メイラと激闘を繰り返してきた。RCの事件を追っている。

 [潜在能力]は『相手に催眠術をかける』こと。

【ケイティ・マドレー】

 女、24歳。クィン島出身の雑誌記者。

 くすんだ緑色の髪を肩まで伸ばしている。可愛らしいデザインの帽子を好んで身に着けている。

 思い立ったら即行動に移す頼もしい性格。[オリヂナル]の公演で人生が変わった者の一人。

 ドアを高速でノックする癖がある。

【ウェルダ・シアコール】

 女、27歳。SB第6期生。SB近所の交番勤務。

 赤みがかった肩までの黒髪。瞳は茶色。

 曲がったことは嫌いな性格だが、面倒臭がり。ソラの親友。

 [地方政府]に在籍したことがある。ソラとアビニアに振り回されたせいか、しっかり者になった。

 [潜在能力]は『手を介して加熱出来る』こと。

【リベラ・ブラックウィンド】

 女、32歳。SB第3期生。SB近所で診療所を営む。ニティアの妻。

 毛先に癖がある黒い長髪。右の口元のほくろが印象的。

 おっとりとした性格。元々体が弱く、病気がちである。

 メイラの親友。趣味は人の恋愛話を聞くこと。

 [潜在能力]は『相手の体調・感情が分かる』こと。

【ニティア・ブラックウィンド】

 男、35歳(初登場時は34歳)。SB第1期生。リベラの診療所の薬剤師。リベラの夫。

 白いストレートの短髪。白黒のマフラーを常に身に着けている。

 極端な無口で、ほとんど喋らないが行動に可愛げがある。

 筋肉質で、体はかなり鍛えられている。趣味は釣り。

 [潜在能力]は『風を操る』こと。

【ユーリット・フィリア】

 男、34歳(初登場時は33歳)。SB第2期生。SB近所で植物園を営む。

 肩より短い水色の短髪。重力に逆らうアホ毛が印象的。内気な性格。

 背が低い上童顔なので、実年齢より若く見られることが多い。

 女性恐怖症。ノレインの親友。愛称は『ユーリ』。

 [潜在能力]は『五感が優れており、[第六感]も持つ』こと。

【オズナー】

 男、23歳。ユーリットが営む植物園のアルバイト店員。『兎』。

 癖のある白色の短髪。瞳は赤色。若者らしいラフな格好。

 軽い性格だがユーリットからは信頼されている。

 アンヌとは昔からの知り合いで、兎猫…いや、犬猿の仲。

【アンヌ】

 女、24歳。ミルド島の女怪盗。『猫』。

 肩までの黒い巻毛。瞳は黄色。露出度の高い服装を好む。

 我が儘で気まぐれだが、一途な一面も見せる。

 ユーリットを女性恐怖症に陥れた張本人だが、事件後何故か彼に好意を抱くようになった。

【レント・ヴィンス】

 男、年齢不詳(見た目は30代)。SBを開設した考古学者。

 癖のついた紺色の短髪。丸い眼鏡を身に着けている。服装はだらしない。

 常に笑顔で慈悲深い。片づけが苦手で部屋は散らかっている。

【トルマ・ビルメット】

 男、40歳(初登場時は39歳)。SBの助手で、家事担当。

 クリーム色の長髪を後ろで緩くまとめている。瞳は琥珀色。

 見た目は妖艶な美女。普段は穏やかで優しいが、ややサディスティック。

 助手になる前の記憶がない。趣味は園芸。

 [潜在能力]は『相手の考えていることが分かる』こと。公言していないが、『狐』である。

【ゼクス・ランビア】

 男、42歳。SBの助手で、技師担当。

 白髪混じりの銀髪を短く刈りこんでいる。手先も性格も不器用。

 トルマによくからかわれている。沸点はかなり低め。

 助手になる前の記憶がない。

 [潜在能力]は『手で触れずに物を動かせる』こと。

【ソルーノ・ウェイビア】

 男、30歳(初登場時は29歳)。SB第4期生。SBの助手で、料理番担当。

 紫色の肩までの癖っ毛を、後ろで一つにまとめている。瞳は黒。

 服装は真っ白だが心は真っ黒。きまぐれな性格で精神年齢は永遠の10歳。

 ヒビロに続く『変態』。趣味はお菓子作り。

 [潜在能力]は『相手に幻覚を見せる』こと。

【ミン・カルトス】

 女、12歳。SBの生徒。生まれて間もない頃、SBに捨てられた過去を持つ。

 黒髪を低い位置でツインテールにしている。チェック柄のワンピースが好み。

 おとなしい性格だがお喋り好き。SB近所の町で幼い子供達の世話を手伝っている。

 コンバーとは実の兄妹のような間柄だった。

 [潜在能力]は『一時的に体を金属に変えられる』こと。

【リタ・ウィック】

 女、10歳。SBの生徒。

 焦げ茶色の肩までの短髪。動き易いズボンを身に着けており、時々少年に間違われる。

 SBを代表する問題児。フロライト兄妹とは悪友で、常にファビを振り回している。

 [潜在能力]は『衝撃波を操る』こと。

【サファノ・フロライト】

 男、8歳。SBの生徒。ルビナの兄。

 紫に近い青い短髪。好きな色は青。やんちゃな性格で、イタズラ大好き。

 ルビナとは双子だが二卵性らしく、あまり似ていない。

 [潜在能力]は『体全体から光を発生させる』こと。

【ルビナ・フロライト】

 女、8歳。SBの生徒。サファノの妹。

 橙に近い赤い長髪。好きな色は赤。

 性格はサファノと似ており、イタズラ大好き。

 [潜在能力]は『体の一部分から光を発生させる』こと。

【ファビ・フォーカスト】

 男、15歳。SBの生徒。

 少々癖の強い白の短髪。年齢の割に背が高い。

 内気でおっちょこちょいだが、騒がしい同級生達をまとめ上げるしっかり者。

 コンバーの親友だったが、彼を亡くしてから時々塞ぎこんでいる。

 [潜在能力]は『天気を正確に予測出来る』こと。

【コンバー・カインドウィル】

 男、19歳。SBの卒業生。

 黒に近い茶色の短髪。優しい笑顔がトレードマークで、滅多に怒らない温和な性格。

 教師志望で卒業後は文系の大学に通っていたが、転落事故に遭ったファビを[潜在能力]で助け、亡くなった。

 [潜在能力]は『自分と相手の体の状態を交換出来る』こと。

【チェスカ・ブラウニー】

 男、27歳。RC諜報部長。

 薄桃色の長髪を一本に束ねている。瞳は灰白色。灰色の額縁眼鏡をかけている。

 物腰が柔らかく、どんな相手でも丁寧に接する。

 諜報班時代のフィードの部下で、彼のことは『チーフ』と呼ぶ。

【シドナ・リリック】

 女、28歳。ミルド島出身の[世界政府]国際犯罪捜査員。シドルの姉で、ヒビロの部下。

 明るい緑色のストレートの長髪。真面目でしっかり者。策士な一面を持つ。

 海難事故により、[潜在能力]に目覚めている(『相手の記憶を操作する』こと)。

【アビニア・パール】

 男、28歳。SB第5期生。占い師『ミルドの巫女』。

 黒い長髪で声が高く、女性に間違えられる。ひねくれた性格の毒舌家だが、お人好しの一面を持つ。

 幼少期の影響で常に女装をしている。職業柄、体を鍛えている。ソラとは犬猿の仲。愛称は『アビ』。

 [潜在能力]は『相手の未来が見える』こと。

【ソラ・リバリィ】

 女、25歳。SB第7期生。『Sola』の名で歌手活動をしている。

 天真爛漫な性格。空色の長髪を一筋、両耳元で結んでいる。特技はアコーディオンの弾き語り。

 音楽の才能は素晴しいが、それ以外はポンコツ。自他共に認める腐女子。アビニアとは犬猿の仲。

 [潜在能力]は『相手の感情を操る』こと。

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