第7話
文字数 1,037文字
夕食後、食器を片付ける際にそれとなく訊いてみたが、リオンの返事は色良いものではなかった。
今にも泣き出しそうなほどに顔を歪めて応えるリオンを見て、ユウはそれ以上説得に足る言葉を用意できなかった。
時間ギリギリまで待ってみたが、やはりリオンは現れなかった。
ミチルとダイキが待ちかねたとばかりに、沈黙の口火を切る。
ムツハの軽薄な物言いも、しかし筋は通っている。リオンの心中は誰にも分からない以上、どのようになるかは未知数と言えた。
ミチルが先陣を切って、意気揚々と校門を乗り越えた。音枝レンリ曰く、防犯カメラも細工をしているらしかった。取り敢えず生活指導のお世話にならないことが確約され、少しだけ気持ちが軽くなる。
次々と校舎に乗り込んですぐ、亡霊めいた死神現象が飛んで火にいる夏の虫とばかりに襲い掛かってきた。しかし、新たに【ココロのウタ】を手に入れたチハツとダイキの敵ではない。緊張の中に自信をしかと握り締めて、一歩前に出る。
戦闘
からかうようにミチルが賞賛の口笛を吹く。どうやらお眼鏡に適ったらしかった。
バーチャルシンガーとしての認識に傾きつつあったが、言動はやはり教員のものだ。若々しい少女の外見に似つかわしくない硬い口調にはなかなか慣れず、ユウは図らずも顔をしかめた。今後、順当に慣れていくのだろうか……などと考えながら、ユウ達は死神現象が縦横無尽に闊歩する夜の校舎へと足を踏み入れた。