第12話 白い旗(ハンカチ)
文字数 1,500文字
ゆく手を塞ぐようにして立っている人影に、オレリーはポケットから白いハンカチを取り出すと、それを掲げてみせた。『白い旗』は使者の証で〝戦意はない〟という意思を示す。
はたしてその
男は、オレリーとマルレーンが十歩ほどの距離まで近づくと、ヴィンチェストライフルの装填レバーをガチャリと鳴らしてみせた。「そこで歩みを止めるように」との合図らしい。
その緊張した顔に、オレリーは見覚えがあった。
町に着いた日の夜、エミールと
足を止めたふたりを向いて、男――少年は、その表情と同じく緊張した声を上げた。
「何の用だ」
いきなり銃口を向けてこなかったのは幸いだ。問答無用という訳ではないらしい。
ともかくオレリーは、話を切り出すことができた。
「あなたたちの話を訊きにきたの。……〝言い分〟があるでしょうから訊くわ」
「…………」
探るような目線となる少年。オレリーは頑張って笑顔を向けた。
「ね、どうすれば南への道を通してもらえるか(しら)」
と、その言葉尻を引取って、おっとりとした口調で、マルレーンが続けた。
「――わたしたち〝渡り〟です。話は町長と保安官じゃなくてコミッショナーに伝えます。だから〝ボス〟を呼んできてもらえます?」
屈託のない〝単刀直入〟なその物言いで、少年はようやく肯いた。
「ちょっと待て。会うかどうか、兄貴に訊いてみるから」
オレリーとマルレーンは、屋根の半分落ちた伝道所の建屋に通された。
ここに至るまでにオレリーが確認したカウボーイの人数は、〝小路の少年〟を含めて7人。
腰の
さて、それはおき……、
青空の覗く部屋で出迎えたリーダーの男は、しばらく〝女渡り〟ふたりを値踏みするように見遣っていたのだが、ひとつ部屋の中で荒くれ男どもに囲まれても、一向に〝動ずる〟ことのない彼女らに〝
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今回は〝モブ〟さん(脇役)の使う銃について、です。
『フロンティアで最も見かける銃』という位置づけの――
シルト・シングル・アクション・〝シックス・シューター〟(SASS)と、
ヴィンチェストライフル Model 2873 。
イメージモデルは『西部を征服した銃』であるところの……
コルト・シングルアクション・アーミー(SAA)と、
ウインチェスター M1873 ライフル であります。
(この大陸世界では コルト社⇒シルト社、ウインチェスター社⇒ヴィンチェスト社 ですね)
SASS は6連発のシングルアクションリボルバーで、ヴィンチェストライフルはチューブマガジンの12発レバーアクションのカービン銃。共に.44-40弾。弾薬を共有できます。
まあ、西部劇でよく出てくるアレです。