第23話 ブルネットの下の貌
文字数 1,262文字
エンシーナス大尉に率いられた1小隊
先頭を行く大尉の
ふたりの顔に傷などは無かったが、憔悴し、疲労困憊といったその歩容から、少なくとも町に入るかなり前から、こうして荒野を曳かれてきただろうことは容易に想像できた。
――…これでは
レンジャー法務官補の
カウボーイの二人は、ローイードの営地を進発した直後の荒野で行き遭うと、その場で大尉の命令によって拘束されたのだった。
隊の法務官補であるC.C.は、レンジャー営地に訴え出てきたカウボーイをその場で拘束したエンシーナスに、職責を果たすべく抗議をした。それをエンシーナスは、巡回判事からの〝緊急を要する事案〟への対応中であると一蹴したのだ。
その〝緊急を要する事案〟とは、ルズベリーでのカウボーイらによる暴動への対処であり、このような場合、レンジャーの行動裁量は現場指揮権者に一任される。C.C.は引き下がるより他なかった。
ルズベリーからの状況を伝える
そういった経緯もあって、エンシーナスがルズベリーの町に入るに当たり二人のカウボーイにとった
そのC.C.は、隣に並んでトリウマを歩ませる法務官助手の声を聞いた。
「――いまの
流し目気味に、目線だけを横の法務官助手に向けると、青いレンジャーの制服を粋に着崩した伊達男が、つまらないものを見るかのような視線を、先を行くエンシーナスの背中へと向けている。腰に吊ったホルスターは左右に二つ――二丁拳銃だ。
レンジャーでも荒事の矢面に立つ〝執行畑〟にはこういう伊達男は珍しくないが〝法務畑〟には珍しい。もっとも、危険な臭いを漂わせる風体の彼は、酒とギャンブル、そしてトラブル、といった世界に生きてきたという〝
その〝曰く付き〟は