第40話 まるで踊るように
文字数 1,272文字
目の前の少女がまるで踊るように踵を返すのを見た男たちは、回転で広がった
腰のベルトの背に括りつけられた
「動かないで!」
オレリーは、正面に置いたラーキンズに右手の銃を真っ直ぐに向け、背後の男たちには左手の銃を回し、鋭く警告の声を発した。
それを無視し銃を向けようとした男は、振り向きすらしないオレリーに腕を撃ち抜かれ
「〝動くな〟と言った!」
どうやって狙いを定めたのだろうか。だが、それで残った男たちの動きが固まった。
「……たいしたもんだ」
突き付けられた銃口が正確に自分の眉間を狙っていることを感じて、ラーキンズは声を絞り出した。
「――…まるでデタラメだが、何とも恐ろしい……」
ゆっくりと銃口を上に向けハンマーを戻しながら、両手
オレリーが目で足元を指すと、ラーキンズは銃をそこに放った。背後の男たちの気配も同じように、ひとり
十数ヤード先から駆けつけてきたレンジャーの一隊は、少女とその先に転がるレンジャー大尉とに視線を走らせると、その場で動きを止めた。
オレリーが軽く銃口をエンシーナスに向けると、先頭の少尉の目線は、銃口の先のエンシーナスへと移った。
目の合った上官が小さく両の手を上げて首を振ってきた。
「
少尉は、額の前に掌を前方に向けて掲げ、顔の前で腕を上下に動かしながら叫んだ。
「……誰も撃つな!」
それで周囲のレンジャー隊員は、次々に手にした武器を下ろしていったのだった。
その様子を、町長の邸の二階の窓から、少尉の左胸を狙う
「終わったよ。……オレリーが保安官とレンジャー大尉を〝何とか〟した。二人ともが観念したよ」
レンジャー法務官補の
C.C.とバーニーが、レンジャー少尉と見習い士官の4人とで状況の確認と事後の処理を打ち合わせている。
それを少し遠くから見遣っていたオレリーは、マルレーンが何か言いたそうなのに気付いて、なに? というふうに小首を傾げて見返した。
「あなたは6発じゃなくて12発……だったのね」
すっかり騙されてしまったわ、というふうに、そう笑ったマルレーン。
「……1丁しか持ってないとは言わなかったわ」
オレリーはしれっとそう応じた。
肩を竦めたマルレーンの横を、今度こそバッジを取り上げられたラーキンズと、階級章を剥ぎ取られエンシーナスが、それぞれ手錠を掛けられ若いレンジャーに引っ立てられていくのだった。
「さて――」
背後に声がした。
振り見やったふたりは、腰に手を当てたC.C.の〝こわい顔〟がこちらを向いているのを見る。C.C.は一つ頷いて言った。
「つぎはあなた達ね」