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文字数 432文字

 ブーチンは、球審の「プレイボール!」の声に、緊張した。

 肩に力が入り、初球をバックネットに当てる、とんでもない暴投をした。

 次の球もその次も力みが取れずに、ストライクゾーンを大きく外れた。

 オレはタイムを取って、マウンドに行き、

「力むな! ブーチンの球なら、軽く投げても打たれんけん、肩の力を抜いて、オレのミットだけを見て投げろ」

 ブーチンにそういうと、

「ヨウチン、もうちょっとあれを飲ませてくれんと、やっぱドキドキしていかんぜよ」

 とブーチンが気弱にいう。

「4回ぐらいまで何とか頑張れ、そしたら残りの分飲ましちゃうけん」

 とオレがいうと、

「オレよ、やっぱピッチャーに向いてない」

 とブーチンが半べその顔をしていう。

「今日の試合で頑張ったら、『巨人の星』の最新刊のコミック、ブーチンにあげるけん」

 とオレがいうと、

「ほんまか?」

 と、「巨人の星」が大好きなブーチンの顔が少しほころんだ。

 オレは、ブーチンのでかいケツをミットでポンと叩いて、ポジションにもどった。

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