病院②

文字数 2,111文字

「ここは?」
「進?気がついた?いきなり倒れるからびっくりするじゃない!」 
目が覚めると俺はいつの間にか何処かの病院のベッドで寝ていたらしい。
そばで喜代美が心配そうに話しかける。
するとノックの音がして白衣の三十代くらいの男性の先生が部屋に入ってくる。胸元の名札をさりげなく見ると森(もり)と言う名前の先生だとわかった。
何故かここは一人部屋のようだ。
「君、彼女さんかな?彼氏君と大事な話があるから悪いけど暫く廊下に出てくれるかな?」
と先生は喜代美にお願いする。 
「分かりました。彼を宜しくお願いします」 
そういうと喜代美は部屋から出た。 
「早速だけど今からいうことは君にとってショッキングな事だと思うから冷静になって聞いて貰いたい。」 
「先生?俺、何処か重い病気何ですか?」
「いや、そうじゃないからその点は安心して大丈夫だがそれ以前の問題だね。君の病名は、真性半陰陽って言って極珍しい四千人中一人の割合の傷病で男性の性器と女性の性器両方持ってる性疾患だよ!君の場合は、男性の機能は動いてない。最近、生理がきたようだね!血の塊が睾丸の方に回ってしまっているから早く取り除きたいがそれには、睾丸もろとも男性の部分を摘出しないといけないけど、君には、大きなハードルだと思うけど、ほって置くと君の身体に大きな負担が生じるよ。また君には子宮も卵巣もあるし、女性ホルモン分泌し出してるから今は、胸は平らで目立たないけどいずれは胸も膨らんで目立ってくるよ!一言で言い換えれば君は、本当は女の子だったんだよ!見た目は男の子だけど、実際は精子はないからね。だから彼女を予め外に出して貰ったよ!彼女が聞いたら一番、ショックが大きいと思うからね。わたしとしては一刻も早く男性性器の摘出手術をオススメしたいけど、」
「ちょっと待って下さい!先生?冗談でしょ?俺がほんとは女?悪ふざけやめて下さいよ!ちゃんとついてるし」 
「でも彼女といて何か感じた?」 
「実は、全然、反応しないです。でもそういうことって珍しくないと思うし」 
「反応しないのは男の性器にあるべき精子がないからで、それは普通の現象だよ。彼女のためにも早いうち別れた方が良いよ!それと自分で納得行かないなら女性の性器自分で触って確かめてごらん。血が手につくと思うけど、因みにまだ痛い筈だよね?あとで鎮痛剤出すから飲みなさいね」 
「女性の性器?俺にあるわけない。」 
俺がそういうと先生は、いきなりズボンとトランクスを脱がすとトランクスを見てごらんと指示する。
確かに信じられないけど血がついている。
次にベッドの近くの椅子に座るよう指示すると股を開いてといい女性の性器らしきところを先生が右の指で触れてここだよ!と言う。
恐る恐る俺は、そこを確かめるため、先生が触れている同じ位置を触ってみた。
自分でも信じられないけどある筈のない位置に穴がある。
俺は、ショックのあまり言葉を失った。
しばらくうろたえると
「ずっと男として15年生きてきたのに今更、実は本当は女の子だったなんて直ぐに受け入れるわけないです。確かに彼女のためにも別れます。でも彼女に本当の事は知られたくない。」
「わかった。彼女さんには秘密ってことで、上手く彼女には君の傷病を誤魔化すことにしよう。あと、君は、今後は、特に男の友人の前で着替えないように気をつけた方が良いだろう。」
「分かりました。気をつけます。」 
「それと近々、親御さんと一緒に病院に来ること、良いね?」
そういうと先生は、四角い紙のようなものを俺に渡す。
「これはナプキンって言うんだけど血を受けとめるために暫くの間は下着につけてから履きなさい。はじめは先生がトランクスにつけてあげるけど次回は自分でやって見てね。」 
先生は、トランクスにそれをつけてくれて早速履きズボンも履く。睾丸に血が回っているお陰で周囲の血の汚れは酷くないがとにかく睾丸だけじゃなくあちこちが痛い。 
「先生、鎮痛剤下さい。」 
そういうと先生は真っ先にくれて病室の洗面台のそばに置いてあるプラスチックのコップに水を汲んでくれるとそれを俺は、お礼を言いながら受け取ると薬を飲む。
「では、今日一日安静すると良い。入院するほどではないから痛みが和らいだら帰って大丈夫だよ!では、失礼するね。お大事に」先生は、部屋から出た。
そのあとノックがして俺がどうぞと言うと彼女が再び部屋に入ってきた。 
「先生から聞いたわよ!ただの腹痛なんだってね。よかったたいしたことなくて、、、それなのに進ったら大袈裟に痛がるんだから~もう~」 
「▪▪▪▪」 
俺は、どう切り出して良いかわからなくって 
「どうしたの?こわい顔して?なんか進?変だよ?」 
顔が無意識にこわばっていたようで 
「▪▪▪喜代美!ごめん。別れよう!」 
「(泣)いきなり別れようなんて、言わないで(泣)嫌いにならないで!別れたくないよ(泣)」 
「喜代美▪▪▪ごめん▪▪」 
泣きながら彼女は部屋から飛び出しそのまま帰ったようで急に静かになった。 
これでよかったんだ、お互いのためにも
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み