エピローグ⑨
文字数 1,283文字
入院して早い物で、もう春になっていた。
当然、卒業式は出れないけれど、学校側が気を回してくれて卒業証書は、郵送してくれるそうだ。
結局、高校入試も出来なかった。
ダンススクールの方は実習生が増えたそうで
俺のお腹は三ヶ月だけあって目立ってきていた。
実は、出産後に女性適合手術することになった。
母体と赤ちゃんを守るために、少しでもリスクをなくした方が良いとの先生のアドバイスで、出産予定日は、11月上旬、安定期まであと二ヶ月だそうでそれまで安静にと看護師さんに忠告された。
いつの間にか、俺の髪もめちゃ伸びていて入院当初は、男の子にしか見えなかったが、今では、どこから見ても女性にしか見えないと思う、胸も膨らんできて、乳腺が痛くてたまに、自分で絞って出している。
妊娠するとこんなに胸がはるなんて予想してなかった分大変である。
月日が流れ、漸く安定期を迎えた。五月、段々とぽかぽか陽気、そして、、、更に月日が流れいよいよ出産日が近づくにつれて陣痛が、、、帝王切開で、学が見守る中、分娩室で産声が聴こえてくる。
産むのがこんなに辛い なんて、ようやく我が子とご対面。
「女の赤ちゃんです。おめでとうございます」
そして更に数日後部屋の外からノックをする音がするので、どうぞと言うと、意外な人物が顔を出す。
「喜代美❓どうして?」
「早香ちゃんに聴いたの、正直、信じられなくてショックだったけど進には、かえって別れの理由聞かされなくて感謝してる。あの時の私は、混乱して何するかわからなかったと思うから母親になったんだね。おめでとう!」
「俺こそ、喜代美には悲しい思いさせてごめんね。あと2、3日したらいよいよ女性適合手術受けるんだ。退院したら、学と一緒に暮らすのと戸籍の性別変更届も出す予定だし、新しい名前が決まったら知らせるね。」
「進?今、しあわせ?」
「うん!しあわせだよ♪好きな人の子供を授かって、真性半陰陽で、オレっていったい?と思って悩んだ事がうそみたいで今、凄くしあわせだよ♪」
「そっか、良かった。その言葉聞くだけで私は、自分の事のように嬉しいよ」
「ほんとに自分の気持ちを試すために喜代美を利用してたんじゃないかって酷いことしてごめんね」
「もう良いから、謝らないで」
「こんな俺を好きでいてくれてありがとう。これからは良い友人としてよろしくね」
そして、、、更に歳月が過ぎ、俺たちは結婚する。
「真鍋直美、如何なる時も健やかなる時も夫、橘学を愛する事を誓いますか?」
「誓います。」
「橘学、如何なる時も健やかなる時も妻、真鍋直美を愛する事を誓いますか?」
「誓います。」
フラワーシャワーで、友人や親戚から浴びせられ、俺は、ブーケを投げる。
その中には、赤ちゃんを抱えた母さんと早香も交えていた。
ブーケを受け取ったのは喜代美で、それを確認すると俺は、喜代美にグッジョブした。
オレは、とてもしあわせ、辛い事も有ったけどほんとに生まれてきて良かった♪
完