電話③

文字数 823文字

そしてようやくクスリが効き痛みが和らぐと自宅にスマホで電話する。
「はい!もしもし、真鍋(まなべ)です」と母親の声 
「あ!母さん、俺だけど進だよ!」 
「あら?進?喜代美ちゃんとデートじゃなかったの?喜代美ちゃん!家に帰ったようよ?喧嘩でもした?」 
「実は、別れたんだ!理由は言いにくいから、あとで話すよ」
「別れたの?あんなに仲良かったのに、なんで?あ!ごめん。話しにくいのよね。ところで貴方、今、どこに居るの?」 
「千葉にある総合病院だよ!今から帰るから」 
「病院って、何処か具合でも悪いの?心配するじゃないの」 
「具合悪いは悪いけど、重い病気ではないそうだから。それと母さんに今後の悩みとか聞いて欲しいし、とにかく帰ったら話するよ!じゃああとでな!」 
「わかったわ。気をつけて帰りなさいよ。」 
「うん。じゃあ切るよ!ガチャ」 
そして身仕度すると病院をあとにした。
今、思えば、ショックではあるものの心当たりある節はいっぱいある気がする。
例えば中3になっても未だに声変わりしないことや喉仏がないことやずっと思い過ごしとは思っていたけど2つ上の親友の学(まなぶ)が絡んでくると動悸が止まらない時がしばしばあるし
女子が可愛い物を持っているの見かけると俺も欲しいとか思ったりするし、喜代美と付き合いはじめたのも俺の理性を確かめたかった訳だし、喜代美は昔から好きだった。
だけどときめかないからおかしいとも思ってはいたけど、一時は性同一性障害なんじゃないかとも思った事もあった気がするような。
自分自身がいったい何なのかはっきりして嬉しい筈なのに今後、どうして良いのかわからない不安が俺の中で押し寄せてくる気がした。
このまま男でいても中途半端だし、子供を産める身体なら相手は学しか考えられない。
学に、ほんとの事言う勇気が俺にあるんだろうか? 
そんなことを色々考えながら電車に乗っているといつの間にか最寄り駅の新木場に着いた。
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