第10話 バラエティー番組のドッキリ企画で彩香ちゃんが騙される

文字数 1,938文字

 テレビのバラエティー番組にレポーター役で出演する事になった。
お笑いタレントのデモリさんが司会を務める人気番組だ。
私と彩香ちゃんが正体を隠してメイド喫茶の店員になって隠し撮りをするという企画だった。
収録のロケの直前に私だけマネージャーに呼ばれた。
なんの話だろうと思っていたらこんどの番組ではドッキリ企画があって騙されるのは彩香ちゃんだと聞かされた。
裏通りで私と彩香ちゃんが店のビラを配っているとき彩香ちゃんの学校の生活指導の先生に見つかって「君は退学だ」と言われて彩香ちゃんが泣き出したときドッキリの看板を持ったスタッフが登場すると言う手はずだった。
私はそんなにうまく彩香ちゃんが騙されれて泣き出すのかと思って不安な気持ちだった。
収録の当日は秋葉原で古くからある有名なメイド喫茶に行った。
店の中は見た目は普通の喫茶店だけど、窓際にレースのカーテンが掛かっていたりして女の子っぽい雰囲気だ。
入り口のドアも古めかしい感じで外から見ると、お洒落なカフェに見える。
撮影のスタッフが隠しカメラをあちこちに仕掛けて準備を始めた。
最近の隠しカメラはマッチ箱ほどの大きさだけれども高性能だ。
開店前の控室で他のメイドの女の子達に紹介された。
メイドの女の子達は見た感じは普通の女子高生で特に派手な感じはなかった。
女子高の制服を着ている女の子もいたけど、本物の女子高生かどうかは見た目では判断できない。
女の子達は私と彩香ちゃんがラブエンジェルズのメンバーだと判ると、羨望の眼差しで私達を見つめていた。

ーー 以下 AIのべりすとが自動生成した文章 ーー

その視線を感じながら私たちは控え室からスタジオに向かった。
楽屋にはテレビ局のスタッフやタレントなどの関係者が集まっていた。
私が挨拶をして部屋に入るとみんなが一斉にこちらを見た。
私は思わず緊張してしまった。
スタッフの一人が私の方にやってきた。
「あなた達が噂になっているラブエンジェルズの二人ね?」
私はコクンとうなずいてみせた。
「じゃあこの衣装を着てもらえるかな? サイズはぴったりだと思うよ」
そういって渡された衣装を見ると、それはピンク色のメイド服だった。
しかもミニスカートなのだ。
「これはちょっと恥ずかしいな…………」
私は顔を赤らめた。
「でもこれが今回のコンセプトだから仕方ないわ」
彩香ちゃんは平気な顔で着替え始めた。
私だけが躊躇していると、もう一人のメイドの女の子が話しかけてきた。
「大丈夫だよ。誰も見ていないし、もし見られたとしても写真に写ったりしないから」
彼女は優しい笑顔を浮かべた。
「はい。わかりました」
私は覚悟を決めてメイド服を受け取った。
着てみると思ったよりもサイズが小さくて少しきつかったけれどなんとかなった。
鏡を見てみるとなかなか可愛らしいメイドになっていた。
でもなんだかすごく自分が情けなく思えてしまった。
メイドの格好をしている自分ではなくて、本当の私の方がもっと可愛いはずなのに…………。
スタジオのセットの中ではもう彩香ちゃんがメイドの衣装に着替え終わって待っていた。
スタッフに促されてスタジオに入る。
カメラマンや照明係など大勢の人に囲まれて私と彩香ちゃんの二人は並んだ。
そして打ち合わせどおりに私だけドッキリの看板を持ったスタッフに騙されるのだ。
「こんにちは~」
彩香ちゃんの声に合わせてスタッフの人達が大きな声を出した。
「はい。こんにちはーっ!」
私はニコニコしながら答えた。
彩香ちゃんが泣き出すふりをする。
「うぇ~ん。ひどいよぉ。わたし退学になっちゃったぁ」
彩香ちゃんの演技は本当に上手だった。
それにしても彩香ちゃんが泣いているところなんて初めて見た。
私は彩香ちゃんが泣き出すところを想像していたのに、いざ本番になると彩香ちゃんは涙一つ見せなかった。
彩香ちゃんは泣き真似をしながら私に抱きついてきて私の胸に顔を埋めた。
彩香ちゃんに胸を押しつけられて私の心臓はドキドキした。
「ごめん。彩香。私も退学になっちゃった」
私もつられて泣き出してしまった。
すると周りにいたメイドの女の子達が私達のまわりを取り囲んでしまった。
「わあっ! 有紀ちゃんと彩香ちゃんが泣いたぞぉ!」
「すごい。本物みたいだ」
みんな口々に騒ぎ始めた。
スタジオの中は大混乱になってしまった。
その時、番組の司会をしていたデモリさんというお笑いタレントが現れた。
彼は大きな声で叫んだ。
「ドッキリ大成功!!」
スタジオ中がどよめいた。
スタッフの何人かも騙されていたようだ。
私は何がなんだかわからなくなってしまった。
とにかくドッキリを仕掛けられた事だけは確かなようだった。
「有紀ちゃんも彩香ちゃんも最高だぜ」
司会のお笑いタレントは笑っていた。
私達は呆然と立ちつくすしかなかった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み