第3話 学校が終わった後午後はダンスのレッスンだ

文字数 6,469文字

 学校が終わった後午後はダンスのレッスンだ。
ダンスの練習用のジャージに着替えると、最初は準備運動のストレッチ。
それから今度のコンサート用のダンスのレッスンが始まった。
二時間ほどレッスンをしたあと、一休みしているとマネージャーがみんなを集めた。
「今度の新曲は、いつもと違う音楽プロデューサーに頼むことになってね、これから挨拶にいくから」と言われた。
レッスンの後はみんなで美味しいケーキ屋さんに行こうと約束してたけど、行かれなくなってがっかり。
マネージャーの運転するマイクロバスに乗って音楽プロデューサーの事務所まで行くことになった。
マイクロバスが入っている途中で、マネージャーが音楽プロデューサのトンキさんについて色々説明してくれた。
とっても有名でいろんなアーティストのプロデュースを手掛けていて、何があっても失礼なことがないように言葉遣いには気を付けるように注意された。
マイクロバスが大きなビルの地下の駐車場にはいると、エレベータに乗って事務所のドアの前まできた。
ひとまず息を大きく吸って気持ちを落ち着けるといよいよトンキさんと対面だ。
事務所に入るとまず大きな声で「よろしくお願いします」と全員で声をそろえて挨拶した。
すぐにトンキさんが奥から出てくると「ぼくがプロデューサーのトンキです」と笑顔を浮かべて全員と握手をした。
一通り自己紹介が済むと「さっそくだけど、今度の新曲のデモテープがあるから聞いてもらおうか」とトンキさんに言われた。
トンキさんが机の上の小さなステレオのボタンを押すとすぐに軽快な音楽が聞こえてきた。
今度の新曲らしい。
トンキさんは途中でステレオを止めると「君たちの声を聞きたいんだ、ちょっと来てくれるかな」と言って録音スタジオに案内した。
小さめの録音スタジオは普段はアニメの声優さんたちが使っているらしくて予定表にはアニメの題名が見えた。
「一人づつ歌ってもらえるかな、伴奏はないからアカペラでやってね」と言われて私はドキッとした。

ーー 以下 AIのべりすとが自動生成した文章 ーー

だって私、カラオケしかやったことがないのだもの…………。
「じゃあ、まず一番目は誰?」と聞かれたので、私が手をあげると他の三人は心配そうに見つめていた。
マイクの前に立つと、心臓がバクバクしてきた。
でもこんなところでビビッてどうするんだ!と思って思いっきり深呼吸すると覚悟を決めて歌い始めた。
最初のうちはあまり緊張しなかったけれど、だんだん恥ずかしくなってきた。
顔が赤くなっているんじゃないかと思うくらい熱くて汗が出始めてしまった。
それでも一生懸命歌った。
歌っていくうちにだんだん慣れてきて今度は自分がどんなふうになっているのかが不安になり始めた。
私の歌声を聞いたトンキさんは途中で止めてしまうと「うーん、君の声質だとバラードよりもアップテンポの曲の方が似合うと思うんだけど、どうかな? たとえば『ラブエンジェルズ』みたいな曲とか」と言いながらパソコンを操作しはじめた。
そしてCDのジャケットを見せてくれた。
そこには赤い髪の女の子の写真があった。
「これ知ってるよ、この子可愛いよね!」と裕美ちゃんが言うと、「そうなんだよ、だから今回この曲をやろうと思ったわけなんだ」と答えた。その後トンキさんの説明によると、『ラブエンジェルズ』というグループは今若い女性を中心に人気があるグループなのだそうだ。
最近では男性ファンも増えているらしい。
特にリーダーの千春さんの可愛らしさと他のメンバーの個性溢れるファッションセンスの良さなどが人気の秘密だという。
「うん、僕もこの曲ならピッタリだと思うな」
トンキさんに褒められた瞬間、私は嬉しくなって思わずガッツポーズをとった。
「次は誰が歌うの?」と裕美ちゃんに言われてみんなの視線が集まった。
「えっと、わたし…………」
おずおずと手をあげた時だった。
「あれっ、みんなここにいたの?」
後ろの方にあるドアから男の子が顔を覗かせた。
「あっ、タクトくん」とトンキさんが言った。
「今日練習休みなのに、なんでみんないるの?」と不思議そうにしている。
「みんなでケーキを食べに行くはずだったの」と綾菜ちゃんが答えた。
「ああ、そういうことか。それならみんなで行っておいでよ」とニコニコしながら答えた。
「いいの、タクトくんは?」と裕美ちゃんが聞いた。
「実は俺、これからバイトがあるんだ。だからまた今度ね」と言うと急いで出て行ってしまった。
「ケーキ食べ損ねちゃった」とみんなで残念がっているとトンキさんが「じゃあ、そろそろレコーディング始めるから、準備して」と言った。
それから順番に歌っていった。
私は自分の順番が来るのを待っている間、何回も「大丈夫、できる」と自分に言い聞かせた。
そしていよいよ私の番になった。
「じゃあ、まず君から」トンキさんに指名されると、マイクの前に立った。
私は震える手でマイクを握ると歌い始めた。
途中で歌詞を間違えたり、音程を外したりしてはいけないと頭の中で何度も繰り返して、やっとのことで最後まで歌い終えた。
トンキさんはもう一度最初からやり直しだと言って、ヘッドフォンで聴きながら色々調整をしているようだった。
その間に他の三人が歌っている。
みんな緊張しているせいか、あまり上手くない。
時々「もう少しハキハキ歌ってみて」と指示されるけど、私もだいぶ落ち着いてきた。
そしてついに「OK」が出た。
ヘッドフォンを外すとトンキさんが笑顔を浮かべて拍手した。
「君の声は素晴らしかった、声域的にもバラードよりもアップテンポの曲の方が向いてると思う」と言ってくれた。
「ありがとうございます」と私が答えると、みんなも口々に「よかったよ」と言ってくれて、私はちょっと照れくさくなった。
「じゃあ、次はこの子にしようかな」
「あの、私でもいいですか?」
「もちろん、君はどう思う?」
「はい、私もこの曲でやりたいです」
「じゃあ、決まりね」
トンキさんはそう言うとCDを取り出して次の曲をかけた。
それは『LoveAngels』という曲で、タイトル通り天使のような女の子たちの歌だ。
私も知っているような有名な歌手が何人も参加している。
さっきの『ラブエンジェルズ』とは違って、元気いっぱいの明るい曲が流れている。
でも、なんだかこっちの方が自分には合っている気がした。
それに、この曲ならいつもみんなに頼りっぱなしの私がリーダーとして頑張れるかもしれないと思ったのだ。
トンキさんは「じゃあ、この子をお願いします」と私にマイクを手渡してくれた。
「はい、わかりました」
私は力強くうなずくと、深呼吸をして歌いだした。
歌っている途中で、私の歌声はどんどん大きくなっていった。
みんなは目を丸くして驚いていた。
「すごい、こんな大きな声で歌うんだ」
「わたし、びっくりしちゃったよ」
そんなみんなの反応が嬉しくって、もっと自信が出てきた。
そして最後のサビの部分に差し掛かったところで、それまでより大きな声で思いっきり叫んだ。
『ラブエンジェルズ』の時には出なかった大声がスタジオ中に響き渡った。
その瞬間、私は自分が生まれ変わったかのような気分になった。
「すげー」「カッコイイー」
みんなからの歓声に私はすっかり有頂天になっていた。
「うん、やっぱりこの子はボーカル向きだよ」
トンキさんの言葉にみんなもうなずいている。
「はい、よろしくお願いします」
「よしっ、これで決まりだ」
トンキさんの嬉しそうな顔を見て、私も嬉しい気持ちになった。
「それでは、次はキーボードの君」
「はい」
私は返事をするなり椅子に座って鍵盤を叩き始めた。
最初のうちはミスが多かったけれど、何度か弾くうちにだんだん調子がよくなってきた。
「なんか、今日はすごくいい感じじゃない?」
綾菜ちゃんが褒めてくれた。
「うん、いいね。これなら問題なさそうだね」
トンキさんも満足そうだった。
「はい、大丈夫です」と私が言うと、みんなが一斉に拍手をしてくれて、私はますます舞い上がってしまった。
それからはトントン拍子で話が進んでいった。
レコーディングの日取りを決めて、衣装やメイクなどの細かい打ち合わせを行った。そして最後に私の芸名が決まった。
トンキさんからその名前を聞いて、私は思わず叫んでしまった。
「えー、ヤダよ、絶対イヤ!」
「どうして?」
「だって、それじゃあ、まるでアイドルみたいじゃん。私はそんなのになるつもりはないもん」
すると、トンキさんは優しく微笑んで私の頭を撫でた。
「大丈夫。これはあくまでイメージだから。名前だけ変えればいいんだよ」
「でも…………」
私は躊躇していた。
しかし、トンキさんが「いいから、いいから」と言うと、他のみんなも「いいんじゃね」と賛成してしまった。
「ほら、君も早く」
「は、はい」
私は仕方なく立ち上がり、前に出た。
「あの、みなさん、聞いてください」
私がみんなに呼びかけると、みんなは笑顔で応えてくれる。
「私、今回が初めてのレコーディングで緊張しています。でも、これからも頑張っていきたいと思いますので、応援してくださると嬉しいです。そして、私にこの新しい名前をくれてありがとうございました」
私は深くお辞儀をした。
そして、再び顔を上げると、そこには拍手と笑顔が溢れていた。
「じゃあ、今度こそ解散」
トンキさんが宣言した瞬間、みんなは「また明日」と言って帰って行った。
「じゃあ、私も帰ります」
「うん、気をつけてね」
「はい、ありがとうございます」
私はぺこりと頭を下げると、スタジオを出て家路についた。
家に着いてからも、なんだかまだ夢の中にいるような不思議な感覚が残っていた。
ベッドの上に寝転がって天井を見つめていると、いろんなことが思い出されて涙が出そうになった。
「私、本当に変わったのかな…………」
そう呟いた時、ドアがノックされた。
「はい?」
「あ、俺だけど」
声の主はタクトくんだった。
私は慌てて起き上がると、「どうぞ入って」と言った。
そして、二人でソファーに座った。「ねえ、なんかあったの?」
「へっ? なんのこと?」
「なんか、今日の有紀ちゃん、いつもと違って見えたから」
「そ、そう?」
私は少し照れてしまった。
「うん、なんていうか、今までより明るくなったっていうかさ。それに、ちょっと大人っぽくなってたような気がしたんだ」
「そっか、そうかもね」
私は素直な気持ちになって、タクトくんに話した。
「実は、今日レコーディングしてきたの。それで、初めて自分の曲をリリースしたんだけど、それが結構評判よくってさ。それに、新しい芸名までもらったんだよ」
「どんな名前?」
「えっと、それはヒ・ミ・ツ。ま、とにかく私は生まれ変わったの。ううん、生まれ変われたっていうのが正解だと思うんだ。そして、私はもっとたくさんの人の前で歌いたいと思ったの。だから、これからもよろしくお願いします」
私は深々と頭を下げた。
「有紀ちゃん」
「はい」
私は返事をして顔を上げた。
「有紀ちゃんは、歌が好き?」
「うん、大好き」
「じゃあさ、もしよかったら、俺たちと一緒にバンドやらない?」
突然の申し出だった。
「私たちって、タクトくんたち?」
「そう、俺たち四人でさ」
「でも、それだったら、私なんかよりも他に上手い人いるんじゃないの?」
すると、タクトくんは「そんなことないよ」と首を振った。
「俺は、有紀ちゃんの歌が一番好きだよ。もちろん、他のメンバーも。だから、一緒にやりたいと思うし、きっといい音楽ができるんじゃないかと思ってるんだ。どうかな?」
私はタクトくんの顔を見た。
彼の目は真剣そのもので、冗談を言っているようにはまったく見えなかった。
「あの、でも、私は…………」
「無理ならいいよ。ただ、一度考えてみて欲しいんだ。その、前向きに」
「…………わかった。じゃあ、帰ったらお父さんに相談してみるよ」「ああ、頼む」
そして、私は家に帰った。
お母さんは私の話を黙って聞いてくれた。
「つまりね、私はアイドルになりたいわけじゃないの。でも、私は歌うのが好きで、それをみんなに見てもらいたいの。だから、そういうことをやってもいいのかなって思って」
私が話すと、お母さんはとても嬉しそうな顔をしてくれた。
「あなたは昔から歌がうまかったからね」
「でも、私はそんなんじゃなくて…………」
「わかっているわよ。別に恥ずかしがることなんか何もないの。みんながあなたの歌声を聞きたがっているの。だから、堂々とステージに立って歌ってきなさい。そして、最高の笑顔を見せてあげてちょうだい」
お母さんは優しく微笑んで、私を抱き締めてくれた。
私はその言葉を聞いて、ようやく決心がついた。
「私、アイドルになる」
「うん、それがいい。応援するからね。頑張ってきなさい」
「ありがとう、お母さん。私、頑張る」
こうして、私とお母さんは、私のためにライブを開催することになった。
「ねえ、これってどういうこと!? なんで私、こんな格好をしているの?」
「いや、だって、ステージで着る衣装を用意しておかないとさ」
「私、ドレスとか持ってないし!」
「大丈夫だよ。今、借りてきたから」
「あ、そういえば、今日レコーディングだったよね」
私はふと思い出した。
「あー、すっかり忘れていた。どうしよう、替えの衣装なんて持ってきてないよ」
「心配すんなって。もう用意してあるから」
「えっ?」
そう言うと、タクトくんは私を連れてスタジオに入った。そして、大きな鏡の前に私を連れていくと、何やらゴソゴソし始めた。
「ほら、着てみな」
そう言って、タクトくんはある服を手渡した。
「うそっ、これって…………」
それは、前に一度だけテレビで見たことのある衣装だった。
「さあ、早く着替えようぜ」
タクトくんに促されて、私は衣装に袖を通した。それは、まるで妖精のような可愛いデザインをした、ピンク色のワンピースだった。
そして、私はメイクを施された。
髪をセットされ、普段はしないような濃い目の化粧をされた。
さらに、いつもとは少し違う髪型にした。そして、最後に、
「はい、完成」
と言って、タクトくんが私の背中を押した。
「有紀ちゃん、綺麗だ」
私は恐る恐る振り返った。そこには、見違えるような姿になった自分が立っていた。
「ちょっと、恥ずかしいよ」
「なに、これからもっと恥かしい思いをすることになるんだぞ」
「えっ?」
私はタクトくんの顔を見た。すると、彼は悪戯っぽく笑っていた。
私はその表情を見て、全てを察した。
「うそ…………」
「さあ、行こう」
「待ってよ、心の準備ができてないよ」
「準備は必要ないよ。有紀ちゃんはただ、俺についてくればいいから」
「でも、やっぱり恥ずかしいよ」
「大丈夫、俺たちは仲間だから」
「でも、私なんかじゃ、絶対似合わないよ」
「そんなことない。有紀ちゃんは十分可愛くて、歌も上手いんだ。自信を持っていいんだよ」
「でも…………」
「さ、行くよ」
そう言うと、タクトくんは私の手を握って歩き始めた。
「ちょ、ちょっと、タクトくん」
すると、タクトくんは立ち止まってこちらを振り向いた。
「なあ、有紀ちゃん。俺は君のことを一番好きだと言ったよな」
突然の言葉に、私はドキッとした。
「えっと…………うん」
「だから、俺を信じてくれ。そして、一緒に最高のステージを作ろう」
私はタクトくんの真っ直ぐな瞳を見つめた。
彼の目は、嘘偽りのない気持ちを伝えてくれるように、キラキラと輝いていた。
「わかった」
私は、ゆっくりと首を縦に振った。
「じゃ、いこう」
再び前を向いて、再び歩き始める。私はその後ろ姿を、黙って見つめていた。
そして、私たちはついにステージへと上がった。
そこは、小さなライブハウスだった。
だけど、観客は私たちの姿を見つけると、一斉に歓声を上げた。
「みんな、こんにちは。ラブエンジェルズのみんなです」
タクトくんが挨拶をする。
「今日は、私たちのデビューライブに来てくれてありがとう」
私も、精一杯の笑顔で言った。
「それでは聞いてください。『Love Affair』」
そして、私は歌い出した。
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