第9話 新曲の宣伝のためにお昼のバラエティー番組に出演することになった

文字数 4,107文字

 新曲のプロモーションビデオの撮影が終わると、新曲の宣伝のためにお昼のバラエティー番組に出演することになった。
司会はお笑いタレントで有名なデモリさんだ。
早めに放送局のスタジオに着くと、控室に案内された。
衣装に着替えてメイクも済むと、他控室のタレントさんに挨拶周りをすることになった。
マネージャーと一緒にまず司会のデモリさんの控室にいってドアをノックすると返事がない。
構わずにマネージャーがドアを開けて控室に入ると、デモリさんはソファーで寝てる。
よっぽど疲れているらしい。
「デモリさん挨拶に参りました」とマネージャーが声を掛けるとデモリさんは眠そうな目で顔を上げた。
私達は「ラブエンジェルズです。宜しくお願いします」と声を合わせて挨拶してお辞儀をした。
「あ、そう。昨夜寝てないんや」とぶっきらぼうに言うとデモリさんはまた寝てしまった。
ラブエンジェルズの最新のシングルCDを渡そうと思って持ってきたがこれでは渡せない。
邪魔をしても嫌がられるだけだと思って私達はすぐに控室を出た。
次に行くのは映画監督の篠塚監督の控室だ。
ドアのノックすると「どうぞ」と篠塚監督の声が聞こえた。
控室には篠塚監督の他に主演男優の純二さんもいて、愛想のいい笑顔でこちらに振り向いた。
私達は部屋に入るとラブエンジェルズです。宜しくお願いします」と声を合わせて挨拶してお辞儀をした。
「いや、君たち可愛いね、歳はいくつなの」と篠塚監督が聞いてきた。

ーー 以下 AIのべりすとが自動生成した文章 ーー

「十八歳です」と答えると、「高校生じゃないんだね」と言って少し残念そうな顔をした。
「じゃ、ちょっとこっちに来てくれるかな」と言うと篠塚監督は隣りにあった椅子に腰掛けた。
私達も向かい合って座った。
「実は僕も今年還暦なんだよね」と言いながら自分の頭を指した。
「えーっ! 見えませんよ」と私が言うと、
「ホント? 嬉しいねえ。ありがとう」と満面の笑みを浮かべた。
「でももうじき定年だからさ、そしたら引退するつもりだよ」と言った。
「これから何をするんですか?」と聞くと、
「僕は映画が好きでさ、定年退職になったら映画作るんだ」と答えた。
「どんな映画ですか?」とさらに尋ねると、
「それは秘密だけどね、君たちが主役になるようなヤツだよ」と笑って答えた。
「へぇ~ 凄いなぁ」と私が感心していると、
「でもね、僕らだっていつまでも遊んでるわけにもいかないからね。僕の方からも何か企画させてもらおうと思ってね。まあ楽しみにしててよ」
篠塚監督はそう言って立ち上がった。
最後に挨拶するのは監督の控室で、そこには主演男優の純二さんもいた。
純二さんは四十代半ばの背が高くて恰幅の良い人で、いかにも金持ちの坊ちゃんという感じだ。
私達が控室に入るなり、いきなり大きな声で話しかけてきた。
「君たちもテレビに出るのか。若いからって調子に乗るんじゃないよ」と睨まれた。
その迫力に押されながらも挨拶をする。
「ラブエンジェルズです。宜しくお願いします」と声を合わせてお辞儀をした。
「俺はこのテレビ局の社長の息子で純二っていうんだけどさ、お前らも親の顔が見たくてここに来たんだろうけど、俺も社長の息子なんだぜ」と威張っている。
私は恐い人だと直感的に思ったが、マネージャーは慣れているのかニコニコしながら話を聞いている。
「まあいいや。今日はうちの番組に出てもらうことになったんだから。よろしく頼むわ」
そう言うと純二さんはマネージャーに握手を求めてきた。
マネージャーはにっこりと微笑むと握ってきた手を握り返した。
私とマネージャーは顔を見合わせてうなずきあった。
マネージャーは私の方をチラッと見てニヤッと笑うと、
「純二さん、今日の収録は私と一緒ですよ」と耳元で囁いた。
「何それ。どういうこと」とマネージャーの方を振り向くと、
「大丈夫です。心配しないでください」とマネージャーは私の肩をポンと叩いてにっこりした。
私達は番組スタッフに案内されてスタジオに入った。
撮影現場は出演者が沢山いて、みんな忙しそうにしている。
ラブエンジェルズの私達は監督やプロデューサーに紹介されて、まず篠塚監督の所に行った。
篠塚監督は私達に笑顔を向けた後、
「じゃあ早速始めようか。準備しておいてね」と言って、スタッフに合図を送った。
私達はセットの中央に置かれた椅子に座った。
すると、すぐにカメラが回り始めた。
照明も明るくなって、緊張の面持ちで撮影が始まった。
篠塚監督の指示に従って私達はポーズを取ったり、笑顔を作ったりするのだが、時々カットがかかると、私達の表情が強張ってしまう。
カメラマンの後ろではメイク係の女性が大きな鏡を出して、私達の姿をチェックしている。
そして、「もっと楽しそうな顔をして!」とか、「リラックスして! 笑顔を忘れずに」などと声をかけてくれる。
「はい。オッケーです! お疲れ様でしたーっ」と言う声と共に、撮影が終了した。
終わったと思った瞬間、
「はい。次は休憩に入っていいよ」と言われた。
「えーっ! まだ三十分しか経ってませんよ」と私が抗議したが、
「いやいや、十分以上は休んでるでしょ。僕ももうすぐ出番だから行くね。あとは自由にやってよ」と言って、篠塚監督は出ていった。
私とマネージャーは顔を見合わせた。
「どうする?」とマネージャーが聞いたので、私は「ちょっとトイレに行ってくる」と答えて席を離れた。
しかし、用を足した後、洗面台の前で化粧直しをしている女性を見て驚いた。
なんとその女性は先ほど純二さんの控え室にいた、あの篠塚監督の愛人の純子さんだったのだ。
私はびっくりしてその場に立ちすくんでいた。
「あれ? あなた、さっきのテレビ局の人じゃないの」と気づかれたので、私はぎこちなく会釈をした。
「あら、可愛い子連れてるわねぇ。恋人かしら?」と言われて真っ赤になってしまった。
その時、マネージャーがやってきたので、
「ねえ、今の人って、この局の社長夫人よね」と小声で聞くと、
「そうだよ。あんまり近づかない方がいいよ」と真面目な口調で答えた。
「どうして?」
「だって、不倫してるんだもん」
「うそっ」
「本当だよ。あの奥さん、最近男作ってばっかりなんだって」
「へぇ~。すごいね」
「しかも、その相手はうちのプロデューサーらしいよ」
「そうなんだ」
「うん。噂だけどね」
「でも、社長の息子さんは知ってるんだろ」
「そりゃ、もちろん。あんなに露骨にやってたら誰だって気づくだろ」
「それで何も言わないんだから変な親子関係だなぁ」
そんなことを話しているうちに、篠塚監督が戻ってきた。
純二さんは私の所にやってきた。
「おい、俺のこと、何か言ってたか?」
「いえ、別に…………」
「そうか。あいつに聞かれると困るから教えてくれないか」
「大丈夫ですよ。本当に大丈夫ですから」
「ありがとう。助かるよ」
純二さんはそう言うとニコッとした。
それから、スタッフに呼ばれてスタンバイに向かった。
私達はまた椅子に座って待機していた。
すると、篠塚監督と一緒に純二さんが入ってきた。
「お待たせしました。じゃあ、再開しましょうか」
監督にそう言われたが、私達は動かなかった。
「えっと、どうかしたのかな?」
篠塚監督は少し困惑気味に言った。
「すみません。私、気分が悪くなったみたいです」
「大丈夫ですか?」「はい。ちょっと眩しいせいかもしれません。先に帰ってもいいでしょうか?」
「ああ、いいよ。じゃあ、後はよろしくお願いします」
「分かりました」そして、監督と純子さんは出て行った。
スタッフもみんな出て行くと、急にシーンとなった。
しばらくして、メイク係の女性が純子さんの顔を直し始めた。
「やっぱり、顔色悪いですね。ちょっと休憩していきます?」
「はい。すみません」
そして、純子さんはふらつきながらトイレに行った。
しばらく待っていると、純子さんが出てきた。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様でした」そして、純子さんは帰っていった。
その後、私とマネージャーは控え室で休憩しながら雑談をしていた。
「あのさ、実は私、この前、篠塚監督の愛人に会いに行ったんだけどさ」
「ええっ? どこで?」
「ほら、うちの番組、毎週、芸能人が来るじゃん。で、あのホテルで会ったんだよ」
「えーっ! マジで?」
「うん。本当だよ。でさ、私、あの奥さんが不倫してるの知ってたけど黙ってようと思って」
「どうして?」
「だって、社長の息子さんが知ってるんでしょ? それなのに、奥さんだけ責められるの可哀想じゃない」
「なるほどね。確かにそうだな。僕、全然知らなかったよ。何で言ってくれなかったの?」
「だって、あの人、あんまり喋らない人だから言い出せなくて」
「そういうことか。でも、おかげで分かっただろ?」
「まあね。で、その時、彼女が不倫してること聞いて、衝撃だったんだけど、彼女、全然平気みたいな感じなのね」
「へぇー、すごいなぁ」
「きっと慣れてるんだろうな。でも、なんかショックだったよ」
「そうだな。それは分かるよ」
そんな話をしていると、純二さんが戻ってきた。
「あ、お帰りなさい。どうでした?」とマネージャーが聞いた。
「ああ、ありがとう。すごく良かったよ。あとは編集すれば完成だね」
「はい、頑張ります!」
「ところで、君はもう帰るのか?」
「いえ、まだいます」
「そうか。じゃあ、もう少しここにいて、君の演技をチェックしてから帰るよ」
「はい。分かりました」
「じゃあ、お先に失礼するよ」
そう言うと、純二さんは荷物を持って出て行った。
「じゃあ、私達も帰りましょうか」
「そうですね」
私は、純二さんが出て行く前に、彼がスタッフに何かを耳打ちしていたのを思い出していた。
それが、何を言ったかは聞こえなかったが、何か大事なことを話しているように見えた。
しかし、そのことは考えないようにした。彼は、私に何かを隠している。
そして、私も彼に何か隠し事をしている。
それは、お互いが分かっていた。
それでも、何も言わず、気付かないフリをしている。
なぜなら、彼と同じことを私もしたくないからだ。
たとえ、相手が誰であろうと、人の秘密を勝手に暴いたりしてはいけないと思うから。
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