第16話

文字数 308文字


「優作、私の秘密を聞いて欲しいの」と私は言いました。

私は彼に話しました。愛せば、その人が消えてしまうこと。これまで私の愛した人たちは何人も消えていき、彼らの記憶は世界から抹消されてしまうこと。家族は消えず、よって私が消えることはないこと。だから私は毎日が辛いこと。死にたいこと。そして優作を愛してはならないことを。

彼はもちろん驚いていました。
しかし彼は言いました。「なら、俺が消えた時、絵梨は俺のことが好きってことになるんだな」彼は笑っていました。また無邪気な笑顔で。

どうして?どうしてあなたは笑っていられるの?
「あなたは死んでしまうのよ」私は言いました。
「構わないさ」と彼は言いました。
「君に愛されたいんだ」



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