第2話

文字数 451文字

私は雨が好きです。それは、雨が私の心模様に共感してくれていると感じるからです。
また、他に身を委ねられるものが存在しない、というのも、雨を好きにならざるを得ない理由のひとつだと思います。




私の心には暗雲が立ち込めています。その雲は分厚く、太陽の存在そのものを消し去ります。なので私の見る景色はいつも灰色です。その雲は時には雨を降らし、時には静寂を貫きます。この雲は私の歩みに対し、全く同じ歩幅で迫ってくるので、取り払われることはありません。それはまるで自分の影のように、ぴったりと後を追ってきます。

何度死のうと思ったか分かりません。私の歩む道はいつの日にか奈落と化していました。ぽっかりと大きな穴が空いていました。そしてその暗くて先が見えない穴に私は今もただただ落ち続けています。もう恐怖はありません。ただ死にたいだけです。

死ぬのはいつでもよかったのです。ですがこうして生きているのは、きっと、自分の死を何か特別なものにしたかったからだと思います。

そう思うのは、私が多くの死を見てきたからだと思います。
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