第3話

文字数 386文字

幼稚園に通っていた時のことです。
私は極度の人見知りで入園から何日経っても友達ができなかったように記憶しています。

教室の片隅で塗り絵をしていました。

「えーりちゃん、あーそぼ」と同じ学年の女の子が話しかけてきました。
「うん、いいよ」と私は言いました。
突然のことでびっくりしましたが、すぐに心臓が歓喜のビートを刻み始めました。
しかし私は嬉しかった反面、怖くもありました。私は自分がうまく話せるのか、そして会話が面白くなくなってこの話しかけてくれた子がどこかに行っちゃうんじゃないかという恐怖がありました。

「えりちゃんって呼んでもいい?」
「うん、いいよ…。あの…。」
言葉に詰まる私を見て彼女は言いました。
「なつみだよ」
「なつみちゃん」
「そう!」
私は意を決して言いました。
「私もなつみちゃんのことなっちゃんって呼んでもいい?」
私の声は震えていました。
「いいよ!」と彼女は言いました。
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