第14話

文字数 390文字

私はある夢を見ました。

私は海を泳いでいました。底は暗くてよく見えません。天気は雨。止まれば海の底に飲み込まれてしまうという恐怖を抱えたまま、何日も何日も泳いでいるような気がしました。

目的の島なんてありません。ただ舟が通りかかって私の手を引くのを待っていました。

当然私を助け出そうとする人は舟の上でバランスを崩すでしょう。現にこれまで舟でやってきた人は皆、私を掴んだはいいものの、バランスを崩して海に落下してしまいました。ばちゃん、と水飛沫が上がります。そこで彼らの役目は終わったのか、霧になって消えていきます。

私を助け出そうとしてくれた人たちが霧になって消えていくのはとても耐え難かったです。

ああ、また舟が通りかかった。乗っているのは男性です。彼の手を引いては駄目。でも泳ぐのはもう耐えられない。親切な彼は私に手を差し伸べてきます。

そこで私は目を覚ましました。私は泣いていました。
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