赤裸々セルフパブリッシング~KDPの光と影と大人の事情

文字数 3,452文字

「すごーい、すごーい! めっちゃラクチンですねー!」
「わたしでも、扱えるなんて……Python、恐ろしい子っ!」
「Pythonじゃなくてプログラムをほめなさいよ……」
「まあ、Pythonのおかげで簡単に作れたのだけれどもね」
「ほんとうにすごいですよ。ここまで簡単なんて驚きですわ!」
「やったー! これで神さまのめーれーコンプリートですねっ!

 一時はどうなることかと思っていました……。」

「どうなっちゃうん?」
「えっ!? 神託を達成できなかったら

 イナゴの大群が襲ってきて作物根絶やしになったり、疫病が流行ったり、一族の長男が全員死んじゃったり……」

「こわっ!」
「そ、そこまで……」
「恐ろしいですわ……」
「まーだーだーよー」
「ギャー! でたー!!」
「人をお化けみたいに言わないで頂戴」
「お化けよりよっぽど……あわわ……><」
ひとみがあわてて彼女の口をおさえている。口は災いの元とはよく言ったものだ。
「ええと、まだってどういうことですか?」


(僕けっこう頑張ったのになあ)

「Epubにせっかくしたなら、パブリッシュ!

 公開・出版しないとだめよー。

 イーでパブなんだからー。いい? ぱぶぱぶ! してくんないとっ!」

「イーでパブ……。なるほど……」
なんと、これで通じているらしい。さすがである。
「それじゃ、そーゆーことでー」
と言ってまたお布団へ向かう著者であった。
「ええっと、ではどうしたら?」
「セルフパブリッシングでググってみると、AmazonのKindleで販売するKDP(kindle Direct Publishing)、KADOKAWA系のBOOK☆WALKER、Web上で編集から出版まで一気に行えるBCCKSなどが有名なところみたいだな」
(もぞもぞ……

 くわしくは『らせん式ドラマロジー入門』の後半よろ~(つд⊂)ゴシゴシ)

「BCCKSはWebエディターも使いやすいけれど、Epubの読み込みはまだ対応していないようだね。逆にWebエディタで作った本をEpubで出力はできるようだけれど」
「では、KDPかBOOK☆WALKERのどちらかがよいのかしら?」
「そのほかにもいろいろあるようだが……、おっと、有料で販売する場合、KDPならば最大70%の印税がもらえるらしいね。ただ、その設定にすると、Amazon以外で販売をしてはいけないという縛りがあるらしい」
「あらまあ。それは厳しいですわね……」
「そうしない場合は、印税は一気に35%にさがってしまうらしい。100円の本を売って、35円しかはいらないわけだ」
なお、実際には配信手数料などが引かれるのでもっと少ないそうだ。

ちなみに、100円で配本する場合は必ず35%設定になる。印税70%の場合の最低価格は250円(ぐらい?)以上にしないといけないという縛りがあるそうだ。だいたいこの辺りの価格帯に本が固まっている理由も、じつはこのへんにありそうである。

「うーん、どうしたものか……」
「お金いっぱいほしいデース!」
「デースでーす!」
「はっきり言う子たちだなあ」
「KDPの70%オプションの場合、読み放題のKindle Unlimitedに強制対応になってしまうというのも考えるポイントかもしれないね。Unlimited会員は0円で読み放題になる。たくさん読んでもらうチャンスではあるが、当然、読むだけで買わない人のほうが圧倒的に多数だろうし、そのあたりは悩みどころなんじゃないかな?」
「兄さんはどう思われます?」
「そうだなあ、いろいろやってみるのはいいんじゃないかと思う。

 ただ、70%はなんといっても魅力的だし、世界最大の本屋で販売するというのも一度体験してみたいところではある」

「そうすると……」
「Kindle Direct Publishingに挑戦! ですわね!」
「だな」
「わーい☆」
方針が決まれば作業は早い。アカウントを作成し、本のデータを投入し、販売の設定をするだけである。


……などと、言うだけならば簡単だけれども、実際にはむつかしい点もいくつかあるようだ。一般的なKDPでの出版に関しては情報も多く出ているのでググってもらうとして、ここではトークメーカー作品を本スクリプトでEpub化してKDPで出版するまでのポイントに絞って解説してみよう。

「KDPで出すなら、表紙は必要だね。Sigilの+ボタンでEpubに画像を読み込んでから、[ツール]ー>[表紙の追加]でその絵を呼び出せばOK」
「その下にある[メタデータエディター]というのも注意かな。ここで本のタイトル等を入れられるのだけれど……」
「dc:title というところがそれだね。ここに素直に【もしも敬虔な女子高生が〈神は死んだ〉のニーチェ作『ツァラトゥストラ』を読んだなら】なんて入れたら文字数オーバーだったらしくエラーになってしまった。この図のように短めの名前にしたほうがいいらしい」
「え? それでは長いタイトルのラノベとかは困ってしまうんではありませんの?」
「ああ、その心配はいらないようだよ。この dc:title を使っているのはKindleの端末で本を識別する程度みたいだね。入れてみたけれど、このあたりにしか表示されないようだ。」
「そうなんですね、それならば安心かもですわ」
「わ、わたしが電子書籍にっ!」
「私もでてるー! にゃはははー!」
「このあともいっぱいでてくるよ(笑)」
「あとはこのEpubデータを、Amazonの特殊形式にしなくてはいけないんですよね?」
「そう、それにはいくつか方法があるんだが、簡単なのは Amazon Kindleプレビューアをつかうことかな。

 AmazonのDLサイトからダウンロードして実行すればいい。」

なお、Macの場合はX11というプログラムも別途必要になるので、それはAmazonサイトのヘルプを参照してほしい

「Kindleプレビューアが立ち上がったら、Sigilで作った(ファイルを保存しなきゃダメだぞ)Epubファイルをドラッグアンドドロップでほおりこんであげればいい」
「すると自動的にコンパイルされる」
「しばらくすると……」
「ほらできた。

 この、『出力ファイルここに生成されました』という『ここに』の部分がリンクになっているのでクリックすると」

「こんな形でコンバートされたmobiファイルができているはずだ。これを、KDPのWebページからアップロードすればいい」
「ほわわわー。すっごーい!」
「そうそう、いちおう確認してみよう、さっきのコンパイルが終わった画面のところでOKを押すと……」
「わわわわっ!!!」
「すごい! 電子書籍の表示テストができるんですのね?」
「なるほど、これが『プレビューア』という意味なのですね」
「そういうことだね。実はこちらが本来の機能で、コンバートはオマケでできるようだ。もっとも機能としてはこれで問題ない。」
「すごーいすごーい!」
「やったー!!

 これで天罰回避できたかんじっぽ??」

「どどどどうでしょう?」
(ゆらぁり……)


「でーきーたぁー?」

「ど、どうでしょう? できた感じですよ?」
「んー、もうちょい!」
「え、まだですか?」
「これを実際に販売しなきゃー」
「あ、そうか、まだプレビューアですものね」
「では、実際にKDPにアップロードしてみましょう」
「そうして、販売開始できたら成功ですね」
「そゆこと~♪」
「では売っちゃいますヨー!」
「GoGo~!」
そして、実際に発売されたページがこちらである!


https://www.amazon.co.jp/dp/B07BCN6PBJ

自分たちが電子書籍となり、世界最大の本屋にならぶというのも、なかなかに感慨深い。

実は誰もアンリミテッド会員にはなっていなかったので、登場人物の数だけは少なくとも記念に売れるというおまけもついている(おぃぉぃ)

読者諸君も投げ銭のつもりで買っていただけると、著者の人も大いに喜ぶものと思われる。吾輩からもよろしくお願いもうしあげる。

※実際にはKDPで販売する前にAmazonのレビューが入ります。問題のある内容だとそこで跳ねられてしまいますのでご注意ください。(『もしトラ』は特に問題なかった模様……ほんとかなあ?)












「なーーんて、お話を書いてみちゃったりしちゃったんですけど、どうでしょうこれ?」
「あら、今度はリアルストーリーですの?」
「まさかのそういう落ちか!!」


(うちの兄まで出てくるとは……。メタだなあ……)

<おしまい!>
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登場人物紹介

コンピュータのことならお任せくださいの便利なイケメン

わからない子代表

まあわかる代表

わからなくてもでしゃばる代表

わたしはお茶くみですと言いながら実は権力者だったりするかもしれない人

著者のひと

ナレーター、進行役的ななにか

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