シゲルさんはエッチでピーー!(Sigilの使い方)

文字数 3,578文字

すったもんだの挙句、なんとかかんとかEpubエディタ、Sigilをインストールする直前まではいったようだ。
「もー! 解凍とか、インなんとかとかめんどくさーい!」
「インストール?」
「そ、挿入……」
「なに赤くなっているの……」
とまあこんな具合でさっぱり話が進まない。ここは時間を超越している亜空間ではあるものの、体感的にはかれこれ数時間はこの調子である。

とっくに著者の人は飽きたのかお布団と仲良く寝てしまっている中、異様な粘りを見せマイペースで説明を続けているのはさすがイケメン、コンピュータ担当の彼である。

「Windowsの場合、Sigilはexe形式でも入手できるから簡単だろう。Macの場合はdmgというのを入れると、ディスクのイメージファイルなので自動的にマウントされるんだ。その中のappファイルを好きな場所にコピーして実行すればいい。普通はアプリケーションのフォルダにもっていって実行するのがいいんじゃないかな」
「に、日本語でよろなのです……」

(気にせずぽち、ぽち…)


「動きましたー!」
「そう、それでいい。これがSigilだ。(Windows版)」
「わたくしのほうもできましたわ」
「君はMac版だね。見た目がちょっと違うだけでほとんど操作はWindows版と同じはずだよ」
「Mac版は影がついてる! ちい覚えた!」
「いやそこは関係ないから。

 なんで君はそんな古いオタクな言い回しができるのにパソコンのことわからないんだい?」

「この子はこういう娘なんです。すみません」
「いや、べつに栞理が謝ることじゃないよ」
「そうですよー、先輩が謝ることじゃないですよーお」
「と、君が言うか!」
「はいそこ! お話が進んでませんよ!」
「っと君が言うかあ!」
「あははは。まあ、とにかく、この白いところに文章をかいていけばいいんですわね」
「そう、(やっと話が進んだ……)Sigilはそこに書いたお話をEpubファイルとして保存することができるんだ。プロテクトのかかっていないEpubファイルは開いて編集することもできるよ」
「いま赤く囲った部分に書いてみましたけど、そこでよいのですね」
「そうそう、その通り。

 この中央の部分は、いま左側のブックブラウザーのTextの中の、Section0001.xhtmlというファイルの内容なんだ。

 テキストはこのTextフォルダに入れていくようだね。

 エピソードごとにここにファイルをふやしていくことができるし、画像はImagesフォルダの中に入れられる。お話の中に画像を入れたいときは、このImagesフォルダのなかの画像を指定する仕組みなんだ。」

「画像の挿入はこの写真マークのようなアイコンですわね。(ぽちっと)

 あら?」

「選べるものがなにもないですわ」
「その好奇心、いいね。

 そう、いま言ったとおり、これはEpubの仕様にも関係しているのだけれど、画像は指定されたフォルダの中にあらかじめ用意しておく必要があるんだ。

 その用意した画像をここで選んで、文章ファイルの中でその画像を使う。というイメージだね」

「その画像を用意といいますか、指定されたフォルダの中に入れるのはどうしたら・・・?」
「それはこのプラスマークのようなアイコンでできるよ。[既存のファイルを追加]というウィンドウが新たにでてくるから、好きな画像をセレクトするといい」
「選んでみました。が、選択するウィンドウが消えて、なにも変わらないですけど・・・?」
「わかりにくいけれどちょっと変わっているよ。ブックブラウザのImagesの中を見ると・・・」
「あら、本当ですわ。えらんだファイルがはいっていますわね」
「そう、それを、今度は文章を書いている中央のエディタスペースのなかから、写真アイコンで呼び出せばいい」
「ほんとうですね! じゃ、さっそくこれを選んでみましょう、OKっと(ぽちっ)」
「うわっ!」
「でかっ!」
「どーん!!」
「はははは、ちょっと選んだ画像が大きすぎたようだね。

 これは表紙用の画像かあ。それじゃ大きくてもしかたないか」

 

「画像を小さくしたりしたい場合はどうしたらよいのですの?」
「うーん、Sigilは画像エディタじゃないからね、本当は画像をここでは修正できないんだ。使いたい画像はあらかじめサイズを他の画像エディタソフトで修正しておいたほうがいいのだけれど……」
「その言い方。本当じゃない方法があるようですわね。(きらーん☆)」
(妙なところで勘がいい子だな、この子も……)
「そうだなあ、この技はもうちょっと理解が進んでからやってほしいところだが、ちょっとやってみようか。

 上のほうの「<>」とあるアイコンをクリックして、コードエディタモードにしてみよう」

「わ、なんじゃこりゃ!」
「宇宙語がいっぱいならんでる!!」
「宇宙語じゃなくてxhtml。この中の、さっき指定した画像っぽいところを探してみると、

 <img alt="もしも敬虔な_表紙1" src="../Images/もしも敬虔な_表紙1.jpg"/>

 というところがそうだね。

 これはimgタグといって、画像をここに入れてくれって意味だ。

 この<img と、/>の間に画像の詳細が入っている。ここを書き換えればいいんだが、そうだなあ、最初の<imgの後ろ、一文字スペースを空けて、width="200px" とでも入れてみようか。あ、全部半角文字だから間違えずにね。」

「ふえぇぇ。やっぱ宇宙語ですよー」
「xhtml……ちい知ってる、Xファイルってやつです。」
「違うってば!

 ええと、ぽち、ぽち、と……。

 入れてみました~」

「うん、大丈夫そうだね。そうしたら、さっきの[<>]アイコンの隣の本のようなアイコンをクリックしてみよう。これはコードではなくブックビューモードだ」
「小さくなってますわ!」
「そう、さっきの呪文、width="200px"は、この画像の横幅を200ピクセルにせよ。という意味なんだ。縦の大きさは無指定だけれど、自動で横幅に合わせてくれるんだね」
「へええ、それなら、どんどん画像をいれてこうやって指定していけばいいんですね」
「それはそうなんだが、あまり大きな画像をたくさん使うのは考え物だね。電子書籍のブックデータが大きくなると、ダウンロードに時間がかかってしまうし、古い電子書籍端末や、メモリが残り少ない端末では読み込むこともできなくなってしまう。世の中にはテキスト情報だけで50メガなんていう気違いじみた電子書籍もあるらしいがあまり真似しないほうがいい。何事もほどほどに、だな」
(もぞもぞ……)


「呼んだ~?」

「呼んでませんよー」
「うにゃー、じゃまた寝る~。おやつみー(つ∀-)」
ただでさえ脱線気味なのに著者まで乱入してはまた時間ばかりかかってしまう。少年。グッジョブである。
「とりあえず、あとはワープロソフトのつもりで使ってみてくれればいいかな。あとわかりにくいところと言えば……」
「この 左上のほうの h1とかh2 とか書かれているボタンは何なんでしょうか?」
「エッチ!!」
「数字付きエッチ!!♡」
「6まで進んだら、あとは『ぴーーーー』!」
「こらこら……。まったく……。

 この亜空間には、ハリセンは置いてないのかな……?」

……次回までに用意しておくことにしよう。
「hは Header の略だよ……。見出しにつかうんだ。数字が小さいほうが大きくなるから、本のタイトルとかはh1にして、章はh2やh3と、扱うレベルが小さくなるにつれて数字を大きくするといい。

 そして、pは Paragraphの略だね。段落ごとに指定するといい。

 どちらもWebページを作るhtmlの書式なんだ。

 Epubはhtmlにとてもよく似ているから、どちらかを知っていると応用できたりして便利だね」

「なるほどー」
「そうなんですねー。

 貴女(あなた)たち、わかりました?」

「ちっともー!」
「ぜんぜーん!」
「君たちはほんとうに仲がいいな……」
「いいコンビ、ですわね」
「えへへー。

 あ、そうだー、このマークなんでしょう? かわいいー!」

「急所よ! 自爆ボタンじゃないの!? 押してみて!」
「おいおい……」
「あ、それは!」
「え、押しちゃった……」
「Donate……、寄付、ボタンなのですね」
「そう、良いソフトなんだから、気に入ったら寄付してあげてほしい。便利につかうだけでなく、ね。」
「了解です!」
「はーい!」
「ふええ~」
「(押しちゃったし・・・)はーい><」
それと、ついでにで結構なので、たまにはそこで寝ている著者の人の本でも買ってあげるとめっちゃ喜ぶはずだ。ほめたりおだてたりするのも有効らしい。いい気分にさせるといろいろ面白いことを始めるそうなので、そちらの方もなにとぞよろしくなのである。
<つづく>
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登場人物紹介

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わからない子代表

まあわかる代表

わからなくてもでしゃばる代表

わたしはお茶くみですと言いながら実は権力者だったりするかもしれない人

著者のひと

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