払暁

文字数 328文字

 夜空がわずかに白む頃。アリーアは目を覚ました。ここは死の世界か。そう思って辺りを見回す。しかしそこには、意識を失う前と同じ風景が広がっていた。
 草むらには、おびただしい血痕があった。
 ふとアリーアは振り向いた。すると少し離れた場所に、先ほどの銀色の狼がいた。横になって、アリーアをじっと見つめていた。
 アリーアはとっさに理解した。この狼が、自分を助けてくれたのだと。よく見ると、狼は怪我をしていた。あの怪物と闘って負った傷だということは、容易に想像がついた。
 狼に近づいたアリーアは、癒しの呪文を口にした。狼の傷がみるみるふさがっていく。
 仲間を失ったアリーア。それでも、アリーアには新たな仲間ができた。一人と一匹。払暁の中、目的地へ向けて歩きはじめる。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み