疑いの的(2)
文字数 3,784文字
改めて玄関へ向かっていくドテをヒロは見送りそうになったが、別件で質問があるのを思い出し慌てて呼び止める。
「あ、ちょっと待ってくれ」
「ん? なんだ?」
「あの、霊能力者の……アヤだっけか? 会いたいんだけど、どこにいるか知ってるか?」
次に話を聞くべきは被害者の居場所を言い当てたという霊能力者だろう。犯人かどうかは分からないが、怪しすぎるのだから会っておくべきだ。
問われたドテは何ということはないとばかりに上を指差した。
「アヤさんなら、上だよ」
「上……?」
「村長の家に泊ってるんだ。この村、宿とかねぇからな。二階にいるはずだ」
「ああ、そういうことか」
ヒロもつられて上を見上げる。捜査の時間が限られているため探し人が近くにいたのはありがたかった。
「……もしかして、アヤさんを疑ってんのか?」
ドテに小声で尋ねられ、ヒロは視線を彼へ戻す。
「……とりあえず、話を聞いとこうかなと思って。どんなヤツか俺全然知らねぇし」
「アヤさんは良い人だよ。マサヨとも仲良くしてたし、メアリス様も友達だって言ってたし。犯人だとは思いたくねぇな」
「へぇ、メアリスはアヤと知り合いだったのか」
初耳の関係にヒロは目を丸くした。同時に、誰彼構わず友達扱いするメアリスの天真爛漫さを実感し苦笑いしてしまう。
一方、ドテは何やら考え込んでいたが、やがていっそう声を小さくすると囁くように告げた。
「……俺としては、アヤさんよりシノ先生の方が怪しいと思ってる」
「ああ、あの毒おにぎりの。そういや二人は一緒に旅してるとか、あんたの父親が言ってたな」
ヒロが嫌そうな形相になる。人に毒を盛るような男と一緒にいるということは、アヤとかいう人物もろくでもないのでは、と想像したのだ。
なんだか会いたくなくなってきたヒロだが、ドテは違うことを考えていたらしかった。
「つーか俺、ヒロさんが捕まるまではシノ先生が犯人じゃねぇかと思ってたんだよな」
ヒロは目を細める。
「それは……なんでだ?」
問われたドテは言うべきか迷うような仕草をしたが、そう間は置かずに話し出した。
「本当は俺、霊感なんて信じちゃいねぇんだ。大卒だからな。アヤさんは何か事情があって霊能力者の振りをしてるんじゃないかと思ってる」
「事情?」
「例えば……シノ先生に命令された、とか」
ドテは周囲を見渡し、誰もいないのを確認してから話を続ける。
「俺の推理はこうだ。マサヨはシノ先生と何かトラブルがあって殺された。シノ先生はアヤさんを霊能力者に仕立て上げ、犯人は余所者の男だと証言させて、自分へ疑いが向かないようにした」
「お粗末な推理ですね」
「「!?」」
突然の嘲る声にヒロとドテは目を見開いた。
どこから、と探すまでもなく、二人のいる位置からそう離れていない部屋の障子が開く。現れたのは容疑者として名前が上がっていたシノ本人だった。
急な登場にヒロは驚く。確かにアヤが村長宅に泊っているのだからシノがここにいてもおかしくないが、それにしても近くにいたものだ。
シノは丁寧に障子を閉じると、動揺している二人の元へつかつかと歩み寄ってきた。
「根拠のない決めつけばかりじゃないですか。霊感がないと決めつけたと思いきや、私がアヤへ指示したと決めつける。そんなものは推理とは呼べません。ただの妄想です」
シノは小馬鹿にした態度でドテへ尋ねる。
「それにマサヨさんがいなくなった日、私はあなたのお父さんと夕方頃から一緒にいて、酒を飲め飲めと絡まれ続けていました。証明できる複数の目撃者もいます。そうですね?」
「いやっ、だから……これは例えで……」
決まりが悪そうなドテへ、シノは更に追い打ちをかけた。
「あなた、私が疎ましいだけでしょう? あなたは村で一番高学歴で、それが自慢だそうですね。しかし、単なる大卒では医者という私の肩書には敵わない。しかも、私は村人の診察をしたことでマサヨさんから好感を得ていた。それが気に食わないのでは?」
「う、うるせぇ!!」
ついにドテは大声を上げる。
「とにかくっ、まだあんたには不審なところがあるんだ! 妙な真似すんじゃねぇぞ!」
顔を真っ赤にしたドテは捨て台詞を放つと、肩を怒らせ玄関から立ち去った。
何も言えないまま彼を見送ったヒロは、うんざりとシノへ声をかける。
「そんな喧嘩売るような言い方しなくてもいいんじゃねぇか?」
対して、シノは涼しい顔だ。
「軽率に犯人扱いされて腹が立ったもので。この不愉快さはあなたも共感できるのでは?」
「毒おにぎり野郎に同類扱いされるとはな」
「シノです。その呼び方はやめてください」
シノは浅く溜息を吐くと更に繋げる。
「それから、あなたに使用したのは毒ではなく薬です」
「薬なら盛ってもいいってか」
「あなたは容疑者です。逃亡、もしくは抵抗する恐れがあったのですから自由を奪われても仕方ないかと。足の腱を切られなかっただけありがたく思ってほしいものですね」
「過激な医者もいたもんだな」
ヒロは皮肉を返したが、やはりシノは動じない。シノは玄関から見える村へ視線を向けて淡々と応じた。
「私が切ろうとしたのではなく、村人達が言っていたんです」
「えっ」
「大昔は、罪人が逃げないよう切ったらしいです。今回はメアリスが止めたので、あなたの足は無事でしたが」
「あっぶねぇ……っ」
ヒロは背中に冷汗が流れるのを感じる。メアリスがいなかったらどうなっていたことか、改めて彼女の存在に感謝した。
無意識に足をさすっている彼を横目にシノは話を続ける。
「ホノキョウ島の多くの村と同じく、この村には今も迷信が強く根付いています。大学を卒業した若者ですら、山の神を恐れているのを見たでしょう? そんな村で、あなたは容疑者として扱われています。そして今、あなたの側にはメアリスがおらず一人きりです」
彼は改めてヒロへ視線を向け直した。
「この場であなたに何かが起こっても……誰も助けには来ないんです。きちんと考えて行動してくださいね」
一段低くなったシノの声は静かな廊下にゆっくりと染み付いていく。
「…………」
警戒するヒロの視線と、相変わらず冷ややかなシノの視線が交差する。数秒両者はにらみ合っていたが、やがてシノは視線を反らすと無言のまま背を向けた。
「おい、ちょっと待ってくれ」
去ろうとしているシノをヒロは呼び止める。
「……なんですか」
面倒そうに立ち止まったシノへ彼は更に声をかけた。
「今、事件について調べてるとこなんだ。あんたからも話を聞きたいから付き合ってくれねぇか?」
「こう見えて忙しいのですが」
「一人でいるなっつったのはあんただろ?」
ヒロは挑む目つきでシノを見据える。話を聞きたいのは事実だが、下手に出て頼んでも突っぱねられるのは明らか。ここは喧嘩腰でいくくらいが丁度いいだろうという判断だった。
シノは無感情に彼を眺めていたが、やがて小さく息をついて頷く。
「何が聞きたいんです?」
思惑が上手くいったのに内心安堵しつつ、ヒロは厳しい姿勢を崩さないまま問いかけた。
「まず……あの部屋で何してたんだ? 隠れて話を聞いてたように見えたんだが?」
ヒロはシノが出てきた部屋を指差す。障子が閉ざされたため既に中は見えないが、シノの他に人はいなかったはずだ。
問われたシノは呆れた顔になって答える。
「そんな趣味の悪いことはしませんよ。遺体の様子を確認していたんです」
「遺体って、マサヨって人のか?」
「ええ。奥の座敷に寝かせてあるんです。警察が来るまでしばらくかかりそうですし、それまで腐敗しないよう管理しないといけませんからね。私は魔術が使えますから、定期的に冷却処置を行うようツチヤさんから頼まれているんです。泊らせていただいている身ですから、出来る範囲の手伝いはしようかと」
「魔術ってのはそんなこともできるのか」
「生き物を瞬時に凍り付かせることも出来ますよ。ご覧に入れましょうか?」
「い、いやっ。遠慮しとく」
凄まれたヒロは一歩後退った。冗談なのか本気なのか、いまいち分からない。
「えーと……遺体を見たいんだけど、今って大丈夫か?」
彼は魔術から話題をそらしたが、相変わらずシノは不愛想だ。
「そういうことは私よりも遺族の方に相談してください。まぁ、容疑者に快く許可を出すとは思えませんが」
シノは馬鹿にした顔つきでヒロを見下ろす。
「そもそも、あなたが死体を見て何が分かるんです? 専門知識があるようには見えませんが?」
腹立たしいがもっともな意見だ。しかし情報も時間も足りない今、分からないからどうしようもない、というわけにはいかなかった。
「……じゃあ、専門知識を持ってるシノ先生なら、何か分かるのか?」
ちょうど目の前に医者がいるのだから利用しない手はない。
ヒロに問われたシノは数秒無言でいたが、それは拒絶ではなく記憶を呼び起こしていた時間だったらしく、やがて彼は淡々と言葉を並べていった。
「死因は紐状のもので首を締められたことによる窒息死。見た所、毒物が使用された可能性は低いです。発見時に靴が脱げていましたが足は汚れていませんでした。服は普段から着ている私服。所持品はありませんでしたが、財布などの金品については部屋に置いたままなのが確認済みです。硬直具合から見て、殺されたのは十日の夕方頃と考えて間違いないでしょう」
「あ、ちょっと待ってくれ」
「ん? なんだ?」
「あの、霊能力者の……アヤだっけか? 会いたいんだけど、どこにいるか知ってるか?」
次に話を聞くべきは被害者の居場所を言い当てたという霊能力者だろう。犯人かどうかは分からないが、怪しすぎるのだから会っておくべきだ。
問われたドテは何ということはないとばかりに上を指差した。
「アヤさんなら、上だよ」
「上……?」
「村長の家に泊ってるんだ。この村、宿とかねぇからな。二階にいるはずだ」
「ああ、そういうことか」
ヒロもつられて上を見上げる。捜査の時間が限られているため探し人が近くにいたのはありがたかった。
「……もしかして、アヤさんを疑ってんのか?」
ドテに小声で尋ねられ、ヒロは視線を彼へ戻す。
「……とりあえず、話を聞いとこうかなと思って。どんなヤツか俺全然知らねぇし」
「アヤさんは良い人だよ。マサヨとも仲良くしてたし、メアリス様も友達だって言ってたし。犯人だとは思いたくねぇな」
「へぇ、メアリスはアヤと知り合いだったのか」
初耳の関係にヒロは目を丸くした。同時に、誰彼構わず友達扱いするメアリスの天真爛漫さを実感し苦笑いしてしまう。
一方、ドテは何やら考え込んでいたが、やがていっそう声を小さくすると囁くように告げた。
「……俺としては、アヤさんよりシノ先生の方が怪しいと思ってる」
「ああ、あの毒おにぎりの。そういや二人は一緒に旅してるとか、あんたの父親が言ってたな」
ヒロが嫌そうな形相になる。人に毒を盛るような男と一緒にいるということは、アヤとかいう人物もろくでもないのでは、と想像したのだ。
なんだか会いたくなくなってきたヒロだが、ドテは違うことを考えていたらしかった。
「つーか俺、ヒロさんが捕まるまではシノ先生が犯人じゃねぇかと思ってたんだよな」
ヒロは目を細める。
「それは……なんでだ?」
問われたドテは言うべきか迷うような仕草をしたが、そう間は置かずに話し出した。
「本当は俺、霊感なんて信じちゃいねぇんだ。大卒だからな。アヤさんは何か事情があって霊能力者の振りをしてるんじゃないかと思ってる」
「事情?」
「例えば……シノ先生に命令された、とか」
ドテは周囲を見渡し、誰もいないのを確認してから話を続ける。
「俺の推理はこうだ。マサヨはシノ先生と何かトラブルがあって殺された。シノ先生はアヤさんを霊能力者に仕立て上げ、犯人は余所者の男だと証言させて、自分へ疑いが向かないようにした」
「お粗末な推理ですね」
「「!?」」
突然の嘲る声にヒロとドテは目を見開いた。
どこから、と探すまでもなく、二人のいる位置からそう離れていない部屋の障子が開く。現れたのは容疑者として名前が上がっていたシノ本人だった。
急な登場にヒロは驚く。確かにアヤが村長宅に泊っているのだからシノがここにいてもおかしくないが、それにしても近くにいたものだ。
シノは丁寧に障子を閉じると、動揺している二人の元へつかつかと歩み寄ってきた。
「根拠のない決めつけばかりじゃないですか。霊感がないと決めつけたと思いきや、私がアヤへ指示したと決めつける。そんなものは推理とは呼べません。ただの妄想です」
シノは小馬鹿にした態度でドテへ尋ねる。
「それにマサヨさんがいなくなった日、私はあなたのお父さんと夕方頃から一緒にいて、酒を飲め飲めと絡まれ続けていました。証明できる複数の目撃者もいます。そうですね?」
「いやっ、だから……これは例えで……」
決まりが悪そうなドテへ、シノは更に追い打ちをかけた。
「あなた、私が疎ましいだけでしょう? あなたは村で一番高学歴で、それが自慢だそうですね。しかし、単なる大卒では医者という私の肩書には敵わない。しかも、私は村人の診察をしたことでマサヨさんから好感を得ていた。それが気に食わないのでは?」
「う、うるせぇ!!」
ついにドテは大声を上げる。
「とにかくっ、まだあんたには不審なところがあるんだ! 妙な真似すんじゃねぇぞ!」
顔を真っ赤にしたドテは捨て台詞を放つと、肩を怒らせ玄関から立ち去った。
何も言えないまま彼を見送ったヒロは、うんざりとシノへ声をかける。
「そんな喧嘩売るような言い方しなくてもいいんじゃねぇか?」
対して、シノは涼しい顔だ。
「軽率に犯人扱いされて腹が立ったもので。この不愉快さはあなたも共感できるのでは?」
「毒おにぎり野郎に同類扱いされるとはな」
「シノです。その呼び方はやめてください」
シノは浅く溜息を吐くと更に繋げる。
「それから、あなたに使用したのは毒ではなく薬です」
「薬なら盛ってもいいってか」
「あなたは容疑者です。逃亡、もしくは抵抗する恐れがあったのですから自由を奪われても仕方ないかと。足の腱を切られなかっただけありがたく思ってほしいものですね」
「過激な医者もいたもんだな」
ヒロは皮肉を返したが、やはりシノは動じない。シノは玄関から見える村へ視線を向けて淡々と応じた。
「私が切ろうとしたのではなく、村人達が言っていたんです」
「えっ」
「大昔は、罪人が逃げないよう切ったらしいです。今回はメアリスが止めたので、あなたの足は無事でしたが」
「あっぶねぇ……っ」
ヒロは背中に冷汗が流れるのを感じる。メアリスがいなかったらどうなっていたことか、改めて彼女の存在に感謝した。
無意識に足をさすっている彼を横目にシノは話を続ける。
「ホノキョウ島の多くの村と同じく、この村には今も迷信が強く根付いています。大学を卒業した若者ですら、山の神を恐れているのを見たでしょう? そんな村で、あなたは容疑者として扱われています。そして今、あなたの側にはメアリスがおらず一人きりです」
彼は改めてヒロへ視線を向け直した。
「この場であなたに何かが起こっても……誰も助けには来ないんです。きちんと考えて行動してくださいね」
一段低くなったシノの声は静かな廊下にゆっくりと染み付いていく。
「…………」
警戒するヒロの視線と、相変わらず冷ややかなシノの視線が交差する。数秒両者はにらみ合っていたが、やがてシノは視線を反らすと無言のまま背を向けた。
「おい、ちょっと待ってくれ」
去ろうとしているシノをヒロは呼び止める。
「……なんですか」
面倒そうに立ち止まったシノへ彼は更に声をかけた。
「今、事件について調べてるとこなんだ。あんたからも話を聞きたいから付き合ってくれねぇか?」
「こう見えて忙しいのですが」
「一人でいるなっつったのはあんただろ?」
ヒロは挑む目つきでシノを見据える。話を聞きたいのは事実だが、下手に出て頼んでも突っぱねられるのは明らか。ここは喧嘩腰でいくくらいが丁度いいだろうという判断だった。
シノは無感情に彼を眺めていたが、やがて小さく息をついて頷く。
「何が聞きたいんです?」
思惑が上手くいったのに内心安堵しつつ、ヒロは厳しい姿勢を崩さないまま問いかけた。
「まず……あの部屋で何してたんだ? 隠れて話を聞いてたように見えたんだが?」
ヒロはシノが出てきた部屋を指差す。障子が閉ざされたため既に中は見えないが、シノの他に人はいなかったはずだ。
問われたシノは呆れた顔になって答える。
「そんな趣味の悪いことはしませんよ。遺体の様子を確認していたんです」
「遺体って、マサヨって人のか?」
「ええ。奥の座敷に寝かせてあるんです。警察が来るまでしばらくかかりそうですし、それまで腐敗しないよう管理しないといけませんからね。私は魔術が使えますから、定期的に冷却処置を行うようツチヤさんから頼まれているんです。泊らせていただいている身ですから、出来る範囲の手伝いはしようかと」
「魔術ってのはそんなこともできるのか」
「生き物を瞬時に凍り付かせることも出来ますよ。ご覧に入れましょうか?」
「い、いやっ。遠慮しとく」
凄まれたヒロは一歩後退った。冗談なのか本気なのか、いまいち分からない。
「えーと……遺体を見たいんだけど、今って大丈夫か?」
彼は魔術から話題をそらしたが、相変わらずシノは不愛想だ。
「そういうことは私よりも遺族の方に相談してください。まぁ、容疑者に快く許可を出すとは思えませんが」
シノは馬鹿にした顔つきでヒロを見下ろす。
「そもそも、あなたが死体を見て何が分かるんです? 専門知識があるようには見えませんが?」
腹立たしいがもっともな意見だ。しかし情報も時間も足りない今、分からないからどうしようもない、というわけにはいかなかった。
「……じゃあ、専門知識を持ってるシノ先生なら、何か分かるのか?」
ちょうど目の前に医者がいるのだから利用しない手はない。
ヒロに問われたシノは数秒無言でいたが、それは拒絶ではなく記憶を呼び起こしていた時間だったらしく、やがて彼は淡々と言葉を並べていった。
「死因は紐状のもので首を締められたことによる窒息死。見た所、毒物が使用された可能性は低いです。発見時に靴が脱げていましたが足は汚れていませんでした。服は普段から着ている私服。所持品はありませんでしたが、財布などの金品については部屋に置いたままなのが確認済みです。硬直具合から見て、殺されたのは十日の夕方頃と考えて間違いないでしょう」