第7話 ラブアタック

文字数 851文字


 「リア充は爆発しろ!」

 なんて、言葉があるようにカップルを見たら、嫉妬してしまう時。ありますよね。
 でも、僕はもう40歳を超えてますし、妻と子供もおります。

 だから最近は、イチャついているカップルを見ても、イラつくことは少ないです。
 むしろ応援したいぐらいです。
 手を繋いでいるカップルがいたら、邪魔にならいように歩道から降りて、イチャつくのを促します。

 本当ならば、その時ニヤついて。
 
「まだヤッてないの?」
 
 と聞きたいのですが、理性でどうにか抑えています。


 とある繫華街の近くを、歩いていた時の話ですが。
 僕が小さな交差点で、信号が変わるのを待っていたら、突然ドシンと誰かが僕にタックルしてきました。
 いきなりのことだったので、僕は体勢を崩してしまいました。

 まあ僕の身体が大きいので、邪魔だったのかもしれません。
 それにしても、感じが悪いと思ったので、相手に視線を向けると。
 若い男女のカップルでした。

 かなり急いでいる様子で、早歩きでどこかへ向かって行きました。
 「ごめんなさい」などの一言も頂けなかったので、僕は少し苛立ちました。
 しかし、次の瞬間。僕の怒りはどこかへ消えてしまいます。

 なぜなら、彼氏さんが彼女さんの腰というか、ほぼお尻あたりをガッシリと掴んで離さず。
 ツカツカと音を立てて、ラブホへ向かって行ったからです。

(なるほどぉ~ そりゃ僕なんて目に入らないよね。でも、まだお昼の1時だよ?)

 とほくそ笑むのですが。
 
(ちょっと待てよ? あの彼氏さん、このままホテルへ直行する気か?)

 この瞬間、僕は思った。
 
(ダメダメ! 最高の時間は、最高の”アイテム”が必要だ!)

 そう思った僕は急いで、カップルの元へ駆け寄る。

「あ、あの、すみません!?」
「うわっ! な、なんすか……」
「そのままホテルへ行く気ですか? 良くないですよ!」
「何がですか?」
「”ホテルの”を使うより、コンビニとかで買った方が絶対良いですって! 高くても”薄い方”がいいですよ!」
「……」

 結果、僕は通報された。
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