#4 天使 (『into…』エピローグ)

文字数 1,076文字

両の羽を目一杯、大きく伸ばした。

一面の青空に浮かぶ、綺麗な白い雲。

輝く歌声が聴こえる……。

ーー僕らはあの舞台に居た。あの天使みたいな子供達が集まるステージに。

今は、僕らのーー……。

「良いステージだな。」

「うん。」

「綺麗だよ……。すごく、すっごく! 」

「綺麗でしたよ、きっとーー私たちも。」

ーー子供達は、これから試練に向かうだろう。試練や壁が人生に開かるだろう。

だけど、大丈夫。

きっと、大丈夫。

聴こえてくる、輝きと歓びに満ちた歌声(ハーモニー)は、彼らを支える支柱になる。

今日のこの日を、出逢いを、運命を、繋がりをーー苦しみ、呪う様な事もあるかもしれない。

けれど、この青空が、また空に見える限り、ーー太陽が光りをこの星に届け、照らし出す間は、ーー僕らの天使達は、輝きを失くさない。たとえ、失った様に見えたとしてもーー……。

「子供達、楽しそうですね。」

「そうだね! 僕も楽しい♪ 」

「ああーー良かった。本当に……。無事でーー」

「ーーそう、一人も欠ける事なく、星が光り輝いて、その瞬きを放ち続けていく。」

「それを、見守り続けましょう。」

「うん! 僕らが在り続ける限り! 」

「えぇ。」

「ーー……。」

僕らが在り続ける限りーー?

僕らは一体、いつまで居られるだろうか?

君達の傍にーー……。

「居続けようよ。ーー考えてたでしょ? いつまで、とか。」

「良いんだよ、いつまで、とか。居たい限りとかでもな。」

「ーー居続けよう。在り続けようとする心が、消えないなら、大丈夫なんだろう? 」

「そうだよね、僕らはーーまだ、一緒に居たい。皆と。僕はーー」

「あああ、泣き出しちゃった……。」

「も〜、子供じゃないんだから! 」

「うん……。」

「成人したもんね。ーー大人にならなきゃ。」

「あの子達を見守れる、立派な大人に。」

「立派なーーは、どうだろうな? 」

「えぇ〜? 立派になりなよ! 」

「ーー……。」

『魂だけでも、成長はする? 』

魂だけの存在や、キョンシーの少女達を見て、呟く様に問い掛けた女性の言葉。それは語り継がれる様に、出逢う者達が呟く言葉となった。

『幽霊でもさ、大人になれる? 』

幽霊になってしまった子は、また子供から学生の姿になり、霊体の魂を見詰めながら聞いてきた。子がまた親になり、その親の子もまた、同じ疑問を抱いた。

“悪魔でもーー天使になれました。”

悪魔になり、もう羽は白くはならないだろうとーー嘆き悲しみ堕ちた悪魔は、天使と呼ばれる存在にーー……。

「僕も悪魔に堕ちたーーけれど、天使にされたよ。」

僕らはまた、子供達をーーこの世界を見守る天使や精霊として、在るーー在ってゆく。

生きていく。
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