#5 悪心 (『孤独な王子、道化のピエロ』プロローグ)

文字数 392文字

ーー少女の遺体はゴミ置き場で雨に打たれていた。

現場に駆け付けた少女の兄、姉、弟たちに、改めて看取られ、人生を終えた。

ゴシップが飛び交い、オカルトが囁かれ、信者が新派を募ろうとし、模倣犯が愉快犯となり、この事件が嘲られる様になった頃には、もう少女を知る人物がその現場に足を運ぶ事など無くなっていた。




「(私はーー……。)」

世界の異変はいつだって、病院からーーそんな言葉を習った。

今回はどうだろう?

その女性(ひと)は、病院で息を引き取り、化物になったのだろうか?

「(私はーーっ!! )」

世界にヒビが入った。試験管がひとりでに割れるみたいな音がした。

「生まれたーー! 生まれたーー!! 成功した!! 今度こそーー、今度こそーー!! 」

あの日の悲劇を世界は繰り返す。

“だから、無くしたいと思いました。”

その人は続けた。『悲劇を。根本から。』と。

そして、道化のピエロと成り果てる覚悟をしたのだとーー……。
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