(四)

文字数 290文字

 東京お台場にある商業施設、テレットタウンの大観覧車は、約四分の三まで周回し、そろそろ降りる準備をしなくてはいけなかった。
 観覧車のかごの中で、加治元は目の前で涙を流している園子にうろたえて、なんども「どうしたの」とか「大丈夫?」とか「俺、何か悪いこと言った?」と声を掛けた。
 ようやく落ち着きを取り戻しつつある園子がなんとか「そうじゃないの、そうじゃないの」とだけ答えた。
 園子は高校に進学・卒業し、その後大学生活を経て社会に出て十年間働いてきた。その間、恋愛とはずっと無縁で、会社でも仕事中心の日々だった。そして三〇になり、結婚を意識して、今の彼と付合うことになった。

(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み