霧雨

文字数 360文字

通りを歩く影の煙と
静寂の中の穏やかな月の光に
眩しい気配が辺りを漂って
今日も空の彼方にあった森の中の
小さな形が歪んでいく
夢を見た悲しみの湖の平面に
まばらなパズルの破片がガラスを
ゆったりと流れていく霧雨
探していた音符の色は
青いサンゴ礁の水色の雲
飛び立つ悲しみの影は
色を変えてまた新たに生まれる
安心した掃除の部分には
地上の風の響きが
連なって並べられていった
記憶の中を削られていく
道路と海の心象風景
突き刺す小さな視線が
今日も分断を追い込んでいく
忘れかけた蘇りの木は
静かな愛情に移り変わっていき
病院の些細な傷の音に
夜と月が溶けて消えていく
忘れていた遠い夏の本は
無限に連なっている草の葉
静かに揺れる景色を切り離し
目の前に浮かぶのは
赤と黒の絵の具の染み
暗い魚の鱗の途中で
道が続いては繰り返していく
夕闇の幻の交換は
浮かんでは沈んでいった
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