部屋

文字数 286文字

切り取られた空間のように
部屋の中は続いている
ベッドの枠の木の匂いが
古い音楽の旋律のように
ただ鬱屈して彷徨っている
足枷は疲労の束で
逃げることができない現実の色は
不気味なほど暗かった
窓の外の雨がせわしなく
批判を続けていた
蝋燭の火の明かりが死への希望を
ゆらゆらと紛らわせていく
空は灰色の雲に覆われて
光の差す隙間はない
痺れるような感覚の中には
絶望と希望が入り混じって
揺らめいていつの間にか染みついていく
他のあるべき可能性が存在し
何か意味があるなら
淡い期待も覗かせた
過ぎていく日々はいつも雨が降って
辺りは濃い霧に包まれている
もうじき分厚い雲は消え去って
どんな音色が部屋に響くのだろう
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