幻想

文字数 320文字

揺らいでいく世界のいくつかの色が
踊りながら歩いた街灯の光の下
月が狂ったように穏やかに沈んでいき
目指すのは幻想の作り上げた
遠い夏の夜の日差し
折り紙と電卓は交互に連鎖して
きらめくパズルの暗号の中に
眠るベッドの輪郭が浮かぶ
降りていく靴音の悲しみが
空へ向かう煙のように
長くは続かなかった
地面に落ちていく残響
歩いて行く夕方の影が
演奏する風の鼓動
月の中にある分子が
淀んだ風景を消し去っていき
少しずつ空間が姿を現す
浮かんでいく不思議な刻みは
暗い夜の風に震えて
月と地面を交差させた
いつかの感情の分裂が
そこにあったものを拭い去っていき
消えかかった破片は切り取られて
ただ風が宙に流れていく
訪れた客はぼんやりとした形になり
次の言葉が降り続く
沈黙の中に星座が浮かぶ
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み