第15話 調子いまひとつ

文字数 952文字

 前話から1週間も経ってしまいました。ヤル気スイッチがなかなか入らなかった1週間でした。

 夫に朝の挨拶をしなくなった。もちろん意図的に。淡々と暮らすなら挨拶くらいと思われるだろうが、そうもいかなくなった。詳しく言うと6日ほど前までは朝のルーティンで私から挨拶していた。いつもの夫は私ほどの声量ではないものの返事はした。ところが、ある朝、目の前に居たのに返事をしない。カチンときて少し荒げた声で
おはよう
と再度言った。すると
「どういうつもりなんだ!おはよう!(怒)」
と声を荒げて怒鳴り返してきた。口元が僅かに震えている。なんて醜い表情なんだ……

 『どういうつもり』は私の方が言いたい。朝の挨拶は冷戦時代もやっていた。なぜ私が言い続けているかを考えてほしい。会話の少ない私たちが何も考えずにコミニュケーションを取れるのは挨拶ではないか。希薄な夫婦関係ながらも繋がりたいと願った方法。それなのに夫はそれさえもまともに返事をしなかったので、私はキレた。

 夫と淡々と暮らしていこうと決めた矢先の出来事。決めたはずなのに、いつもの癖でカチンときてしまった。失敗。返事が無くても平気を装わなければなかった。とんだミス。夫の行動にいちいち腹を立ててどうする。本来ならここは受け流すべきだった。私は夫のことをまだまだ意識している。どうでもいいじゃんって悟れるのは、いつの日か。

 私の気持ちを、ここまで変えてしまった発端の自動車は夫が提案した車種になった。国産車は半年以上待つと言われている世の中の風潮だったにも関わらず、夫は年内に納車出来るディーラーを探してきた。
「契約しようと思うんだけど」

「したら」

 冷たい言い方だと思われそうだが、この言葉以外に言いようがない。「嫌だ」と言えば新車が遠のく。今さら1からディーラーを2人で回る姿など想像も出来なかった。贅沢な妥協。わがままな悩み。世間から見たら、そんな風にしか映らないだろう。

 新車のオーディオはUSB対応。CDを直接入れるのは、とうの昔に終わっていた。もちろん私はUSBに曲を入れるなんて出来ない。夫が

「今からUSBに入れるから、入れたいCD持ってきて」

口を震わせながら怒鳴った夫は、淡々と作業を進めていた。

 未だに夫の態度に引きずられているようで、凄く疲れます。




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