第44話
文字数 1,589文字
なぜ、愛のキャラクターに魔が入ってこないのか。それは僕にもわからなかった。心というものがこもっているからだろうか。そういう絵を大量に用意しよう。そう考えた。
それで未来の患難時代に備えるのだ。
「星羅さん、こっちは一枚描けたよ。そちらはどう?」
「うん、こっちはシンプルな絵だけれど、数枚描けたわ。この調子なら、ネットにあげる分は、すぐに用意できそうね」
「流石、星羅さん。普段から絵を描いていることはあるね」
「大したことないわよ。でも、この絵をネットにあげるって、一体何をするつもりなの?」
「ふふふ、僕に考えがあるんだ」
「なあに、考えって」
とりあえず、二人で絵を描いていって、ネットにあげること。それらを研究会のメンバーにも手伝って貰おうと思った。僕が未来で見た光景は、悪人が悪い心で描いた絵に霊が入り込む事象だった。これを避けさせればいいのだ。大事なのは真心を込めること。僕らはこれを指針にした。
二人で描ける絵には限界があるだろうから、これから色々な人に手伝って貰わないといけないなあ。ただ、患難時代までまだ時間はある。それまでにはたくさんの絵が用意できているだろう。
確か、テレビで語っていた、あの天使はあらゆる創作物には仲間が入り込んでいると言っていた。
だったら、文学や音楽なんかでも同じかもしれない。この世の中を芸術作品で一杯にしてみせるぞ。
暗い世の中に、筆や音で愛を奏でるのだ。
「乃夜くんが、絵に注文したことを纏 めると、料理なんかと同じね。真心を込めることで味が美味しくなることと同じなのかしら」
「そうなんだ。結局、僕はなんでも心が大事なのではないかと思うんだよ」
「ええ、素敵な発想ね。それは芸術作品にも通じるところはあると思うわ」
結局、どんな作品でも大事なのは真心。心を込めることで、下手な作品でも名作にできあがるのだ。
「今日はこのくらいにしておこうか。明日、また続きをやろう」
「ええ、わかったわ」
そうして僕らの研究会はしばらく絵の創作活動に専念することとなった。匠たちは、サイトを制作したり、動画にしてアップするなど、ネットにあげることを手伝ってくれると約束してくれた。
いいぞ、僕らが気づくことで間違いなく世界は変わる。僕らの手で世界を変えてやるんだ。
余った絵は、ネットなんかで販売するといいかもしれない。研究会としての活動のために収入源も考えないといけないな。
――そうして、数ヶ月が経過した。
季節は冬になり、東京ではクリスマスムードが街を賑わせていた。サンタクロースのコスチュームをした、ケーキの販売員があちらこちらに出現している。それは僕らの大学でも変わらず、雰囲気はクリスマス一色だった。
「乃夜、こっちの絵はYouTubeにアップしたぜ。こんなんでいいのか? 動画制作は裕太の得意ジャンルだから、あっちは張り切ってやってるぜ」
「それでいいよ。ああ、そちらの絵は準備中のサークルのサイトに貼り付けておいてくれ。これでうちのサイトを立ち上げる準備はできたかな」
「でも、俺らの研究会も立派になったものだよな。数百枚は絵をアップしてきたけど、絵一つだけで有名になれるものなんだな」
匠はどこか嬉しそうにしていた。やはり、目標があると人は生き生きとするものだ。
「今は、イラストがネットで注目され始めているからね。これも患難時代の始まりだと、誰も気づいていないんだろうね」
ちなみに賢一には、星羅さんが描いた絵をネットで売って貰っている。僕らの聖書研究会は、やっと役割分担ができるようになっていた。
僕らの収入源は、ほぼ星羅さんの絵によるものだ。仲間だからという理由で、利益は均等にして貰っている。本当に有り難いことだ。
「よし、サイトを立ち上げるぞ」
待ってました! と仲間の四人は歓声を上げた。
サイトの名前は……。
「聖書研究会における主の箱船計画」
それで未来の患難時代に備えるのだ。
「星羅さん、こっちは一枚描けたよ。そちらはどう?」
「うん、こっちはシンプルな絵だけれど、数枚描けたわ。この調子なら、ネットにあげる分は、すぐに用意できそうね」
「流石、星羅さん。普段から絵を描いていることはあるね」
「大したことないわよ。でも、この絵をネットにあげるって、一体何をするつもりなの?」
「ふふふ、僕に考えがあるんだ」
「なあに、考えって」
とりあえず、二人で絵を描いていって、ネットにあげること。それらを研究会のメンバーにも手伝って貰おうと思った。僕が未来で見た光景は、悪人が悪い心で描いた絵に霊が入り込む事象だった。これを避けさせればいいのだ。大事なのは真心を込めること。僕らはこれを指針にした。
二人で描ける絵には限界があるだろうから、これから色々な人に手伝って貰わないといけないなあ。ただ、患難時代までまだ時間はある。それまでにはたくさんの絵が用意できているだろう。
確か、テレビで語っていた、あの天使はあらゆる創作物には仲間が入り込んでいると言っていた。
だったら、文学や音楽なんかでも同じかもしれない。この世の中を芸術作品で一杯にしてみせるぞ。
暗い世の中に、筆や音で愛を奏でるのだ。
「乃夜くんが、絵に注文したことを
「そうなんだ。結局、僕はなんでも心が大事なのではないかと思うんだよ」
「ええ、素敵な発想ね。それは芸術作品にも通じるところはあると思うわ」
結局、どんな作品でも大事なのは真心。心を込めることで、下手な作品でも名作にできあがるのだ。
「今日はこのくらいにしておこうか。明日、また続きをやろう」
「ええ、わかったわ」
そうして僕らの研究会はしばらく絵の創作活動に専念することとなった。匠たちは、サイトを制作したり、動画にしてアップするなど、ネットにあげることを手伝ってくれると約束してくれた。
いいぞ、僕らが気づくことで間違いなく世界は変わる。僕らの手で世界を変えてやるんだ。
余った絵は、ネットなんかで販売するといいかもしれない。研究会としての活動のために収入源も考えないといけないな。
――そうして、数ヶ月が経過した。
季節は冬になり、東京ではクリスマスムードが街を賑わせていた。サンタクロースのコスチュームをした、ケーキの販売員があちらこちらに出現している。それは僕らの大学でも変わらず、雰囲気はクリスマス一色だった。
「乃夜、こっちの絵はYouTubeにアップしたぜ。こんなんでいいのか? 動画制作は裕太の得意ジャンルだから、あっちは張り切ってやってるぜ」
「それでいいよ。ああ、そちらの絵は準備中のサークルのサイトに貼り付けておいてくれ。これでうちのサイトを立ち上げる準備はできたかな」
「でも、俺らの研究会も立派になったものだよな。数百枚は絵をアップしてきたけど、絵一つだけで有名になれるものなんだな」
匠はどこか嬉しそうにしていた。やはり、目標があると人は生き生きとするものだ。
「今は、イラストがネットで注目され始めているからね。これも患難時代の始まりだと、誰も気づいていないんだろうね」
ちなみに賢一には、星羅さんが描いた絵をネットで売って貰っている。僕らの聖書研究会は、やっと役割分担ができるようになっていた。
僕らの収入源は、ほぼ星羅さんの絵によるものだ。仲間だからという理由で、利益は均等にして貰っている。本当に有り難いことだ。
「よし、サイトを立ち上げるぞ」
待ってました! と仲間の四人は歓声を上げた。
サイトの名前は……。
「聖書研究会における主の箱船計画」