第14話

文字数 1,247文字

 家に帰ってくると、大きなテレビが僕を迎えてくれる。

「このテレビが問題なんだ」

 どうして、このモニターから心霊現象が起こったのか? 悪霊の悪戯なのだろうか。もしかしたら、この黒い画面は地上と霊界を繋ぐものなのかもしれない。それがたまたま地獄に繋がっていた。そうか、チャンネルが問題なのかも知れない。

「もしかしたら、チャンネルによって、色々な異界と繋がっているのか?」

 僕は試しにテレビを付けてみる。

 !?

 何か、以前と違う気がする。向こうから、こちらに来いと誘われている様だ。あのワームホールと接触したことで、何か影響が出ているのだろうか。

 番組によって違うらしい。バラエティー色の強いものから、何かざわざわとした感覚が入ってくる。

「なるほど……つまり、向こう側の世界から、こちらにテレビを通じて、密接に関わっているということか」

 ということは……番組次第で、何かヒントが得られるかも知れない。

 僕はとりあえず、有料視聴サイトにアクセスしてみることにした。

 試しにオカルト色の強い映画を見てみる。

  ……。

 これは駄目だ……目眩がしてくる。まるで悪いものから、引っ張られているみたいだ。

 僕は映画を見るのを辞めた。

 ……どうしてこんなことになってしまったのか。いや、まてよ。

 割と良質なものを付けてみたらどうだろうか? そうして、適当な番組を探して付けてみた。

 ……やはり、影響があまり入ってこない。リラックスして見ていられる。こういうのを探せばいいのではないだろうか。

 僕はその時から、善の異界と繋がる為の番組を探すことにした。ひょっとしたら、YouTubeでクリスチャン番組なんか付けるといいかも知れない。

 これを繰り返して行けば楽園に近づけるんじゃないか?

 逆に悪い番組を見続けていると、悪い異界と繋がってしまうんだ。なるほど……コツさえ掴めれば簡単そうだ。

「最初は、あまり影響がないアニメを見てみると良いかも知れないな」

 これも最初は真面目そうなものからにしておこう。

 耳を澄まして見ると、やはり女の子のキャラクターなんかがこちらに話しかけている様に聞こえる。ここまでは前と同じ現象だ。これは良くあることで、心霊現象と呼ばれているものだ。

 だが、前とは明らかに違う様子が起こる。

 僕の名前を呼んでいる……?

「乃夜くん……? 気づいて……くれたの……?」

 ……。

 なんてことだ。明らかにアニメのキャラクターがこちらの名前を呼んでいるじゃないか。

 それも、普通の台詞が作り替えられているかの様に聞こえる。

 僕は耳を更に澄ませてみた。

「こちらは……霊界だよ。やっと……気づいてくれたね……」

 僕は、そこで確信した。テレビが霊界と繋がっているんだ。僕の理論はやはり正しかった。僕はテレビを通して、心霊体験をした。

 これは聖霊体験と言ったものだろうか?

 いや、それは神様とのやり取りなのだから、本物はもっと神々しいものだとは思う。ただ、これは普通に生活していては、絶対にあり得ない体験なのだった。
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