第42話
文字数 1,384文字
プルルルル。
「おう、乃夜か? 急にどうしたの。実はさ……昨日、俺、教会に」
「そのままでいいから黙って聞いてくれ」
「? わ、わかった」
「君の昨日、行った教会というのは異端の教会なんだ。決して二度と行かないでくれ。実は、君がそこに行ったというのを目撃した学生がいたんだ」
「え! なんだ。あそこ異端だったのかよ。どうりで怪しいことが起こった訳だ。でも、一体誰が……まあ、いいや。教えてくれてサンキュ」
「それで、これから一緒に研究会に来てくれないかい?」
「俺はいいけど、賢一の奴、昨日大分飲んでたぜ? 大丈夫かなあ。まあ、今から行けばいいんだな。わかったよ」
続けて、僕は賢一に連絡を取った。
「乃夜かあ。悪いけど、俺忙しくてさ」
「賢一か? ……朝から飲んでいるっぽいな。そのままでいいから聞いてくれないか?」
「後で、研究会に来てくれないか? 実は星羅さんがチョコクッキーを作ってくれるらしいんだ。チョコレートはいい酔い覚ましになるから、食べに来ないと勿体ないぞ」
「何だと! それを早く言え! すぐ行くからな。全部食わないように俺の分も残しておけよ!」
「あ、ああ……分かってる。じゃあ待ってるよ」
最後は裕太か……。
僕は祈るようにして、電話をかけた。
「裕太? 元気でいるか? 僕だよ」
「……乃夜?」
通じた。天国に行ったと思ったあの裕太が、今こうして僕と話ができている。僕はこの奇跡に感動を覚えた。
「何か用? あ、研究は進んでいるかい? 僕では役に立たないだろうけれど、しっかりやってくれよ」
「いや、その研究会に、君にも是非、来て貰いたいんだ」
「何かのイベント? まあ、いいけど。時間は二時間後でいいんだね」
「ああ、とても喜びのあるイベントにしてみせるよ」
「喜びって、乃夜、お前……。まあ、いいか。楽しみにしてる」
この三人をキリスト教徒としての信仰を持たせることは難しいかも知れないが、やるだけやってみよう。
僕はチョコと一緒に食べる予定だった、ケンタッキーのフライドチキンを買おうと、街へ出かけた。
――二時間後、僕らは、大学の研究会に集まっていた。
「うおおお、星羅さんの手作りクッキーだ! フライドチキンまであるのか。これは、来てよかったぜ」
「うん、その代わり、食べたら聖書の研究を一緒にしてもらうからな」
「おお、分かっているって。乃夜、お前も気が利いているな。酔い覚ましにチョコレートがいいなんて初めて聞いたよ」
「それじゃ、頂きます」
三人はものすごい勢いでチキンをむさぼっている。
「ところでさ、その二人の薬指に光る指輪は何なんだ?」
「!?」
「え!?」
匠と裕太が反応する。
「それじゃ、僕も頂きます」
僕は無視して、手作りクッキーを頬張る。美味しいなあ。これから毎日こんなものが食べられるなんて……。
「おい! 無視すんな!? せ、星羅さん?」
星羅さんは、顔を真っ赤に染めて、口を開いた。
「ええ、私たち……婚約したの」
「ジーザス……クライスト!」
「マジかよ」
「これはめでたいね。だから、僕らをここに呼んだのか。うわあ、こんなことだったら、来なければよかったかな」
「天国ってこういうことを言うんだなあ」
「うるさい! くそう、こうなったらフライドチキンだけでもドカ食いしてやる!」
「ごほっ、ごほっ」
そのあとも賢一は、目に涙を一杯に浮かべて、フライドチキンを食べていた。
「おう、乃夜か? 急にどうしたの。実はさ……昨日、俺、教会に」
「そのままでいいから黙って聞いてくれ」
「? わ、わかった」
「君の昨日、行った教会というのは異端の教会なんだ。決して二度と行かないでくれ。実は、君がそこに行ったというのを目撃した学生がいたんだ」
「え! なんだ。あそこ異端だったのかよ。どうりで怪しいことが起こった訳だ。でも、一体誰が……まあ、いいや。教えてくれてサンキュ」
「それで、これから一緒に研究会に来てくれないかい?」
「俺はいいけど、賢一の奴、昨日大分飲んでたぜ? 大丈夫かなあ。まあ、今から行けばいいんだな。わかったよ」
続けて、僕は賢一に連絡を取った。
「乃夜かあ。悪いけど、俺忙しくてさ」
「賢一か? ……朝から飲んでいるっぽいな。そのままでいいから聞いてくれないか?」
「後で、研究会に来てくれないか? 実は星羅さんがチョコクッキーを作ってくれるらしいんだ。チョコレートはいい酔い覚ましになるから、食べに来ないと勿体ないぞ」
「何だと! それを早く言え! すぐ行くからな。全部食わないように俺の分も残しておけよ!」
「あ、ああ……分かってる。じゃあ待ってるよ」
最後は裕太か……。
僕は祈るようにして、電話をかけた。
「裕太? 元気でいるか? 僕だよ」
「……乃夜?」
通じた。天国に行ったと思ったあの裕太が、今こうして僕と話ができている。僕はこの奇跡に感動を覚えた。
「何か用? あ、研究は進んでいるかい? 僕では役に立たないだろうけれど、しっかりやってくれよ」
「いや、その研究会に、君にも是非、来て貰いたいんだ」
「何かのイベント? まあ、いいけど。時間は二時間後でいいんだね」
「ああ、とても喜びのあるイベントにしてみせるよ」
「喜びって、乃夜、お前……。まあ、いいか。楽しみにしてる」
この三人をキリスト教徒としての信仰を持たせることは難しいかも知れないが、やるだけやってみよう。
僕はチョコと一緒に食べる予定だった、ケンタッキーのフライドチキンを買おうと、街へ出かけた。
――二時間後、僕らは、大学の研究会に集まっていた。
「うおおお、星羅さんの手作りクッキーだ! フライドチキンまであるのか。これは、来てよかったぜ」
「うん、その代わり、食べたら聖書の研究を一緒にしてもらうからな」
「おお、分かっているって。乃夜、お前も気が利いているな。酔い覚ましにチョコレートがいいなんて初めて聞いたよ」
「それじゃ、頂きます」
三人はものすごい勢いでチキンをむさぼっている。
「ところでさ、その二人の薬指に光る指輪は何なんだ?」
「!?」
「え!?」
匠と裕太が反応する。
「それじゃ、僕も頂きます」
僕は無視して、手作りクッキーを頬張る。美味しいなあ。これから毎日こんなものが食べられるなんて……。
「おい! 無視すんな!? せ、星羅さん?」
星羅さんは、顔を真っ赤に染めて、口を開いた。
「ええ、私たち……婚約したの」
「ジーザス……クライスト!」
「マジかよ」
「これはめでたいね。だから、僕らをここに呼んだのか。うわあ、こんなことだったら、来なければよかったかな」
「天国ってこういうことを言うんだなあ」
「うるさい! くそう、こうなったらフライドチキンだけでもドカ食いしてやる!」
「ごほっ、ごほっ」
そのあとも賢一は、目に涙を一杯に浮かべて、フライドチキンを食べていた。