第33話:リーマンショックで不景気

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 それまで加入していた国民健康保険などと比べて保険料が急激に上がった人も多く、厚生労働省の説明不足だと批判された。年金から保険料を天引きする仕組みも反発を招き、政府・与党は口座振替との選択制にすることを決めた。

 5月12日、中国四川省を震源とするマグニチュード8の大地震が発生。死者・行方不明者が8万人超の大惨事となり中国指導部に大きな衝撃を与えた。最も大きな被害を受けたのは、当時授業中を受けてた子供だった。

 校舎倒壊で6500人以上の生徒が死亡。原因は、校舎建設費の手抜き工事という根深い問題が潜んでいた。温家宝首相が、迅速に被災地で陣頭指揮を執った。

 その他、震災直後には内外メディアの自由な取材を認めるなど異例の政府の対応に注目が集まった。さらに日本の国際緊急援助隊が、他国に先駆けて、駆け付けた。それにより、中国の対日感情好転につながった。

 日本でも、6月14日午前8時43分、東北で大きな地震が起きた。その地震は、岩手県内陸南部を震源地とするマグニチュード7.2の岩手・宮城内陸地震が発生。

 宮城県栗原市と岩手県奥州市で震度6強を観測し、死者・行方不明者は両県と福島、秋田各県で23人、重軽傷者は約450人。住宅被害は全半壊が170棟を超えた。

 避難指示・勧告が一部地域で続き、被災者は仮設住宅や親族宅などに身を寄せた。河川が土砂でせき止められた「土砂ダム」も宮城、岩手の県境付近で相次ぎ発生。

 大雨による水位上昇で決壊する恐れや降雪の影響も心配されている。こうして2008年は、暴動や自然災害の多い年となった。その後、米国の住宅バブルが崩壊した。

 低所得者向け高金利型「サブプライム」住宅ローンの焦げ付きが多発したことで、米欧金融機関の経営が急速に悪化、世界的な金融危機に発展した。9月には、米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻で、危機が深刻化。

 議会で金融安定化法案が否決されると米株価が暴落、ダウ工業株30種平均は史上最大の下落幅777ドルを記録した。10月に修正後の法案が成立したものの、株価は約4年ぶりに1万ドルを割り込んだ。

 危機は新興国にも波及。主要中央銀行による同時利下げ、金融機関への公的資金注入、市場への資金供給が行われ金融サミットで景気てこ入れ策が合意されたが世界経済は「大恐慌以来」の深刻な景気後退に陥るとみられた。

 11月26日には、インド西部ムンバイの高級ホテルや鉄道駅を狙って、銃乱射や爆発を伴う同時多発テロが発生。武装した男らがホテルを2日超にわたり占拠。治安部隊が鎮圧するまでに160人以上が死亡。

 三井丸紅液化ガスの職員も犠牲になった。パキスタンのイスラム過激派ラシュカレトイバや同国の情報機関、三軍統合情報局の関与が疑われ、インドのムカジー外相が「パキスタンの一部分子の犯行」と激しく非難。

 核保有国同士の緊張の高まりに懸念が広がった。印パ関係の悪化は、米国がアフガニスタンで進める「テロとの戦い」に影響を与えかねず、事件後直ちにライス国務長官が両国を歴訪そ調整にあたった。

 このリーマンショックを見て、経済の恐ろしさを感じた。そのため、当分の間、投資を控えようと考えた。この先、リスクの小さなETF投資に切り替えようと柴山が、桜田と話し合った。

 こうして2009年を迎えた。この年、柴山と桜田は、日向薬師に初詣に行き、家内安全と素晴らしき未来を祈願して来た。しかし、昨年のリーマンショックの影響が、世界経済に色濃く残った。

 日本では、金融危機に端を発した世界同時不況が、電機や自動車など輸出企業の業績を直撃。需要の激減が響き、2009年3月期の連結決算で電機大手8社は合計2兆円超の純損失を計上。

 トヨタ自動車も純損益が2兆円以上悪化し4369億円の赤字に転落。各社は過剰な在庫の絞り込みに加え経費の圧縮を迫られた。ソニーが1万6000人の削減に踏み切るなど雇用不安は非正規だけでなく正社員にも波及。

 春闘では未曽有の危機を乗り切るためベースアップを見送りと、電機大手のように定期昇給を凍結する動きも広がった。急激な業績悪化の責任を取り、大手企業のトップ交代も相次いだ。
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