第4話 え!ちょ!マジで殺すの?!

文字数 2,560文字

強盗のおじさん達は、顔が見えるくらい近くなってきた。
一人に向けて銃を撃つ。
弾はゴム弾だ。
十分引きつけて撃たないと威力が無い。
でも、殺したくないからゴム弾使うの。

バンッ!ガッチャン!
バンッ!ガッチャン!
バンッ!ガッチャン!

えーーやだーー当たらなーーーーーい!!

「くっそ!へったくそ!あたしのへた!へた!」

「ヒャハハハ!!ねえちゃん、当たらねえなー、ほらほら」

タタタタタンッ!

「ぎゃああああああ!!」

ピュンピュン弾が風切る音がして、ヘルメットと背中にガンガン当たる。
首を縮め必死でマックスを飛ばした。
その間も、背中にバンバン当たる。

くそっ!くそっ!しつっこい!

「ねえちゃん!諦めなよ!ワハハハハ!」

追いつかれた!

突然、横で声がして凍り付いた。
思わず腰のハンドガン取り、撃つ。

バシッ!「いっ!」

オッサンの頭に命中し、後ろに吹っ飛んで行く。

やっちゃった!あーーー!!やっちゃった!このクソ、ぶち切れたっ!!

「あああああああ!!!クソ野郎ども!死ねえええええ!!!」

「上等だあ!荷物よこせや!」

パンパン!
バンババンッ!
バンパン!

当たったか当たってないのか、強盗は後ろだから全然わかんない。
ハンドガンで撃ち合いしながら、道の脇にある大きな木の陰に入る。
ハンドガンじゃラチがあかない。
急いでショットガン手に取った。
ショットガンの弾はゴム玉の詰まったゴム弾じゃ駄目、散弾を腰から取り、手早く詰めた。
ガッシャンッ!

左端の男から撃つ!!

バンッ!

「ギャ!」

一人弾浴びて倒れた。
間髪入れず、エンド引く。

タタタタタンッ!

バンバンバンッ!

目の前の木に当たって、身を隠す。
が、マックスが怖がって後ろに下がってしまった。
しまった、馬下りるべきだったか!

「マックス!駄目だって!」

隠れたはずの木が邪魔で、撃てなーーーい!

「あああ!!マックスお願いいいいーーーっ!!」

パンパンッ!

「きゃっ!」

ブルブルルルッ!

右手の平を撃たれた!
マックスが驚いて、大きく揺さぶられる。

「きゃあっ!」

落馬して、腕を押さえながら銃を慌てて握った。
が、おっさん達の動きは無駄に速い。
落馬を感づかれ、馬を下りてサッとこちらへ走ってきた。

あーーーーー!!もうあたしこれで終わりだあああああああ!!

死ぬ死ぬ死ぬ!きっと死ぬううう!!

「手えあげな。まあ、こっちも3人死んだんだ、わかってるよな?」

「ひいいいいいい!!」 

3人、思い切りか弱い乙女のあたしに銃口を向ける。
ああやだ、銃口ってこんななってたっけ。
あたし、きっと犯されて殺されるんだわ、ああ、もう乙女の命もこれまで。

ううううう、パパ、ママ、ごめんなさい。

と、良く見るとあたしに銃向ける一人残して、2人は早速マックスから手紙の入ったバックと小包の入った袋を降ろしている。
あたしは両手挙げて、震える声でささやくように声を上げた。

「あああーーっ!ど、どろぼうぅぅーーーーーーー!!」

あら?思ったより大きな声が出たわ、あたしって、肝だけは据わってんのよねえ。
と、言ってもこんな荒野のど真ん中、誰かが聞いてるわけも無い。
銃口突きつけるおっさんが、引き金に指をかけニイッと笑った。

「じゃあな」

ええええ、それマジ早!

「え!ちょ!マジで殺すの?!
うそ!あたし女よ?!こんな若くてピッチピチのプリティバディのベリーキュートな女の子よ!?
普通さ!こう言う場合、ビリビリッと服破って、キャーーヘルプミーーー!!で、犯すんじゃないの?犯すよね!」

「はあ?誰がてめえみたいな小便臭えガキ犯すって?!」

「なんですってえっ!」

「俺たちはなあ、もっとこう、ボンキュッボンッとした熟女が好みなんだよ。
姉ちゃん、ちょっとなあ……どっちが前かわかんねえような身体だし、残念だなあ〜」

「このっ!クソ野郎!女はおっぱいだけじゃないのよっ!死ね!」

下から股間めがけて蹴りを出すが、避けられた。

「おーっと、危ねえ危ねえ。ひっひっひ!
まあ、あんたみたいなノッペリでも好きな奴はいるよなあ。
売れば10ドル(1000円)くらいにはなるかな?」

「はあっ??誰が10ドルですってえっ!! 1万ドルくらい言いなさいよ!」

「へっ、そんな物好き………」

「かしら!奴が来た!半殺し野郎だ!まずい!」

かしらと呼ばれた男が、驚くほどすくみ上がった。

「なっ!なにぃっ?!引け!引くぞ!急げ!首が飛ぶぞ!!
くそっ!何でよりによってあいつが!」

誰が来たのか知らないけど、可哀想なほど大慌てだ。
おっさん達は血相変えて、慌てて荷物抱えて馬に飛び乗り走って行く。
それは見事に、私の存在なんか忘れ去っていた。

ドドドドドドドドド

地響き上げて、遠くから走ってくる馬の音がする。
ああ、ロンドから誰か来ちゃったんだわ。
クスンと涙をふいて、せめて天使のような微笑みで迎えようとする。
荷物取られちゃったし。

が、

ドカッドカッドカッドカッドカッ!

そいつはあたしの前を素通りしていった。

「ちょ!あたしここに居るのに!ちょっとおおおーーーー!!」

手の痛みも忘れて、慌てて道に出て手を振る。

げえっ!

私服にヘルメットも無しの、背中にカタナって奴。
その後ろ姿は、間違いなくロンドのちっこいの。
凄い勢いで、あいつら追って行く。
じっと目で追ってると、道を外れてそのうち見えなくなった。

「え………、ちょ、あたしどうすれば………」

呆然……しばらく立ち尽くす。

とりあえず、衛星通信でデリー郵便局に連絡取る。
心配してたジェイクが、あたしのエマージェンシーの連絡受けて個別から戻ってきたらしく、電話に出た。
新入り教育係のジェイクは、ポンコツのあたしの担当になって、ずううううっと迷惑かけてる。
いつか身体でお礼したい。

『無事か?ケガは?』

「あーん、右手の平撃たれたー。いったーい!」

『お前じゃない、馬だ!』

「ちょ、ひっど!」

確かにマックス見てなかった。
慌ててマックスのケガを見る。
首と頬にかすり傷。
馬着の有るところはちゃんと守られてる。

「マックスは、かすり傷でーーす!よかったあああ!」

『な?だから馬着必要なんだぜ?面倒くさーいじゃねえんだよ。
ロンドから誰か来たか?』

「ちっこいのが来たけど、あいつら追って行っちゃった。」

『えっ!お前荷物は?』

「え………へへ………盗られちった………」

『あーーーーーーーーーーーーーーー』

ジェイクが電話の向こうで絶句した。
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登場人物紹介

レイル・グラント

デリーの新入りアタッカー。ダークブラウンのセミロングの髪、目はブラウン。

ミスが多く、脳天気で頻繁に強盗に襲われる。

酒を飲むと羞恥心が消える。いや、飲まなくても羞恥心はないのかもしれない。

・サトミ・ブラッドリー

日系クォーター、15才。黒髪、ブラウンの瞳。短髪だがボサボサ。中肉低身長、禁句はちっこい、チビ。

使用武器、主に背の日本刀

・ジェイク

デリー本局のリーダー、古参アタッカー。戦中からアタッカーをやっている強者。面倒見のいい男。

レイルの面倒で胃に穴があきそうな感じ

・セシリー・メイル

17才。プラチナブロンド、碧眼、白人ではない。

リッターとは父親違いの兄妹、可愛い系美少女。人を見て選別し、ガッツリ甘える世渡り上手。

馬は青毛の大きい馬ナイト、銃は見た目で選んだスバス。

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