第13話 ボスと名乗るなクソ野郎
文字数 2,352文字
シェンが大刀でドアを指す。
「外に出ろ」
「俺はここでもいいけど?あんたの血や中身まき散らしても、ここなら一般市民にご迷惑おかけしねえじゃん?」
サトミが刀を肩において、つま先でルーレットを回す。
部屋は男たちが転がり、テーブルや椅子が乱れて、かなり動きは制約され足下は最悪だ。
だが、それよりもシェンにとって、引っかかるのはサトミの言葉だ。
彼は自分が勝つこと前提でしか話をしない。
そのあまりの自信満々の様子に顔を引きつらせると、首を振ってニッと笑った。
「いいだろう、貴様のその刀をへし折ってくれる。」
「へえ、俺にケンカ売った奴は、だいたい泣きを見るんだぜ?キシシッ」
「泣きを見るか、貴様が泣いて帰るか、勝負だチビ助。」
サトミが微妙に片眉を上げ、フンと息を吐く。
「ま、あんたはデカいから許してやらあ。
俺はまだ成長するし!」
「おいっ!なにガタガタ喋ってる!」
横からボスが割り込んで、杖を振り回す。
「わしの店をこれ以上汚すな!外でやれ!」
ボスの一括に、サトミがチッと舌を打った。
足下のチップを刀の先で刺して3つ取り、左のナイフを逆手に持って指弾で飛ばす。
「うぉっ!がっ!」
1発目でボスのカツラが吹き飛び、頬に2発当たってあまりの痛さに抑えて唸った。
「貴様は黙れ。
命のやりとりする覚悟もなければ、財産賭ける覚悟もねえ。
人の上に立つなら、相応の覚悟を持って人を動かせ、クソ野郎。
てめえら裏の仁義にも欠けた野郎がボスと名乗るな。」
シェンの眉がピクリと動き、チラリとボスの顔を見る。
ボスは口から血と折れた歯を吐き出し、シェンに向けて命令した。
「な……にぃっ!この……知ったようなことほざきやがって!
く、く、くそ、……歯が、折れた…わしの歯が……
この…このガキ!シェン!殺せ!!」
シェンが無言でうなずく。
そして、スタスタとサトミの前を歩き、ドアへと向かった。
ドアノブに手をかけ、サトミに落ち着いて口を開く。
「腐っても恩人だ、そちらも女が巻き添え食うのは望まんだろう。
外で頼む。」
腐っても、と、言葉を選ばない男にサトミがプッと吹き出す。
左に持っていたサバイバルナイフを腰に直し、そしてうなずいた。
「いいだろう、貴様気に入ったぞ。
おい、そこの若い奴。お前だ、死んだフリしてるお前。女に服着せとけ、いいな。」
死体に下敷きになって死んだフリの男が、片目を開けて周りを見回す。
どう見ても、サトミは刀で自分を指している。
バレバレだった……
「げっ! な!…んで俺が……わかった。」
死んだフリがバレて、メチャクチャ恥ずかしい。
子供に若い奴言われても、どこか解せない。
とは言え、フリはバレてるし、怖いのでうなずいて立ち上がった。
その頃、セシリーは焼いた肉頬張りながらリッターと夕食を食べていた。
リッターは、セシリーがバター止めて普通のメシ作る様になってからは、ようやく一緒に食事が出来るようになった。
外飲み減った分、買う酒が増えたわけだが。
「そう言えばさー、レイルってなんで軍を首になったか知ってる〜?」
「そう言えば〜知ってんのか?何だ?」
リッターがストレートウイスキーに氷入れて一口飲み、肉をフォークでぶっ刺してかみちぎる。
「ひひひ!あいつさー、酔っ払うと男のチンチン狙うんだわさ。」
「はああぁぁぁぁ????」
「あいつさー、以前、彼氏に浮気されて捨てられたって、それから酔うと男が敵に変わるんだってさ。
浮気ッつってもさ、あいつの都合悪くて他の子とパーティー行っただけだよ?すっごい執念深いんだよ。
飲むと自分の身体エサに、男のチンチン、ボッキボキ折って不能にしちゃうんだってさ。
んで、入隊パーティで5人やっちゃって、首になったんだって。
きっと大学もアレが中退の理由だよ。」
リッターが思わず股間を押さえ、ひいっと息をのむ。
「マジか、こえええぇぇぇ……なのに何であの下半身脳なんだ?あれ。」
「男は敵なのに、無類の男好きって〜変な女。
あいつの見る男の夢はさ、だから、夢見るおとぎ話の王子な訳よ。
ま、お兄ちゃんは絶対無理な感じ〜」
「冗談じゃねえ、全力で拒否る。サトミ無事かな〜、まあ無事だろうけど。
で、なんであいつとお前、友達なんだよ。」
「ああ、ただのバター友。
デリーでバター探してる時、やっぱり男と痴話ケンカしててさ、変な奴だから気に入って友達になったの。
あいつ経由で大量にバター手に入ったから、まあ利用したと言えば利用したんだけどぉ。」
ふと、何故かセシリーが、急に口に肉詰め込んで食い終わる。
そして心置きなく身を乗り出して、面白そうに話した。
「それがさ〜さっき酔っ払ってるレイル、町で見たんだわ。」
「えっ??!!何で?彼女サトミんとこに……」
ドンドンドンドンッ!!
いきなり、凄い勢いでドアが叩かれた。
「リッター!リッター!大変だ!あんたのとこの奴がカジノでやらかしてる!!」
「えーーーー!!!マジかっ!?誰がだ?」
急いでドアを開けると、行きつけの飲み屋のボーイだ。
息を切らして、背中に棒のジェスチャーで、リッターは驚愕して言葉を待たずに走り出した。
「なんで?!何がどうなった!」
「だってさ、王子、メシは外で食え言ってたじゃん?」
「彼女、外飲みしやがったのか!」
「いいじゃん、いいじゃん!面白そうじゃん!」
いつの間にか、並んで妹が嬉々として横を走っている。
楽しそうに、ヤジ馬しに行く気満々だ。
しかし、カジノはこの町の裏の世界を牛耳る、言わばマフィアの端くれが経営する店だ。
ポリスより先に駆けつけなければ、マジでヤバい!
「ガイドか局長……!くそう!俺が止めるしかねえ!……しまった!銃持ってきてねえ!」
「あたい持ってきたー!!バンバーーン!ぶっ放すいい機会じゃん!
ヒャッホーーーー!!」
「ぇぇええええええ!!やめろおおおおお!!」
彼の妹も相当ヤバかった。
「外に出ろ」
「俺はここでもいいけど?あんたの血や中身まき散らしても、ここなら一般市民にご迷惑おかけしねえじゃん?」
サトミが刀を肩において、つま先でルーレットを回す。
部屋は男たちが転がり、テーブルや椅子が乱れて、かなり動きは制約され足下は最悪だ。
だが、それよりもシェンにとって、引っかかるのはサトミの言葉だ。
彼は自分が勝つこと前提でしか話をしない。
そのあまりの自信満々の様子に顔を引きつらせると、首を振ってニッと笑った。
「いいだろう、貴様のその刀をへし折ってくれる。」
「へえ、俺にケンカ売った奴は、だいたい泣きを見るんだぜ?キシシッ」
「泣きを見るか、貴様が泣いて帰るか、勝負だチビ助。」
サトミが微妙に片眉を上げ、フンと息を吐く。
「ま、あんたはデカいから許してやらあ。
俺はまだ成長するし!」
「おいっ!なにガタガタ喋ってる!」
横からボスが割り込んで、杖を振り回す。
「わしの店をこれ以上汚すな!外でやれ!」
ボスの一括に、サトミがチッと舌を打った。
足下のチップを刀の先で刺して3つ取り、左のナイフを逆手に持って指弾で飛ばす。
「うぉっ!がっ!」
1発目でボスのカツラが吹き飛び、頬に2発当たってあまりの痛さに抑えて唸った。
「貴様は黙れ。
命のやりとりする覚悟もなければ、財産賭ける覚悟もねえ。
人の上に立つなら、相応の覚悟を持って人を動かせ、クソ野郎。
てめえら裏の仁義にも欠けた野郎がボスと名乗るな。」
シェンの眉がピクリと動き、チラリとボスの顔を見る。
ボスは口から血と折れた歯を吐き出し、シェンに向けて命令した。
「な……にぃっ!この……知ったようなことほざきやがって!
く、く、くそ、……歯が、折れた…わしの歯が……
この…このガキ!シェン!殺せ!!」
シェンが無言でうなずく。
そして、スタスタとサトミの前を歩き、ドアへと向かった。
ドアノブに手をかけ、サトミに落ち着いて口を開く。
「腐っても恩人だ、そちらも女が巻き添え食うのは望まんだろう。
外で頼む。」
腐っても、と、言葉を選ばない男にサトミがプッと吹き出す。
左に持っていたサバイバルナイフを腰に直し、そしてうなずいた。
「いいだろう、貴様気に入ったぞ。
おい、そこの若い奴。お前だ、死んだフリしてるお前。女に服着せとけ、いいな。」
死体に下敷きになって死んだフリの男が、片目を開けて周りを見回す。
どう見ても、サトミは刀で自分を指している。
バレバレだった……
「げっ! な!…んで俺が……わかった。」
死んだフリがバレて、メチャクチャ恥ずかしい。
子供に若い奴言われても、どこか解せない。
とは言え、フリはバレてるし、怖いのでうなずいて立ち上がった。
その頃、セシリーは焼いた肉頬張りながらリッターと夕食を食べていた。
リッターは、セシリーがバター止めて普通のメシ作る様になってからは、ようやく一緒に食事が出来るようになった。
外飲み減った分、買う酒が増えたわけだが。
「そう言えばさー、レイルってなんで軍を首になったか知ってる〜?」
「そう言えば〜知ってんのか?何だ?」
リッターがストレートウイスキーに氷入れて一口飲み、肉をフォークでぶっ刺してかみちぎる。
「ひひひ!あいつさー、酔っ払うと男のチンチン狙うんだわさ。」
「はああぁぁぁぁ????」
「あいつさー、以前、彼氏に浮気されて捨てられたって、それから酔うと男が敵に変わるんだってさ。
浮気ッつってもさ、あいつの都合悪くて他の子とパーティー行っただけだよ?すっごい執念深いんだよ。
飲むと自分の身体エサに、男のチンチン、ボッキボキ折って不能にしちゃうんだってさ。
んで、入隊パーティで5人やっちゃって、首になったんだって。
きっと大学もアレが中退の理由だよ。」
リッターが思わず股間を押さえ、ひいっと息をのむ。
「マジか、こえええぇぇぇ……なのに何であの下半身脳なんだ?あれ。」
「男は敵なのに、無類の男好きって〜変な女。
あいつの見る男の夢はさ、だから、夢見るおとぎ話の王子な訳よ。
ま、お兄ちゃんは絶対無理な感じ〜」
「冗談じゃねえ、全力で拒否る。サトミ無事かな〜、まあ無事だろうけど。
で、なんであいつとお前、友達なんだよ。」
「ああ、ただのバター友。
デリーでバター探してる時、やっぱり男と痴話ケンカしててさ、変な奴だから気に入って友達になったの。
あいつ経由で大量にバター手に入ったから、まあ利用したと言えば利用したんだけどぉ。」
ふと、何故かセシリーが、急に口に肉詰め込んで食い終わる。
そして心置きなく身を乗り出して、面白そうに話した。
「それがさ〜さっき酔っ払ってるレイル、町で見たんだわ。」
「えっ??!!何で?彼女サトミんとこに……」
ドンドンドンドンッ!!
いきなり、凄い勢いでドアが叩かれた。
「リッター!リッター!大変だ!あんたのとこの奴がカジノでやらかしてる!!」
「えーーーー!!!マジかっ!?誰がだ?」
急いでドアを開けると、行きつけの飲み屋のボーイだ。
息を切らして、背中に棒のジェスチャーで、リッターは驚愕して言葉を待たずに走り出した。
「なんで?!何がどうなった!」
「だってさ、王子、メシは外で食え言ってたじゃん?」
「彼女、外飲みしやがったのか!」
「いいじゃん、いいじゃん!面白そうじゃん!」
いつの間にか、並んで妹が嬉々として横を走っている。
楽しそうに、ヤジ馬しに行く気満々だ。
しかし、カジノはこの町の裏の世界を牛耳る、言わばマフィアの端くれが経営する店だ。
ポリスより先に駆けつけなければ、マジでヤバい!
「ガイドか局長……!くそう!俺が止めるしかねえ!……しまった!銃持ってきてねえ!」
「あたい持ってきたー!!バンバーーン!ぶっ放すいい機会じゃん!
ヒャッホーーーー!!」
「ぇぇええええええ!!やめろおおおおお!!」
彼の妹も相当ヤバかった。