第7話 怖いので見に行けません
文字数 2,219文字
男勢が、一斉にこっち見る。
うーん、まあ、仕方ないんじゃない?
「だって、明日早いんでしょ?だったら早出の人と一緒の方がいいじゃない?
べっ、別に深い意味は無いわよ!今日の借りを身体で返そうとか!
明日の朝を同じベッドで目覚めようとか!
あ!
でもダメよ!やっぱり出会って4時間でベッドインなんてそんな淫らだわ!
でもね、でも、いいの。
うふ、うふふふ………
そうよね、どうしても、どうしてもって言うなら考えるわ〜、うふふ、フフッ」
彼の腕の中でぇ〜
朝日を浴びて目覚めるの〜〜
うふ、多少ちっこくても誤差範囲よ。
キラキラ夢見て、くるりと回る。ああ、ステキ……
「やだぁ、レイルっち、心の声が漏れてるってば。
だいたいさー、王子のチンチンがあんたで立つの〜?あんた、ただの変態女じゃん?」
「セシリー、お前のそのデリカシーの無さは兄ちゃん悲しい。」
リッターがガッカリしてつぶやく。
うん、ココであたしの一番タイプはリッター?
白人の金髪碧眼、黙ってるとマジ王子じゃん?
でもさー………、こいつ喋って酒飲むとダメなのよ〜。マジ最悪。
セシリーちゃんとこ遊びに行って、幻滅したから諦めたわ。
黙ってニッコリ微笑んで座ってるだけならマジ王子なんだけどさ〜、こいつの取り柄は顔だけってセシリーちゃん談はマジ納得よ。
で、肝心のちっこいのの返事待つ。
向かいに座ってるダンクが、悲愴な顔でつぶやいた。
「うわぁ……サトミが死んだような目をしてる……」
「え!え〜!なんでよ! まあさ、別にソファで寝ても構わないわよ。
贅沢言わないって。あとは〜シャワーと男物のぶっかぶかの白いシャツ貸してくれればぁ〜」
「や〜だ、バッカじゃない?どう見ても王子より、あんたの方がデカいじゃん?
ピッチピチのパッツパツじゃないの?キャハハ!」
ぐっ!言われてみれば、確かにあたしの方が一回りデカい。
「もういいわよ!とにかく、寝る場所くれれば贅沢言わないし!泊めてよ!」
皆がどう返事するのか、ちっこいのに視線が集中する。
ちっこいのはしばらく考え、そして不意に顔を上げた。
「お前、学歴は?」
「は?いきなり永久就職活動?ホホホ!これでも3流デリバス大学中退だもん。
中退はね!まあ、いろいろあったのよ。深く聞かないでね?てへ。」
「よし、十分だ、帰るぞ。
メシは勝手に外で食え、俺はお前と一緒にメシを食う気はまったく無い。
風呂は入るな、床で寝ろ。」
そう言うと、さっさとドアを出て行く。
「なにそれ!ひっどーい!ねえねえ!
あたしお金持ってないんだけどぉ〜!お邪魔しましたー!バ〜イ!
ダーリン待ってえ!お金貸してよぉ〜!」
二人が慌ただしく出て行く。
ダンクが、眉間にしわ寄せ、それを見送りながらつぶやいた。
「あいつ、絶対人を家に入れないクセして、なんで彼女はいいんだ?
なんかさー、引っかかるよなあ。」
「ふうん、なんで入れないんだろ。」
「家は気を抜くから寝たらヤバいって言うんだ。なんでも変な寝癖があるんだとよ。
そう言えば、あいつここでも仮眠とかしないよなあ。
変な寝癖ってなんだ?男の都合か?そんなもん珍しくもないだろ?なんだろう?」
「ははっ、寝たら周りで動くの殴ったりして。ハハ……あいつの腕力は笑えねえ……」
「まっさか、それじゃ軍にいたときどうしてたんだ?」
なんとなく、みんなの視線がダンクに向く。
サトミがマジで戦ったのを見たのは、ダンクだけだから。
しかし、ダンクはダンクでげんなりした顔で首を振った。
「さあな。あんま考えたくねえし。」
つか、そんな思い浮かぶ言葉も怖くて言えないし。
彼女が生きて帰れるかどうかは、明日になってみないとわからねえ……
ダンクがぶるっと震える。
「つか、どっちかって言うと、レイルの方がサトミ襲いそうな勢いだよなー。
あんな下半身しか考えてねえ女も世の中にいるんだーって感じ。
レイル、サトミの年知ってんのかねえ、あの辺近所、みんなサトミのこと知ってるぜ?
家族と生き別れの可哀想な子ってさ、サトミはそんな可愛らしいガキじゃねえんだけどなー。
あいつ未成年に対するわいせつ行為で捕まるんじゃねえの?ヒヒヒ……」
リッターが、長い足組み直してぼやきながら反っくり返る。
まあ、非合法の中で生きてたサトミに今更わいせつもないだろうが、一応今は保護されるべき……未成年だ。
だが、……保護……保護……どこか解せない。
「そう言やあサトミ……戦時中、ガキだと思って襲ってきたクソ野郎は全部切ったって言ってたよな。
明日生きてんのかなあ、彼女。」
ダンクのぼやきにガタンと、ガイドが立ち上がる。
皆と、じとーっと見つめ合い、なんだか不粋な気がしてまた座った。
「ダンク、お前あとで……」
「やだよ、俺怖いから行かねえ〜」
「じゃあ……セシリーは?」
「やあよ、普通の男なら面白いから行くけど、男が王子で相手があのバカじゃ予測不能じゃん?
王子はムカつくと平気で切っちゃうもん。
あいつ、何で軍を首になったかみんな知らないっしょ?キシシシ……明日楽しみ〜」
聞きたいような、聞きたくないような。
リッターも知らないので、首を振ってひょいと肩を上げる。
「ガイドが行けばいいじゃん?」
ダンクが何気なく言うと、ガイドが天を仰ぐ。
「俺は〜〜こんな事で死んだら、女房に蹴られる……」
つまり、怖いから行きたくない。
しーーーん……
「……………」
ぱんっとガイドが膝叩く。
「じゃ! 帰るか!」
「「 うん、お疲れー! 」」
結局、みんな聞かなかったこと、見なかったことに決まったのだった。
うーん、まあ、仕方ないんじゃない?
「だって、明日早いんでしょ?だったら早出の人と一緒の方がいいじゃない?
べっ、別に深い意味は無いわよ!今日の借りを身体で返そうとか!
明日の朝を同じベッドで目覚めようとか!
あ!
でもダメよ!やっぱり出会って4時間でベッドインなんてそんな淫らだわ!
でもね、でも、いいの。
うふ、うふふふ………
そうよね、どうしても、どうしてもって言うなら考えるわ〜、うふふ、フフッ」
彼の腕の中でぇ〜
朝日を浴びて目覚めるの〜〜
うふ、多少ちっこくても誤差範囲よ。
キラキラ夢見て、くるりと回る。ああ、ステキ……
「やだぁ、レイルっち、心の声が漏れてるってば。
だいたいさー、王子のチンチンがあんたで立つの〜?あんた、ただの変態女じゃん?」
「セシリー、お前のそのデリカシーの無さは兄ちゃん悲しい。」
リッターがガッカリしてつぶやく。
うん、ココであたしの一番タイプはリッター?
白人の金髪碧眼、黙ってるとマジ王子じゃん?
でもさー………、こいつ喋って酒飲むとダメなのよ〜。マジ最悪。
セシリーちゃんとこ遊びに行って、幻滅したから諦めたわ。
黙ってニッコリ微笑んで座ってるだけならマジ王子なんだけどさ〜、こいつの取り柄は顔だけってセシリーちゃん談はマジ納得よ。
で、肝心のちっこいのの返事待つ。
向かいに座ってるダンクが、悲愴な顔でつぶやいた。
「うわぁ……サトミが死んだような目をしてる……」
「え!え〜!なんでよ! まあさ、別にソファで寝ても構わないわよ。
贅沢言わないって。あとは〜シャワーと男物のぶっかぶかの白いシャツ貸してくれればぁ〜」
「や〜だ、バッカじゃない?どう見ても王子より、あんたの方がデカいじゃん?
ピッチピチのパッツパツじゃないの?キャハハ!」
ぐっ!言われてみれば、確かにあたしの方が一回りデカい。
「もういいわよ!とにかく、寝る場所くれれば贅沢言わないし!泊めてよ!」
皆がどう返事するのか、ちっこいのに視線が集中する。
ちっこいのはしばらく考え、そして不意に顔を上げた。
「お前、学歴は?」
「は?いきなり永久就職活動?ホホホ!これでも3流デリバス大学中退だもん。
中退はね!まあ、いろいろあったのよ。深く聞かないでね?てへ。」
「よし、十分だ、帰るぞ。
メシは勝手に外で食え、俺はお前と一緒にメシを食う気はまったく無い。
風呂は入るな、床で寝ろ。」
そう言うと、さっさとドアを出て行く。
「なにそれ!ひっどーい!ねえねえ!
あたしお金持ってないんだけどぉ〜!お邪魔しましたー!バ〜イ!
ダーリン待ってえ!お金貸してよぉ〜!」
二人が慌ただしく出て行く。
ダンクが、眉間にしわ寄せ、それを見送りながらつぶやいた。
「あいつ、絶対人を家に入れないクセして、なんで彼女はいいんだ?
なんかさー、引っかかるよなあ。」
「ふうん、なんで入れないんだろ。」
「家は気を抜くから寝たらヤバいって言うんだ。なんでも変な寝癖があるんだとよ。
そう言えば、あいつここでも仮眠とかしないよなあ。
変な寝癖ってなんだ?男の都合か?そんなもん珍しくもないだろ?なんだろう?」
「ははっ、寝たら周りで動くの殴ったりして。ハハ……あいつの腕力は笑えねえ……」
「まっさか、それじゃ軍にいたときどうしてたんだ?」
なんとなく、みんなの視線がダンクに向く。
サトミがマジで戦ったのを見たのは、ダンクだけだから。
しかし、ダンクはダンクでげんなりした顔で首を振った。
「さあな。あんま考えたくねえし。」
つか、そんな思い浮かぶ言葉も怖くて言えないし。
彼女が生きて帰れるかどうかは、明日になってみないとわからねえ……
ダンクがぶるっと震える。
「つか、どっちかって言うと、レイルの方がサトミ襲いそうな勢いだよなー。
あんな下半身しか考えてねえ女も世の中にいるんだーって感じ。
レイル、サトミの年知ってんのかねえ、あの辺近所、みんなサトミのこと知ってるぜ?
家族と生き別れの可哀想な子ってさ、サトミはそんな可愛らしいガキじゃねえんだけどなー。
あいつ未成年に対するわいせつ行為で捕まるんじゃねえの?ヒヒヒ……」
リッターが、長い足組み直してぼやきながら反っくり返る。
まあ、非合法の中で生きてたサトミに今更わいせつもないだろうが、一応今は保護されるべき……未成年だ。
だが、……保護……保護……どこか解せない。
「そう言やあサトミ……戦時中、ガキだと思って襲ってきたクソ野郎は全部切ったって言ってたよな。
明日生きてんのかなあ、彼女。」
ダンクのぼやきにガタンと、ガイドが立ち上がる。
皆と、じとーっと見つめ合い、なんだか不粋な気がしてまた座った。
「ダンク、お前あとで……」
「やだよ、俺怖いから行かねえ〜」
「じゃあ……セシリーは?」
「やあよ、普通の男なら面白いから行くけど、男が王子で相手があのバカじゃ予測不能じゃん?
王子はムカつくと平気で切っちゃうもん。
あいつ、何で軍を首になったかみんな知らないっしょ?キシシシ……明日楽しみ〜」
聞きたいような、聞きたくないような。
リッターも知らないので、首を振ってひょいと肩を上げる。
「ガイドが行けばいいじゃん?」
ダンクが何気なく言うと、ガイドが天を仰ぐ。
「俺は〜〜こんな事で死んだら、女房に蹴られる……」
つまり、怖いから行きたくない。
しーーーん……
「……………」
ぱんっとガイドが膝叩く。
「じゃ! 帰るか!」
「「 うん、お疲れー! 」」
結局、みんな聞かなかったこと、見なかったことに決まったのだった。