第9話 牢獄の怪物 パート1

文字数 1,593文字

 ヘブンと呼ばれる世界一平和で幸せの国があった。そして、その国を統一するお嬢様が、私グレン・パワフィーだ。
 そして、私にはヴィトゥという彼氏がいた。
しかし、ヴィトゥは城の門を爆発させた罪で、審議の間に連れていかれ、国家反逆罪の罪になりそうだった。

「レグンだ! 城の門を破壊した犯人は、レグンだ!」
「なに!?」
「そして、俺は、レグンの正体が、何者なのかを知っている!」

 ヴィトゥは、私の方を指さした。

「レグンの正体は、グレン・パウフィーだ! そして、これが証拠だ!!!」
「そ、それは!!!」
 
 ヴィトゥは、1枚の紙きれを見せた。
 それが、なんなのか私はすぐに分かった。

 (わ、私のドレス!!!)
 
 「これがあの場所に落ちていた! つまり・・・!!!」 
 「グレン・パウフィー! 貴様を国家反逆罪そして、機密情報を抜き出した罪で、永遠に牢獄送りとする!!!」
 
 そして、私は警備の人たちに連れていかれ、牢獄送りとなった。
 広く真っ暗な牢獄内。私は、誰か居ないか探し回ったが、誰もいない。それもそうだ、ヘブンは世界一平和で楽しい国だ。
 足元には、大量の多分人間の骨が有象無象に落ちていた。私は、それらを出来るだけ踏まないように、牢獄内を探し回っていたその時、どこかから『カラカラッ』と、音が鳴った。

「だ、誰? 誰か居るの? いたら返事して!!!」

 私は、『カラカラッ』と音が鳴った方に向かった。
 足元に有象無象に落ちている人間の骨を出来るだけ、踏まないように歩いていると、一本の太い骨を見つけた。

「人間の骨は、こんなに太かったかな?」
 
 縦1m弱、横2mぐらいの人間の骨の大きな骨。しかし、大きかったのは、先端の身で、進むに行くにつれ、徐々に細くなっていた。まるで、誰かが持つように作られた”棍棒”のようなものだった。
 その瞬間だった。私の方に向かって何者かが『バキバキバキッ!』と、足音を立てて向かってくる。

「うぉぉぉぉっぉぉぉぉぉっぉぉ!!!」

 何者かの叫びが、牢獄内に響き渡る。
 徐々に、『バキバキバキッ!!!』という音が、大きく近づいてくる。
 うっすらと見えるその名の者かのシルエット。遠くから見ているのにも関わらず、その者の背丈の大きさで何者か理解できた。

「オ、オークだ!!!」

 噂程度には聞いていた幻の存在。しかも、私の聞いていたオークは、身長1mにも満たないのに、牢獄内のオークは、有に3mを越えていた。
 口元には、まだ乾いていない赤色の液体が流れていた。

「まさか、この人の骨って・・・!!!」

 私は、すぐさまその場から逃げた。今の私がオークと戦っても勝てる見込みなんてあるわけがない。全速力で逃げる私の後をオークは、『バキバキバキッ!』と、大きな音を立てて追いかけてくる。
 しばらく、無我夢中で走っていたからだろうか、いつの間にかオークの足音と叫びが一切聞こえなかった。

「に、逃げ切った」

 喜んでいる暇なんかないとわかっていても、私は喜んでしまった。
 その瞬間だった、私の横を何かがものすごいスピードで通り去った。

「グシャ!」

 壁にぶつかって砕ける音が聞こえた。しかも、その音は何回も聞こえてくる。
 『ドスッ!』と、力強い足音、そして、『グチャ!』と何かを握りつぶす音が、徐々に近づいてくる。

「もう、来たのか。オーク!」

 私は、再びその場から逃げた。しかし、今回は上手くいかなかった。
 私の背中に、何かがものすごいスピードでぶつかった。

「い、痛い!」
 
 何かがぶつかった影響で、私の背骨が完全に折れた。手足に徐々に力が入らなくなる。
 それでも、私は逃げるのに必死だった。

「グシュュァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 オークの咆哮が私の耳元に響き渡る。
 オークが右手で持った人間の骨を私の方に投げつけた。

「し、死ぬ!!!」

 私は、死ぬのが怖くなって目を閉じてしまった。
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