第11話 牢獄の怪物 パート2の2

文字数 2,332文字

 ヘブンという、世界一平和で楽しい国と統一するお嬢様だった私、グレン・パワフィー。
 
彼氏のヴィトゥの策略にはまり、牢獄に投獄されることとなった。しかし、牢獄にはオークと呼ばれる怪物が住み着いていて、本来は1mにも満たないはずだったのだが、3m以上にも成長していたのである。

オークに襲われた私は、背骨と両足を負傷したのだが、セバスチャンの空間創造のスキルで作られた空間に避難した。

その空間内で、セバスチャンは一連の真相を語った。
 
 ヘブンに住む住民たちが平和で楽しく暮らせる世界を守るために、私とセバスチャンは、オークがぶら下げている鍵を奪い取り、牢獄から脱獄して、ヴィトゥを追放することにしたのであった。

「3,2,1,・・・0!」
「今です!!!」

 『バキバキッ!』と音を鳴らし、私とセバスチャンはオークをめがけて走り始めた。
 
 数十分前、よりもオークは大きくなっている。口元からまた、赤色の液体が流れ落ちる。

(こいつ、また、人間を食ったのか!)

「行きましょう。お嬢様」
「うん!!!」

 私達には、作戦があった。それは、私がオークの気を引き、後ろが無防備になった時点っで、セバスチャンのスキルで作った空間に、オークを封印することだ。

「こっちだ! オーク!!! こっちにこい!!!」

 地面に落ちていた骨をオークにぶつけた。
 
 オークは、『ドスドスッ!』と足音を立てて向かってくる。

(頼んだよ! セバスチャン!!!)

「行きますよ! お嬢様!」

 オークの死覚に素早く入ったセバスチャンは、『封印の扉(シールド)』と、叫んだ。
すると、突然私の後ろの方から『ガッガッガッ!』と、大きな音が鳴った。

「ウォォォウガオウ!!!」

 オークが、封印の扉の中で叫んでいる。
 
 持っていた棍棒で、空間を破壊しようと志すオークであったが、何回も棍棒を当ててもセバスチャンの作った封印の扉は、壊れなかった。 

「あと、数十分もすれば、封印が完了します」
「わかったは。お疲れ様、セバスチャン」
「はい」

 私は、セバスチャンに抱き着いだ。オークから逃げるために、全神経を使っていたから、オークが閉じ込められた今、その神経が途切れ、一気に疲れがやってきたのだ。

「オークの封印が完了するまで、しばしお休みください」

 私は、セバスチャン再び『空間創造』で作った空間の中に入った。

 暖かい空間、そして、なぜかとても安心できた。

「ま、まっていろ、ヴィト・・・」

 ゆっくりとまぶたを下ろした。そして、ゆっくりとまぶたを上げると、見たことがある光景が広がっていた。

「これは、アジサイの花」

 赤、青、黄・・・と、多色に咲いているアジサイの花。

「どうして、私がここに?」
「起きたかい?」

 私の後ろで、男性の人の声が聞こえた。しかも、聞き覚えのある人の声が。
 
「えぇ、起きたわよ」

 今度は、女性の声が聞こえた。

「ほんと、俺に似ているな」
「えぇ、この子はあなた似ですね」
「将来は、勇敢で立派なお嬢様だ」

 夫婦の笑い声が聞こえる。
 
「この子に、何かあった時は任せたよ」
「あぁ。まかせなさい!」
 
 男性は、子を天高く抱きあげた。

「この子は、アーサー・パウフィーとガブリエラ・パウフィーの間に生まれた子グレン・パウフィー!」
「この子に、苦難が押し寄せた時、このペンダントが救ってくれるでしょう」

 女性の首元から下げられていたペンダントの中に、女性の体から放出されたエネルギーが吸い込まれていく。

「あまり、無理はせずに」
「うん」

 しばらくして、女性の体から放出されたエネルギーが途切れた。すると、ペンダントが急激に発光し始めた。

「か、完成だ!」
「や、やっと・・・」

 女性は、『バタリ』と音を立てて、倒れた。
 
「おい、おい! ガブリエラ!」

 男性は、涙を流した。男性の妻が残したペンダントを大事にポケットへとしまった。
 
男性は大事そうに妻を抱きかかえその場を去った。

「ま、待って・・・!!!」

 男性の後を追って走ったが、追いつける様子はなかった。
 
女性が残したあのペンダント。あれは、セバスチャンの持っていたものに似ていた。

「グレン、お前は、この国を統一する素質がある。そして、その陰で何か行うものがいたら私が対処する。グレンのセバスチャンとして」

 男性は姿を消した。
 
『ハァ!』と、目を覚ました私は、すべてを理解した。

「女神のペンダントは私の母親の命、セバスチャンの正体は私の父親!」

 どうして早く理解できなかったのか。幼いころからセバスチャンと仲良しだったけど、実際は、セバスチャンが私の父親! そして、元国王!!!

「は、早く! セバスチャンの元に向かわないと!!!」

 セバスチャンの元に戻るために、空間内の出口を探すがどこにもない。
 
「せ、セバスチャン!!! 早くここから出して!!! 父上!!!」

 私は、叫んだ。
 
 『ドンッ!』と、空間内から音が鳴り、空間の一部分に切れ目が入った。
 
 『ドンッ! ドンッ!』、その音は、徐々に大きくなっていく。

 『バリーン!』、空間内の一部分が割れた。そして、そこからオークが私を見つめている。

「ミーツケタ」
「オークッ!!!」

 オークの不気味な目が、空間の割れ目からこちらを見ている。

「早ク、出テ来イヨ!!!」
 
 『ドンッ!』、棍棒の衝撃がこの空間の中に響きわたる。
 『ピキピキッ』と、徐々に空間につけられた割れ目が大きくなっていく。
 『バリバリ』と、空間の壁が上から落下してくる。

「ヤット、出テキタネ笑」
「出てきてやったよ。このくそが」

 とてもお嬢様とは思えない下品な言葉だとは知っていた。でも、それを言わなければ、私の心は、収まらない。

「こい! オーク! ここからは、1対1の対決だ!!!」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み