第2話 門破壊の犯人・・・

文字数 2,242文字

 彼女の名前は、グレン・パワフィー。国を統一するお嬢様である。
 彼女が統一する国では、彼女を含めて住民は喧嘩や争いが起こったことがないため、毎日楽しく過ごすことが出来ていた。
 しかし、何者かの手によって城の門が破壊されるという事件が発生し、その犯人としてグレンの彼氏のヴィトゥがつかまり、審判にかけられるのであった。

「ヴィトゥレェィアル。どうして、このような事をした」
「・・・」
「なにも、言わないということは、やったと解釈してよろしいですかかな?」
「・・・」

 セバスチャンは、聞き出そうとするが、ヴィトゥは何も話そうとしない。
 何度も話しかけるが、一向にヴィトゥは何も言わない。
 
「ヴィトゥ。あなたが無言を貫くなら私達は、判断せざる負えません」

 セバスチャンは、ハンマーを振り下ろし、判決を決めようとした瞬間、ヴィトゥは口を開いて言った。

「城の爆発は、レグンがやったことだ! 俺じゃない」
「!!!!」

 まさかの返答に、住民たちはざわついただ。
ヴィトゥを信じたい住民たちは、レグンがやった証拠を出すよう求めた。

「レグンがやった、し、証拠、証明する証拠は一体どこにある!」
「証拠ならある! 俺は、レグンが門を破壊する場面を見た! 爆発を止められなかったが、俺は、その場から逃げるレグンの後を追った! そしてレグンの正体を見た!」

 ヴィトゥは、そういってグレンを指さした。
 
「レグンの正体は、グレン・パワフィーだ!」

 ヴィトゥの発言に戸惑う住民たち。。
 レグンの正体が、グレンだと信じられない住民たちの暴言が聞こえる。


「なら、どうやったら城の情報を盗めますか! ましてや、機密情報を!!!」

 ヴィトゥのレグンの正体がグレンだという証言に信ぴょう性が出始めた。
 短時間で機密情報を盗む、レグンの姿を誰も見たことが無い。レグンが抜き出した機密情報の中には、お嬢様しか知らない情報も含まれている。

「ほ、ほんとなのかグレンお嬢様。あんただったのか?」
「ち、違うよ。違うよ!!! 私やってない!」
「じゃ、レグンの正体を誰が証明できる! お前だろ、グレン!」
「せ、セバスチャンなら証明できるよ! 私がレグンじゃないって!!!」

 グレンは、セバスチャンのもとに駆け寄った。
 
「ねぇ、昨日一緒にいたよね!!! ねぇ!」
「・・・」
「セバスチャン・・・!!!」
「・・・」

 グレンは聞くが、セバスチャンは何も言わない。
 『バサッ!』と、抱き着くグレンを振り払い、ハンマーを手に取り机をたたいた。

「静粛に! 静粛に!」
「セバスチャン・・・?」
「今回はあくまで、ヴィトゥが審判だと決める審議。グレンの審議ではない!」

 ヴィトゥの鎖が外れた。

「ヴィトゥは、無罪!!! そして、これよりグレン・パウフィーの審議を始める!!!」
「ありがとう、セバスチャン」
「う、嘘だよね? なんで、私が!!!」

 警備の人たちが、グレンの手足に鎖をつけた。 

「グレン・パウフィーがやった証拠をもっている物はおるか!!!」
「裁判長!!!」
 
 ヴィトゥは、手を挙げた。
 そして、袖から布切れを裁判管に見せた。

「これは、お嬢様のみが切れる、ドレスの布切れです!!! レグンに変装したグレン・パウフィーが、城から離れる際に落としたものです!!!」

 ダイヤモンドや宝石が装飾されている布切れ。一部だとしても、時価10億はくだらなかった。

「ち、違う!!! それは、かなり前からなくなっていたもので・・・」
「黙れ! ならこれは、誰のだというのだ! お嬢様」
「それは・・・」

 グレンは、なんと返答すれば良いのかわからなかった。
 レグンは、セバスチャンに近づき、証拠品を渡した。

「この重さ、この輝き! 確かにお嬢様のドレスの布切れです! しかも、このドレスが閉まってあるタンスは、お嬢様以外場所を知りません!」
「だろ! これが、レグンのポッケから落ちるのを見た! つまり・・・!!!」
「まさか! 本当に・・・!」

 『にやり』と、ヴィトゥは笑った。
 
「グレン・パワフィー! あんたは、もうお嬢様ではない! ただの犯罪者だ!!!」
「ヴィトゥ! 私をだましのね!!!」
 
 『ハッハッハッ!』と、高笑いをしながらグレンに近づき、耳元で、『ざまぁ』と煽った。

「裁判長! これ以上いても時間の無駄です! さっさと、判決を!」
「確かに。グレン・パウフィーが壁を壊した犯人と分かった今、これ以上の裁判は不要!!!」

 『バンバン!』と、ハンマーで机をたたいた!
 歓喜する住民とヴィトゥ。

 
「グレン・パウフィーを門破壊の犯人そして、国の情報を盗み他国に渡したとして、国家反逆罪として終身刑とする!!!」
 
 セバスチャンの宣言と共に、鎖が外れ警備の人たちがグレンを審議の間から追放するその途中、『さよなら、お嬢様!』と、ヴィトゥがグレンに耳元でささやいた。

「ヴィトゥ! 覚えておけよ!」
「あんたは、この国で最高のお嬢だったよ。そして、最低なお嬢だったよ」

 警備の人たちに連れられ、審議の間から追放されるグレン。
 警備の人につかまれながら、しばらく先にあった牢獄にグレンは入れられた。

「貴様が、処罰される日までそこで静かに暮らすんだな」
「貴様よりも早く処される人がいるけどな!」
 
 警備の人たちは笑いながらその場を去った。
 暗い牢獄に入れられたグレンは、泣いた。

「私は、何もやってない!!! 出して!」

 グレンは言うが、誰もやってこない。
 グレンの終身刑が執行するまで、残り2か月。

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