その10

文字数 346文字

 ミディ、クー・カザル、クー・ラグザ、三国共に「セトの海」全域を「領海」と主張している。
 他の二国抑えて現実に海域を支配出来る勢力は、どの国も持たない。
 関わるのが二つの国だったなら、半々に分け合うといった話し合いが成立したかもしれない。
 が、三国である為に色々な思惑・情勢が交錯して結局、妥協が存在しないまま、建前ではどの国も「セトの海」を我が物としつつ実質的な支配力は、行使出来ないでいた。
 実際上管理下に置けているのは、沿岸の一定の海域のみであった。

 それ故に海は、自由であった。
 
 「自由」は、素晴らしい…誰にとっても。
 しかしそれは無法な者、危険な者…悪逆な者にとっても素晴らしいという事なのであって「セトの海」の「自由」は、「平和」と同義語には成らないのだった。
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