その12

文字数 367文字

 「猫闘(ねことう)湾」という、変わった名前の入り江に面していた。入り江の真ん中に浮いた板の上で、二頭の猫が激しく争った事から付いた、と言われているが真偽は、判らない。
 ミディの女王に任命された所の「市政官」が、長として城及び市政官舎にて政を、執行していた。
 しかし一方で「市議会」が存在し、更に言えば、影の、或いは真の支配者は、「商会」であるとも言えた。三すくみとも、言えた。
 ややこしかった。


「あいつ…払ってきたぞ」
「良かったです」

 商会の建物の、一室だった。
 レイとスザクは、入って来たばかりだった。

「取り敢えず、座ってくれ」

 二人を出迎えたのは、細身のドワーフだった。種族の特徴とされる、頑健そうな分厚い筋肉は余り、持ち合わせていなかった。
 代わりという事も無いであろうが、身長はスザク位有った。
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