その5

文字数 390文字

 エルフは一瞬、自分の剣に手を掛けた…が、直ぐに離した。

 二人組…余裕感じさせる表情、舞踏会の為に宮殿の回廊を行くとでもいう様な、ゆったりと、しかし滑らかな足取り、それだけで、殺したい程、憎たらしかった。
 目に入った一瞬に、どういった者達なのか理解は付いており、何用であるか理解は付いており、「勝手に入って来るな」といったやり取りは、無かった。
 無駄で不要だった。

「こんにちは!」

 青髪の男が、快活に言った。

「良い場所ですね!」

「『青髪(あおがみ)のレイ』」

 エルフが、言った。

「思い出した…。二人で『商会』の犬、やってるらしいな!もう一人、そっちは…」

「スザク・ザカリオンです」 

 金髪の男も、快活に答えた。

「ジャフリカさんですよね?」

 レイと呼ばれた男が、言った。

「知らねえよ」

 二人の太った男達は、無言、無動作だった。
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