029.日陰くんと準決
文字数 1,515文字
日陰くんが目を覚ますと、そこは見覚えのない部屋だった。
カーテンの隙間から陽が射している。時間感覚が明確ではなかったが、夜ではないのは確かだと思った。
ふと自分の腕を見やると、色々管が繋がれている。
その視覚情報によって、日陰くんは自分が病室に居ることに気づいたのだった。
後が怖いので名前は出しませんが……
額に200℃の鉄球落としたら起きると思うので動画を撮りたいと主張するYouTuber、
人類の研究のためにこのまま冷凍させようと主張する公務員、
寝ている内に住んでる家買い取って店を拡張したいと主張する料理人が入り乱れてましたからね。
先日、この病室で。
まぁ、居合わせていることは居合わせていたんですけどね。
折場くんがそう言いかけた瞬間、病院にはそぐわない音のサイレンが外から聞こえだした。