最終話.日陰くんと敬称
文字数 2,458文字
結局、何事もなく退院できた日陰くんは、諸手続きを終えて家路につくことに。
バス停でバスを待っていると……
病み上がりに吠える日陰くんを尻目に、後ろ手を振りながら大依さんは去っていった。
その後間もなく、バスが到着する。
乗り物酔いする日陰君は、ガラガラの車内を進んで一番前の席に座ろうとしたのだが……
そうこうしている内に、バスは日陰邸近くのバス停に到着した。
鉄砲を食ったような顔をする日陰くんに見向きもせず、鮫岡さんはボソリと呟き、バスは去っていった。
バス停から家路につく日陰くん。
角を曲がると、我が家が見えてくるはずだったが……
何とも言えない沈黙が支配権を得た刹那、日陰くんのスマホが鳴った。
画面には「凪島」の2文字。日陰くんの言うところの「あの女」であり、体操着を来てブルドーザーを操縦した張本人だった。
そう言って北風さんは店内へと消えていった。
気は乗らなかったものの、日陰くんは電話に出ることにした。
家がない現状、とりあえず諸責任の追求が必要と感じたからだった。
『日陰くんは意外としゃべる』 完
<作者より>
トークメーカーのビュー数的にも、電書化されたという点でも、色々とありがたい作品(?)でございました。
読んでいただいた方、ありがとうございました。またそのうち……別の作品でお会い出来れば幸いです。