０２３．日陰くんと間隙
文字数 1,011文字
ささやき市新オフィスでの初仕事。凪島さんの襲来を前に、妙な胸騒ぎのしている日陰くんであった。
……あ、来ましたよ。
チャオ！
チャオ！じゃねえよ！
どこから突っ込んだらいいかわかんねえよ！
どうも。
うーむ株式会社、代表取締役の凪島です。いつも主人がお世話になっています。
いえ、こちらこそご主人様にはお世話になっております。
今回は何卒、宜しくお願い致します。
勝手に進めるな！ そしてツッコミどころを増やすな！
うるさいわね……この人、いつもこうなんですか？
ええ、この人は、いつもこうなんです。
どうしようもない奴ですね……
どうしようもない奴なんですよ……
「主人」ときて「この人」ときて「どうしようもない奴」ときた！
なんだこの急降下！ そもそも最初がおかしいんだが！
では、このゴミはさておいて仕事の話を……
まぁ、嘘よりはゴミ扱いのほうがマシかな……
それで、御社のウェブサイトを作成するということでしたが、この送って頂いた要望書通りに作るのは可能だとございます。
ただ、デザインの部分でちょっとわかりにくい部分があったので、そこについてご説明頂けると幸いです。
ああ、そこは要望書でも説明不足でしたね……
わかりやすく言うと、
ビュッ！ときてドガガガガって感じのトップページ、フラッシュがフワっときてトロっと消え……
最後にロゴがバコーン！
って感じです。
なるほど。わかりました。
わかんねえよ！
まぁ、今のは偏差値６０以上の大卒向けの説明だったのでね。
俺もお前と同じ大学だろ！
まぁ、何かわからないことがあったら、事務所までお気軽にどうぞ。製品もいろいろありますので。
狭くて汚いところですが……
俺の家だな？
呆れる日陰くんにウインクをして、凪島さんは颯爽と去っていったのだった。
ふう……緊張するぐらいの美人でしたね。
緊張のせいかは知らないが、僕は胃が痛いよ……
大丈夫ですか先輩。無理せず家に帰ったほうが……
胃痛の原因のもとへ送ろうとするな！
まぁ……さっさと終わらせて次の仕事にしよう。あんまり関わらないほうが良い。
それで、凪島社長が仰ってたデザインの部分ですが……
……
まぁなんだ、テキトーでいいよ。どうせ俺に嫌がらせしたくて依頼してきたようなもんだろうし。
ダメですよ。クライアントの期待にはしっかり応えないと。
ビュッ！ときてドガガガガって感じのトップページ、フラッシュがフワっときてトロっと消え……
最後にロゴがバコーン！
にしないと。
完コピすんな！ また次回！
