第10話

文字数 495文字

それからわたしたち、練習したんだ。
なんだかフサくん、双葉紫明って三文文士にハマッてるみたい。
基本的にはハゲネタとわたしのあのロボット笑いでつかみは取れるんだけど。
フサくんの希望で、なぜか夫婦なのにバトルに発展、ズラカッター!ってフサくんズラ投げて、わたしがそれを掴む。
何故か敵なのに「ひかちゃん、手、血だらけだよ!」と心配するフサくんに、「大丈夫よ、手が生理なの」と返さなきゃいけない。
どっちらけ。
その後にその顕になったツルピカ頭で、「ハゲレーザー!」「クッ、目を焼かれた」って流れなんだけど、全然ウケない。
双葉紫明?
フサくんがめっちゃ推すから読んでみたけどくだらない。
あまりにフサくん熱烈で、わたしたち長野の山奥まで会いに行っちゃった。
フサくんの貯金、まだあったしね。
馬鹿高いげてもの料理食わされて、前歯へっこんだくそジジイに「手が生理なの」の時のアクションをレクチャーされたけど、うんざり。
わたしはあいつ、嫌い。
それからわたしたち、全然売れなくて、フサくんの貯金無くなっちゃった。
ぜんぶ紫明のせいだわ。
わたしたち、貧乏になっちゃった。
でもその時が、ふたりの愛の沸点だったのかもしれない。
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