第9話

文字数 392文字

それからのフサくん、カッコよかった。
人生不毛地帯。
彼の根底にあった、コンプレックス起因の厭世観は粉微塵に吹き飛んで、フサくんは弾けちゃった。
その日からヅラしなくなった。
そしたら、取引先で笑われ始めた。
「どうも、八景山と申します」
ツルピカ頭で。
みんな必死に堪えてクッ、クッ、クッ。
わたしとおんなじロボット笑い。
会社でも、爆笑の台風の目みたいになったって。
「ありがとう、ひかちゃん。ほんとうの人生が始まったんだ。毎日たのしいんだ!」
けれどもおばあさま。
カンカンだった。
勘当ですって。
わたしも酷い事たくさん言われた。
会社ではぐんぐん業績アップさせてたのに、ある日突然クビ。
圧力。
ちょっとした、お家騒動。
わたしが原因だ。
わたしと鶴ちゃん。
泣いたよ。
ごめんね、フサくん。
優しかった。
「僕らで、生きていくんだ。僕はその方がずっと良い。ひかちゃん、夫婦漫才しないか?」

フサくん、ぶっ飛びすぎだよ!
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