第5話

文字数 487文字

フサくん、わたしが切り出した離婚話も受け入れてくれた。
僕がこんな変な家に生まれたのが悪いんだ、と。
違うのフサくん、わたしが弱いんだ。
とりあえず鶴ちゃん保育所入るまで1年あるから、モラトリアムくれって。
それまでに両親やおばあさまを説き伏せるからって。
なんて優しい旦那様。
わたし、悪い奥さんだ。
確かにそれからフサくん頑張ってた。
けれども、残酷にも時間は過ぎて、1年後。
わたしの欄が埋まった離婚届。
フサくんは、平気そうに名前書いてくれた。
わたしは制度の上の問題で、フサくんと添い遂げるつもりだった。
けど、フサくん壊れちゃった。
離婚を止められなかった事。
名家に傷を付けた事。
そして、わたしが些細な事で離婚しちゃうくらいの愛情しか持ってなかったって失望。
僕なんか、生きてる価値がない。
あのキラキラ自信に満ち溢れたフサくんは、もう居なかった。
お酒を飲んでは、泣いてた。
わたしの顔見ると、泣いた。
この人の涙、何リットルあるんだろ?
そのくらいに。
わたしは彼が愛おしくて、受け止めた。
けれど、実際に別居してからのフサくんは、もっとおかしくなっちゃった。
もう受け止めきれる自信なくなるくらいに。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み